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2008年12月

村上スキーム

ずっと読みたくて読めなかった本。ただ、今忙しいのと、村上先生のご意見は咀嚼されているので、30分で読みました。

本を書いていると丁寧に読まねば失礼、と思う一方、目がつぶれるほど読みたい本がある限りは、速読していくより他ありません。ごめんなさい。

世の中には、「世の中を価値を説明できる人」と「新しい価値を開拓していく人」がいますが、前者が解説者や評論家、日本のほとんどのメディア、官僚、学者であるのに対して、村上先生は明らかに後者の方です。プライマリ・ケアにかける思いが強く伝わってきます。崩壊の話ばかりの医療業界。前例作りの天才村上先生が果たして新しい前例を作るでしょうか。

ICUと熱のガイドライン

Guidelines for evaluation of new fever in critically ill adult
patients: 2008 update from the American College of Critical Care
Medicine and the Infectious Diseases Society of America

BartlettやMaki, Masurなど大御所が著者になっているガイドラインです。

ICUにおける発熱について、エビデンスレベルをa-dに、推奨レベルをレベル1−3と分けて、議論しています。

・熱の原因が感染症とは限らない
・感染症が熱を出すとは限らない。血圧低下、意識障害、頻脈、悪寒戦慄、皮膚病変、呼吸症状、乏尿、尿酸血症、白血球上昇あるいは低下、血小板低下、バンデミアなどに要注意。

血液培養
・明らかに非感染症と分かっていない場合は、新規の発熱に血液培養が必要。
・2%のクロルヘキシジンに70%アルコールや、ヨードチンキ(1−2%)はOKだが、イソジン(10%ポビドンヨード)は許容範囲内だが効果が低いとある。
・血液培養ボトルの口はアルコールで消毒。クロルヘキシジンやヨードなど他のを使うと劣化するので、だめ。
・クロルヘキシジンは皮膚消毒して30秒で採血可能。ヨードだと1.5−2分待つ。
・針は取り替えてはいけない。針刺しを防ぐため。
・1回の採血で20−30CCの血液を採取すること。
・真菌血症を考えると、3−4セットが妥当。(ラインが入っていなければ)最低でも2セット、と書いてあるところもあってわかりづらい。ICUでラインの入っていない患者なんているのかしら。
・カテから採血する場合でも、皮膚から一回は採血
・1セットの血液培養は「推奨しない」
・持続的菌血症を疑ったら繰り返し血培。

ライン感染
・staphylococci, Corynebacterium jeikeium, Bacillus species, atypical mycobacteria, Candida, or Malassezia が血液培養から生えたらライン感染を考える。
・カテ出口のスワブの培養は感度が低いが、陰性適中率が高いのでカテ抜去を不要にしなくても済む、、、と書いてあるが、意味不明。膿がでていればグラム染色と培養
・カテからの採血で末梢より120分以上速く同じ菌が検出されれば、定量培養なみに特異度が高く、カテ感染といえよう。
・敗血症を伴っていない患者の発熱では必ずしもカテを抜く必要はない。逆に、ショック、DICなどあれば全部抜去して再挿入。
・毎日刺入部は観察
・(定性)カテ先培養は、強くカテ感染を疑ったらやってもよいと書いてある。これは以前のIDSAガイドラインとは異なる。

肺炎
・レントゲンをとろう。CTも考えよう。
・下気道検体を抗菌薬開始前に。
・だれに気管支鏡をやるかはケースバイケース
・気道検体は2時間以内にラボで処理
・提出された検体が適切な検体で「あれば」グラム染色や培養を行う。
・Gramnegative stainって?
・定量培養は有用だが、標準化されていない。
・胸水もワークアップに

下痢
・CDトキシンを。組織培養を検討してもよい。
・CDトキシン陰性であれば、繰り返し検査を
・偽膜を直視しても診断。直腸鏡が使える。
・治療効果の判定にトキシン検査をしない。
・重症例ではエンピリックなバンコマイシンの使用を検討。ただし、検査陰性ではできるだけ使わない。
・便培養はHIV陰性であれば、ほとんど必要ない。免疫抑制があり、疫学的に妥当なら寄生虫のワークアップも。
・ノロウイルスはワークアップ。検査は研究所レベルで。

尿路感染
・診断は尿検査とGram染色、培養で。
・尿培養はカテーテルから。バッグではない。
・1時間以内で培養に。だめなら冷蔵庫に
・10の3乗以上で陽性。
・グラム染色は遠沈で。
・尿カテが入っている場合、信頼性に乏しい迅速ディップスティック検査は推奨しない。

術後
・術後72時間以内の発熱にワークアップは必須ではない。尿カテが72時間以上はいっていたら、尿のワークアップを
・創部感染には要注意。症状がないのにルーチンで培養する必要なし。
・SSIで創部表面のスワブ培養は不要。
・SSIはオープンドレナージだけで治ることも多い。抗菌薬は必ずしも必須ではない。

その他
・輸血後のMONOに要注意。CMVの感染でおきる。

バイオマーカー
・プロカルシトニンは使えるかも。どこをカットオフ値にするか。
・エンドトキシンアッセイは陰性適中率が高い。両者は使ってもよい。
・CRP,TNFα、IL6、TREM1などの価値は不明。

