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2008年6月

決勝 ドイツ対スペイン

予想通りの硬い立ち上がりでした。多くの場合決勝戦は地味な試合になります。

パスサッカーで相手を凌駕したスペインですが、1984年の欧州選手権決勝では逆にパスサッカーを売りにした当時のフランスにスペインが負けたのでした。歴史の因果を感じます。

今日の試合はイニエスタがキレキレでよかったです。

一番すごいと思ったのは前半のフェルナンド・トーレスのヘディングシュート。セスクの驚くほど速いバックパスをぶつけ、クロス、ヘディングと完璧に相手ディフェンスを「壊して」いました。

今シーズンはスペインのクラブチームはパッとしませんでした。ナショナルチームで仇を返しましたね。

スペイン対ロシアEuro2008

スペインの完勝。ロシアは全くいいところがありませんでした。

よく、ヒディングマジックといいます。が、短期のトーナメントに強いと言われるヒディングも準決勝以上に行くことはほとんどありません(PSVで勝ったチャンピオンズカップは短期決戦ではないですし)。ヒディングのフットボールはもともとアンダードッグのジャイアントキリングが魅力です。が、その分無理をしてたくさん走ります。準決勝あたりでそのつけが回ってくるような気がします。ロシアはオランダ戦とはうって変わって走れないチームになっていました。スペインのボール回しも速かったですが。2002年のWCでも、最後はホンミョンボが信じられないパスミスをしていたのを思い出しました。無理をしていたのだと思います。ヒディングが「強豪の」チームを率いると意外にうまくいかないかもしれません。やっぱつぎは日本代表監督ですか(希望)。

決勝はドイツ対スペイン。センチメンタルな自分としてはスペインびいきになりますが、欧州選手権にはめっぽう強いドイツです。どちらが勝っても不思議はないと思います。さて。

ジャズ喫茶の音

出張先の某日某所。ジャズ喫茶に入りました。ジャズ喫茶というのは日本独特の文化のような印象がありますが(間違っていたらごめんなさい)、ライブハウスとは違ういい雰囲気があります。Art PepperのGetting Togetherが流れていました。LPの音は美しく、AltecのスピーカーはCD、iPodとは異なる魅力で感嘆しました。

CRPは役に立つ?9

手元にあるのは、日本呼吸器学会が発表した「成人院内肺炎診療ガイドライン」のポケット版です。呼吸器学会は数年前、市中肺炎のガイドラインを出版し、これはある意味IDSA・ATSのガイドラインよりも良くできていたと感じ入ったものです。今回もユーザーの立場に立って分かりやすい構成と明解な指針がまとめられている、ストラクチャーとしてはよいガイドラインだと思いました。

市中肺炎ガイドラインのキモは重症度分類(A-DROP)でした。今回のガイドラインでもキモとなっているのは重症度だと私は思います。

そこででてきたのがCRP。肺炎重症度を規定するのにCRPが重要で、それによって死亡率が異なる、というものでした。従来、CRPに関して死亡率と相関する(特に初診のCRP)というデータは存在しなかったため、これは驚きの結果です。例えば、CRPが初診時5mg/dl以下だと死亡率は14.6%ですが、25以上だと36.3%です。

この場合、交絡因子の存在は気にする必要はありません。我々はCRPの性で人が死ぬとは最初から思っていませんから。臨床現場でCRPの測定が役に立つかどうか、が重要で、例え交絡があったとしても見て役に立つのであれば、患者評価に役に立つのであればそれで充分なのです。

カール・ポパーのいうように、科学的言説とはたった一つの反証があれば充分なのであり、これは非常にインパクトの大きなデータといえましょう。私も今日からティーチングの仕方を根本的に変えなくてはいけないかもしれません。

もっとも、いままで存在しなかったデータがいきなりガイドラインに出てくるのですから解釈には慎重な対応が必要です。残念ながらポケット版には引用文献リストなどはなく、これは正式版を待たねばなりません。正式版の出版は今月中で価格は3000円とのことでした。ポケット版を配るお金があるのだから、できれば正式版もウェブ上で無料で公開してほしかったです(英訳も含めて)。私は、そろそろ日本発のガイドラインが世界で評価され、吟味される時代が来るべきだと思います。オランダの感染症ガイドラインは英訳されて一般公開されており、転載も自由というユーザーフレンドリーさです。呼吸器学会、もう一歩だ!

