ガラクトマンナンとIAの予後
Strong Correlation between Serum Aspergillus Galactomannan Index and Outcome of Aspergillosis in Patients with Hematological Cancer: Clinical and Research Implications
Clinical Infectious Diseases 2008;46:1412–1422
invasive aspergillosisの診断にガラクトマンナンが役に立つか、カットオフ値はいくらか、という議論は長く行われているが、なかなか難しいです。学術集会ではしばしば検査前確率を無視して検査のみで勝負しようとするから、0.5だ、1.0だと議論になります。検査だけで勝負しようとするのは日本医療の悪しき伝統で、患者をみなくては何も分からないんだ、というシンプルな事実に気がつけば、この議論は終わってしまうはずなのです。
さて、この研究は診断ではなく、ガラクトマンナン値が患者の予後と関係するか、というスタディーです。いろいろな条件で調べていますが、どの条件下でもガラクトマンナン陽性と(カテゴリカルなデータ)患者の死亡率(などの予後)はよく相関しており、高いKCCを持っています。これをもって、筆者は「ガラクトマンナンをスタディーのサロゲートマーカーにできるのでは?」という大胆な提案を行っています。興味深い議論だと思います。
このような議論を経て初めてサロゲートマーカーをアウトカムの指標として使うべきなのです。日本の感染症の治験は全く無批判に白血球やCRPをアウトカムのサロゲートマーカーにしていますが、その実その意味については全く検証されていません。そういう治験を経た抗菌薬が、市場に簡単に出て行く一方、必要な薬はいっこうに入る気配はありません。方法論の根本的な変換が必要でしょう。
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