正式版を手に入れたら、しっかり読み込んでもう一度この問題を一所懸命考えてみたいと思います。

イタリア対スペイン

後半途中から観戦。守りを固めるイタリアに、サイドアタックやロングボールが苦手なスペインが単調なくさびのパスを出し続けるという展開でした。試合の内容としては緊張感はいっぱいでしたが、どちらかというと凡戦と言っていいと思います。最後のPKだけが盛り上がりました。スペインは、よかったですね。これで長年の呪縛を振り切り、勢いに乗れるでしょうか。イタリアもいいチームですが、nothing specialで、こちらがわくわくするようなことはなかったのでした。

オランダ対ロシア

実は前日、ひょっとしたらロシアが勝つんじゃないか、という話をしていました。グループリーグでとばしすぎたチームは決勝トーナメントで息切れすることが多いですし。あと、PKに弱いのもマイナスポイントかと思いました。

けれども、ロシアがあそこまでやるとは予想外。後半途中から見ましたが、特に延長戦は完全にロシアペースでした。バーに助けられたシュートもありました。

オランダは大量点をグループリーグで取っていますが、いずれも先制して、前係になった相手にカウンターを噛ませる方法でした。先制点を取られてしまうと、あれはきついのですね。セットプレイからファンニステルロイの一人技で同点にしたのはさすがですが、あとは続きませんでした。

スペインは大丈夫でしょうか。グループリーグで調子があがらないが、だんだんよくなる典型的なチームが、イタリアなのですが。今大会の優勝予想は前回同様、困難です

今日は東京で会議でした。いろいろな分野の専門家に会えて有意義な一日でしたが、さすがに疲れました。一昨日釧路に出張、昨日帰って大学行って、そのあと同窓会。夜遅く帰って早朝サッカー見て出張でヘトヘトです。行きは「月光条例」と「キン肉マンII世」の新刊を読んで、帰りは前から読みたかった「偽善エコロジー」と「4−2−3−1」を読んでいました。明日は月曜日か。

HIV/HBV/HCV

Management of hepatic complications in HIV infected persons.
JID 2008;197:S279-

・HIV感染者が肝疾患で死亡する場合、最大の原因はC型肝炎共感染であり、次がB型肝炎感染である。
・CD4低下は肝疾患による死亡のリスクと相関している。50以下では特にリスク高い。
・ARVそのものの肝障害も要注意。
・アルコール、非アルコール性の脂肪肝も。

HBV感染
・感染経路が同じであり、共感染は多い。
・地域によっては90%の共感染(過去の感染含む)も
・米国では、HIV感染者の7−10%が慢性HBV感染有り。
・治療選択に大きく影響!
・HIV患者は全てHBVスクリーニングを受けるべき。
・nonreactiveならワクチン接種を。
・HBcIgGだけ陽性の人も、ワクチンで利益を受けるかもしれない。そう言う意味では、c抗体の検査は必要ない、という意見もある。JID 2005;191:1435-
・陽性者はe抗原やDNAも測定する。DNA陰性あるいは低レベルであれば、慎重に経過観察
・トランスアミラーゼの動きは疾患の活性と関連有り。これもフォロー。
・HCCは定期的にスクリーンする。超音波やAFPを使う。
・HIV/HBV共感染は肝関連の死亡と関連があり、CD4が低いと特にそうである。HIV感染がない場合と比べてHBVDNAレベルは高い。
・DNA高値は将来のHCCと肝硬変発症と関連有り。
・急性HBV感染は自然軽快することが多い。慢性化することも多い。
・HIVがなければ、ラミブジン3ヶ月療法に治療効果はなく、ルーチンでは用いられない。重篤な症状がある場合は、オプション。
・慢性肝炎の場合はthere is no clear consensusである。この一言に尽きる。
・全例治療派、DNAやe抗原、トランスアミラーゼに依存派など。
・European Consensus Conference guidelineでは、DNAレベル>20,000から>2000を、e抗原陽性率を持って治療するよう求めている。治療期間は不明、、、、e抗原陽性の場合、e抗体が出来てから6ヶ月治療という薦めもある。e抗原陰性であれば、生涯治療か。

インターフェロンα(pegy or standard)
・pegyのほうがよさそう。
・HIV/HBV co-infectionではtrialに乏しい。
・あまり効かない印象、、、、

ラミブジン
・NRTIだが、HBV DNA polymeraseを阻害する。もちろん、HIVにも効く。
・HIV感染者では、毎年20%でHBV耐性が出来る。

エンテカビル
・ヌクレオシドアナログ
・HBV polymeraseのpriming, reverse transcription, synthesis of positive strandすべてに阻害をかけるのが特徴。
・ラミブジン耐性になるとエンテカビル感受性も落ちる。だから、そう言う方には1mg投与(0.5mgではなく)。
・共感染でもHBVDNAのログを十分に落とせる。
・が、48週の治療で300コピー以下になったのはたったの9%。エンテカビル耐性も見つかっている。
・当初はHIVには効かないと思われていたが、RNAレベルは下がる。HIV耐性も起きるか、、、、
・共感染では、ちゃんとHAARTにのっていること!

アデフォビル
・ヌクレオ「チド」アナログ
・HIVHBV共感染での192週間の治療で十分なコピーの減弱。
・テノホビルとのcross resistance の懸念はあるが、実例はない。アデフォビルもHIVには少し効くのです。

テノホビル
・これもヌクレオチドアナログで、HIV感染に用いられる。
・アデフォビルに構造上はにている。もともとアデフォビルもHIV用に開発された薬であるが、副作用の問題でぽしゃってしまう。これを投与量を少なくしてHBV用に復活させたというわけ。で、形を変えてテノホビルがHIV用に意趣返し。1メチル基分形が違うのだとか。
・HBVに関しても、アデフォビル並の効果があるとのこと。
・ラミブジン経験者のACTG5127でも非劣性。

エムトリシタビン
・これはヌクレオシドアナログで、ラミブジンの親戚。
・48週のトライアルでも、効果はあったが13%で耐性。
・ラミブジンやエンテカビルの感受性も低下。

telbivudine
・慢性B型肝炎に認可されている。
・チミジンヌクレオシドアナログ。HIVに活性がないのが特徴
・telbivudineも使っていると耐性ができるが、同時にエムトリシタビンやラミブジンにも耐性になる。
・ARVなしの患者に使える?でも、将来3TCなんかがだめになったりしない?

多剤併用VS単剤
・GS903 エファビレンツ、ラミブジンにテノホビルかスタブディンで比較。その中にはHBV共感染あり。2剤使った群の方が1ログコピーが低かったが、統計的有意差なし。JID 1999;180:607-
・ラミブジンVSテノホビルVS両者の併用では、やはり併用療法の方がDNAコピーは減った。AIDS ;17:F7-
・こんだけ??

耐性について
・エンテカビルは耐性を作りにくいが、ラミブジン耐性があると耐性を作りやすい。
・一番いいのは、テノホビルとエンテカビル併用?

治療ガイドライン
DHHS/European Consensus Conferenceのガイドラインあり。

・ARTを使うときに、ラミブジンやエムトリシタビンに曝露されていなければ、HBV活性のある薬を2剤使用。テノホビル+ラミブジンorエムトリシタビン
・エンテカビルとテノホビルもOK.このときはラミブジン・エムトリシタビンは用いない。
・ラミブジン・エムトリシタビンに暴露があり耐性がある場合、テノホビルにこれらを噛ませる。エンテカビルをさらに加えた方がいい、という意見もあり。
・治療を止めてしまうと肝炎が増悪する危険がある。しかし、HIVばかりに注目しているとこのことを忘れてしまいがち。
・ARTを何かの都合で止める場合は肝機能のモニターを密にするか、telbivudineやアデフォビルの使用を検討する。

・もしHAARTがまだ必要がない場合は、HIV活性のあるHBVの薬を使わないのが原則である。エンテカビルも勧められない(前述)。
・ペギインターフェロンαをCD4>350に。特にgenotype Aで。
・telbivudine+low dose アデフォビルも。
・全例HIVも治療しちゃえ、という意見も。特にCD4<500で肝疾患の死亡率が高いので、500をカットオフ値にする?

妊婦には?
・スタディーには乏しいが、HBV/HIV両方治療し、生後ワクチンと免疫グロブリンが望ましいかも。

HCV共感染
・米国ではドラッグ注射による感染が多い。感染経路によりHIVとの共感染の頻度は異なる。IVドラッグの場合共感染は72-95%に登る場合もあり、性行為による感染では1-27%くらい。

急性肝炎
・治療した方がよい。慢性化を予防できる。
・治療なしでも25%で治癒するが、HIV共感染するとこの確率は低下する。8%くらい?
・ただし、急性感染の治療に関する確たるデータは乏しい。
・専門家によるお奨めでは、ペギインターフェロンα単独か、リバビリン併用で24-48週使用か?14人中10人の共感染患者で成功とのレポートあり(併用療法)。AIDS 2006;20:1157

慢性感染
・HCV抗体はすべてのHIV感染者でチェック必要。RNAで確認。
・治療方法は微妙。CD4の高いときに治療か?
・治療は180マイクログラムのペギインターフェロンα2aか1.5μg/kgペギインターフェロンα2bを皮下注で週一回、リバビリンはgenotype 2,3では800mg/day、genotype 1では体重75kg以下で1000mg/day, >75kgで1200mg/day。
・HIV共感染があると60%程度でsustained viral responseがあるので、VLが低い場合は全員治療した方が(genotypeに関わらず)よいという意見もある。治療をしない場合は肝生検は推奨されず、治療しない場合のみステージングに使用される。
・一方、ウイルス価が高い場合(>800,000IU/ml)でgenotype 1であればSVRは18%程度。特に黒人では予後が悪い。この場合はケースバイケース。肝生検でステージ0か1なら治療せずに様子みることも。あるいは治療してみて4-12週間後反応を見る、というやり方も。
・CD4<200だととりあえずHIV治療に専念。HCVは様子見。SVRも得られにくい。もっとも、これもケースバイケース。
・IFNの副作用で一番問題なのがインフルエンザ様症状、うつ症状、いらいら感、認知障害、血球減少、網膜症、ニューロパチー、自己免疫疾患の増悪など。自殺も問題。
・リバビリンの問題は用量依存性の溶血性貧血、咳嗽、消化器症状
・ddIと併用すると膵炎や乳酸血症も問題。これは絶対禁忌
・AZTと併用すると貧血が問題か。やめるか、血算を慎重にモニターするか、あるいはエリスロポイエチンを併用。
・抗うつ剤、エポ、filgrastimなどで副作用に対抗する方法も。
・新薬も開発中。telaprevirはHCV用のPI。副作用は多く耐性も出ている。フェーズ2.
・HCV感染はHIVの進行で増悪する。HAARTでひっくり返せる。生検所見でのフォローでは、HAARTにのった共感染とhCV単独感染は変わりなし。CID 2006;42:262-肝関連死亡率も低い。HAART is better than no-HAART。Lancet 2003;362:1708-


ARTと肝臓
・1−14%で重篤な肝障害。
・特に問題なのは、ネビラピン、full doseのリトナビル、tipranavir。
・アタナザビル、インジナビルではビリルビンがあがることも。ただし、これは肝障害というよりビリルビン排泄障害。可逆性で無症状。Gilbert syndromeみたいなものか。
・メカニズムは様々。ミトコンドリア障害、免疫再構築、直接毒性、過敏反応(アバカビルなど)

・肝障害のリスクが高いのは、女性、ベースラインのALTが高い、慢性HCV, HBV感染、ラミブジン中止、ネビラピン開始、リトナビル開始。

HIV associated hepatopathy
・HIV関連、と名前をつければどの臓器も障害を起こすが、肝障害はまれ。NRTIによるミトコンドリア障害?

ターンAガンダムはすごい

 史上最高のガンダムというと、私的にはターンAガンダムです。なんていうとシリーズ全部網羅してるみたいですが、実はファースト、ゼータしかみてません。ZZは数回で断念しました。00は知人に絶賛されたので見ようかな、ともおもいましたが時間もなく、キャラの顔になんとなく親近感が持てずにこちらも未見です。
 そう言うわけで、あまり偉そうなことは言えないのですが、ターンAはすばらしいです。その世界観、ストーリー、人物入れ替えや敵国のあらまし、ファースト以来のガンダムとの世界観との意外な接点など驚くばかりの脚本と演出の緻密さです。菅野よう子の音楽も素晴らしい。いくらいい音楽でも、私はめったにサントラを買わないのですが(画面と無関係にサントラを聴くとなぜかがっかりするから)、買っちゃいました。西城秀樹の主題歌も好きでしたが、やはりこども番組らしくないのか、後半からは普通のアニソンになっていてがっかりでした。
 やはり、ガンダムが不格好だったのが評判を下げたのでしょうが、、、、
 ファーストのテレビも今見直すとすごくくさくて、へんてこな回も多くて、「当時としては」という枕詞を付けないとちょっとまともに見れない回も多いです、、、なんて書くとファンに袋だたきにされるから、やめておこうか。ゼータは初見ではがっかりでしたが、今見直すと結構ほれぼれします。暗い性でしょうか、、、、
 ターンAはお奨めです。ガンダム史上最高です(もうええちゅうねん)。私とそう年の違わない天才・福井さんの小説は、、、、ノーコメント。

CRPは役に立つ?8

CRPが役に立つ事例も紹介しておかねば、アンフェアというものでしょう。

Prognostic Value of Serial C-Reactive Protein Measurements in Left-Sided Native Valve Endocarditis
Arch Intern Med. 2008;168(3):302-307

これによると、治療後1週間目のCRPが高いと予後が悪く、低いと予後がいい。予後設定に役に立つ、というものです。

でもよく読んでみると、治療開始時のCRPと2週間後のCRPは予後に関係ない、というデータもありました。毎日毎日CRPを測って一喜一憂してもだめだ、というのは変わりないようです。全ての事物は使い方次第。頭を使って賢く検査をしましょうね。

母乳を飲みつつ感染予防

7月のNEJMに出る論文です。マラウイにおける母乳による母子感染を抗HIV薬が予防できるか、という論文で、ネビラピンが副作用も少なく感染も減らせていいよ、という内容。

論文の本旨とは関係ありませんが、それにしても、やはり途上国で怖いのは下痢症です。スタディーに参加した新生児では、介入の有無にかかわらず、生後9ヶ月の死亡率がなんと6−9%ですよ。その最大の原因が腸炎で、次が肺炎です。子供が健康に生まれて育つ、というのは当たり前の現象ではないのですね。日本の保健医療関係者に感謝感謝です(と、我々親は我が子の安全に感謝すべきですよね)。

エンドトキシン測定の意義は?2

手元にあるのは、和光のエンドトキシンシングルテストワコーの添付文書です。これは、カブトガニの抽出物であるリムルス試薬を用いた比濁時間分析法を用いたエンドトキシンの定量試験です。

これによると、このキットはグラム陰性菌感染症群(定義記載なし)18例で平均270.40pg/mLと、健常人(14例)の平均0.20と比べると有意に高い値がでました。ただし、2SDの範囲は-1743.90から2284.4と非常に幅が広いです。感度はカットオフ値を5pg/mLにすると56%、特異度は99%です。もっとも、これは社内データなので注意が必要です。ほとんどの場合、検査の社内データは通常の論文で発表されるデータよりも良い値が出るからです(理由はいろいろあるでしょう)。

神戸大学病院では年間1482件のエンドトキシン検査を行っていました。これを止めれば(止めても臨床上困ることはほとんどないでしょう)400万円程度のコスト削減になります。ちなみに、CRPはなんと5万9000件も測っていました!!!

あなたはそれでも、エンドトキシンを測定しますか?

オランダ対イタリア

ヨーロッパ選手権2008。WOWOW契約はお金がかかるし、どうせ全部見れないので、民放だけで。オランダもイタリアも最近の代表チームは全然みていませんでした。監督は、80年代を代表するファンバステンとドナドーニ。ACミランファンならお喜び。

結果はオランダの圧勝ですが、2点目、3点目は前がかったイタリアに対してのカウンターなので、やはり1点目が全てでしょう。オフサイドと思いこみましたが、ピッチ外にいたパヌッチがオンサイド、との判定。いずれにしても、あのシュートに合わせるファンニステルロイはただものではない。ManUを辞めて残念ですが、彼が大活躍していた頃をみている自分としては感慨深いです。むらっけはありますが、ファンニステルロイはデニス・ローやゲルト・ミュラーに並ぶ名ストライカーと思います。

イタリアには厳しい結果ですが、やはりコンディションはいまいちのように見えました。フランスもルーマニアと引き分け、さあどうなるか。

心房細動に出会ったら

山下武志著 心房細動に出会ったら

プライマリ・ケア医を対象にした心房細動の教科書ですが、その実態、原則、例外事項をバランスよく解説している好著です。ちゃんと、例外事項を出していて疾患の世界観を教えてくれているのが、すばらしいと思います。多くのプライマリ・ケア医向けの本が、それをしないために「疾患をなめ」たり、専門医のプラクティスに「あいつはガイドラインに書いていない、エビデンスのないことをやっている」と揶揄してしまう問題が生じることがあります(わたしもそれで痛い目に遭いました)。今年読んだ教科書でベストの一つかもしれません。英訳して、向こうでも出版したらいいとすら思います。将来は日本初の国際レベルの教科書が出るといいですよね。

抗不整脈薬はあまりプライマリ・ケアでは使わない方がよい、と誤解していましたが、患者のQOLを考えるとそうともいえない、と理解しました。通常行っている医療に新たな気づきを与えてくれるのがいい教科書の条件だと思いますが、本当に目から鱗でした。心房細動も根底では「その周辺」のケアが大事であり、他の多くの疾患に通じるのだな、というのも新たな気づきでした。他領域の教科書は、だから勉強になるのですね。

エンドトキシン測定の意義は?

エンドトキシンは、グラム陰性菌が作るlipopolysaccharidesの一部を測定しています。ここはCD14やLPS結合たんぱくと複合体を作り、敗血症などの体内反応のカスケードの出発点となります。個々の調節が治療に結びつくこともあります。例えば、多剤耐性菌に時々用いるpolymyxin Bはエンドトキシンのlipid Aと結合してその毒性を抑えるそうです(青木先生のレジデントマニュアル第二版より)

というわけで、エンドトキシンそのものは感染症の領域においてきわめて重要な物質です。問題は、その測定が臨床的に意義があるか、です。

古来、エンドトキシンは感度・特異度が安定せず、炎症の度合いとも相関せず、バイオマーカーとしては有用ではないとされてきました。しかし、高感度エンドトキシンアッセイという全血を用いた検査は感度がよく、これは近年米国でも認可されています。そのため、グラム陰性菌の感染や敗血症に対するnegative predictive value,NPVが高いというデータが出ています。

Crit Care 2002;6:342-

JID 2004;190:527-
では、グラム陰性菌感染に対して、感度85.3%、特異度44%で、NPV98.6% 感染全体に対しては94.8%でした。ただし、患者予後とは相関せず、エンドトキシン値が高くても低くても臓器障害の程度やAPACHE IIレベルを予想はできませんでした。いずれにしても、陰性なら除外に有用であるかもしれないが、それ以外の何かがいえるわけではなさそうです。

さらに、この頁を読むと、日本におけるエンドトキシンの測定は欧米のものとは異なり、さらに偽陰性の問題もあるのだそうです。そうなってくると、エンドトキシン測定の意義はほとんど分からなくなってしまいます。国内での検査は2社がおこなっていますが、ここで分かります。

結局、これを測っても診断・治療に大きな影響は与えづらい、という気がしますが、皆さんはどう思いますか?280点のこの検査が、寄与するところはどの辺でしょう。

参考
Biomarkers of sepsis: clinically useful?
Current Opinion in Critical Care 2005;11:473-

ガラクトマンナンとIAの予後

Strong Correlation between Serum Aspergillus Galactomannan Index and Outcome of Aspergillosis in Patients with Hematological Cancer: Clinical and Research Implications

Clinical Infectious Diseases 2008;46:1412–1422

invasive aspergillosisの診断にガラクトマンナンが役に立つか、カットオフ値はいくらか、という議論は長く行われているが、なかなか難しいです。学術集会ではしばしば検査前確率を無視して検査のみで勝負しようとするから、0.5だ、1.0だと議論になります。検査だけで勝負しようとするのは日本医療の悪しき伝統で、患者をみなくては何も分からないんだ、というシンプルな事実に気がつけば、この議論は終わってしまうはずなのです。

さて、この研究は診断ではなく、ガラクトマンナン値が患者の予後と関係するか、というスタディーです。いろいろな条件で調べていますが、どの条件下でもガラクトマンナン陽性と(カテゴリカルなデータ)患者の死亡率(などの予後)はよく相関しており、高いKCCを持っています。これをもって、筆者は「ガラクトマンナンをスタディーのサロゲートマーカーにできるのでは?」という大胆な提案を行っています。興味深い議論だと思います。

このような議論を経て初めてサロゲートマーカーをアウトカムの指標として使うべきなのです。日本の感染症の治験は全く無批判に白血球やCRPをアウトカムのサロゲートマーカーにしていますが、その実その意味については全く検証されていません。そういう治験を経た抗菌薬が、市場に簡単に出て行く一方、必要な薬はいっこうに入る気配はありません。方法論の根本的な変換が必要でしょう。

ワールドカップ予選日本対オマーン

久しぶりのワールドカップ予選。今日は月曜日にもかかわらず仕事がさくっと終わり、前半10分くらいからみることができました。

最近は国内の試合も日本代表の試合も見逃していたので、久しぶりのゲームでした。顔ぶれも結構変わっていて、びっくりでした。ちょっと前まで山瀬がエースとか言ってませんでしたっけ。Jリーグもみていないし、選手のコンディション変化にも鈍感です。

今日はチームとしてもコンディションはよく、連携もとれていました。ミスが多く前線での迫力もいまいちでしたが、それでも3−0の勝利は上出来というべきでしょう。よかったのは松井と遠藤でした。ディフェンスも充実していました。

お供はBodegas Cerrosolのsouvignon白2007年。スペインワインらしくすっきりした味わいでした。奥さんの作った卵料理と豚肉料理にどんぴしゃりでした。

最初、民放はちょっと苦手、とNHK衛星放送でみていましたが、こっちはこっちで、あまりにアナウンサーの知識がないので絶望して画質のいい民放に変えました。こっちもたいしたアナウンスではありませんでしたが、まだましくらいでした。
 スカパー!のアナウンスに慣れていると、一般放送ではちょっと耐え難いものがあります。ワールドカップ予選でアウェーで一回負けるくらい、ヨーロッパや南米でも日常茶飯事なのですから、あまりあおったり騒いだりしないでほしいと思います。医療でもそうですが、メディアのレベルアップは急務ですね。

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