熱が出るのは感染症とは限らない。

Table 5. Fever related to other therapies and
noninfectious inflammatory states

Acalculous cholecystitis
Acute myocardial infarction
Adrenal insufficiency
Blood product transfusion
Cytokine-related fever
Dressler syndrome (pericardial injury syndrome)
Drug fever
Fat emboli
Fibroproliferative phase of acute respiratory
distress syndrome
Gout
Heterotopic ossification
Immune reconstitution inflammatory syndrome
Intracranial bleed
Jarisch-Herxheimer reaction
Pancreatitis
Pulmonary infarction
Pneumonitis without infection
Stroke
Thyroid storm
Transplant rejection
Tumor lysis syndrome
Venous thrombosis

プレミアリーグ ManU対ミドルスブラ

 今朝、原稿を書きながらテレビを付けたらたまたまやっていた試合。久しぶりのプレミアリーグ。年末年始はプレミアリーグはものすごい試合をこなすのです。その上ManUはクラブワールドカップ、UEFACLと、超過密日程です。

 いやいや、それにしてもさすがはManUです。昨日はガンバ大阪に感動させられましたが、やはり器が違います。ガンバよりも厳しい日程で仕事をこなしているはずですが、個の力量と選手層が違いすぎるのでしょう。

速い、強い、そして正確

なので、昨日のマリノス、ガンバは

遅い、弱くて不正確

に見えます。まあ、比べる相手が悪いのでしょうが、、、、クラブワールドカップのような一発勝負であれば、それなりにいい試合にまとめることができるでしょうが、何十試合というリーグ戦のなかでのパフォーマンスでみると、両者の差はとても大きいです。

もっとも、ManUで速くて強いパクチソンはシュートを外しまくってアジア人らしさを醸し出していましたが、、、(個人的にはパクチソンは大好きです。でもやっぱりアジア人、、、)。ManUも決してベストパフォーマンスではないでしょうが、それでもふらふらのガンバをみてしまうと、その頑強さには脱帽してしまいます。

天皇杯準決勝 横浜Fマリノス対ガンバ大阪

 人を感動させる試合というのはこういう試合なのだと思います。

 試合開始当初は、マリノスの圧勝かと思いました。ガンバの華麗なパス回しは見る影もなく、一つ一つの局面で全て負けていたガンバは、ほとんどサンドバッグ状態でやられまくっていました。

 しかし後半、とばしすぎたマリノスの足が止まると、少しずつパスが回るようになります。退場で逆にマリノスのほうが数的に不利になり、試合は本当に分からなくなりました。延長戦はスペースが空いてお互い中盤はぶらりノーガードで打ち合い。ディフェンスが踏ん張って粘りに粘り、という試合でガンバが貴重な決勝点。すごい試合でした。

確かに、フィニッシュはあまあまで、マリノスの攻撃にも工夫がなかったのは問題です。技術戦術的には見るべきものはあまりありませんでした。それでも、息をのむような緊張感が続き、試合終了時はほおっと大きく息を吐いたのでした。ガンバは執念の勝利でした。アジアチャンピオンのプライドが驚異的な粘りを産んだのでしょうか。

両チームともお疲れ様です。

チリとアメリカ

Montesは好きなんですが、これは高級品なので手が付けられませんでした。はっきり言って、私的にはA級ワインです。かなり幸せになれます。

Napa Angel

マンガ もやしもん7巻を読みながら書いていますが、カリフォルニアワインは本当に美味しいです。アメリカ人も馬鹿ではないので、ちゃんと質で勝負すればまっとうにけんかできる、という好例ですね。

感染症後期研修のめざすもの

初期研修の話題があちこちで議論されていますが、迷走しています。理由は簡単で、「何のために」初期研修をしているのかが、明示されていないからです。テクニカルな問題ばかり扱っているから分からなくなるのです。

こういう医者になりたい、なってほしい、というヴィジョンをもち、逆算してそのためにはどんなトレーニングが必要か、という戦略を練ると、話はそんなに難しくありません。しかし、ヴィジョンの部分がぼんやりしたまま技術的な議論をしているので、「1年か、2年か」、みたいな(私には)どうでもいい議論ばかりが展開されます。

さて、私は感染症後期研修をやってきましたが、その目指すものは明解です。

それは、私自身に追いつき、追い越してもらうことです。

そして私自身が目指すものは、世界のどこに行っても通用する医者になることです。

神戸大学病院とその関連病院でないと仕事が出来ない、では当然ダメです(神戸大学でも通用しない、は論外です)。日本のどこに行っても、世界のどこに行っても、診療所でも大学病院でも、どのようなセッティングであってもまっとうな仕事が出来る、というのが目指すところです。従って、その目的に照らし合わせると、ある程度の英語力は当然必須と言うことになります。このように目的に照らし合わせて何が必要かと考えれば、やることは割とシンプルに決まってくるので、「高校の授業を全部英語にするかどうか」みたいなしょうもない議論も消失するのです。

これまで私と亀田の細川先生のもとで育った感染症フェローシップの卒業生たちは、だから世界のどこに行っても二本の足でしっかり立ってきちんと仕事をすることが出来るインデペンデントな医師たちです。その実力は、アメリカやヨーロッパの感染症の専門家と並べてもまったくひけをとりません。じっさい、南米、中米、北米、アジアなど様々な国でも、病院の規模や企画が変わってもちゃんと活躍しています。まだ私を完全に凌駕している人はいないかもしれませんが、現在の活躍ぶりをみているとそれも時間の問題のように思います。教育者にとってそれ以上の幸せはないわけで、部下の仕事を盗んだり、ステップアップを阻止している教員をみると本当に嫌になります。

現在の感染症専門医制度は、世界のどこに行っても通用する感染症医という目標を担保していません。学会にお金を貢ぐご褒美としての専門医制度になっているからです。こんな小さな了見ではとても人は育ちません。私は今年学会専門医になりましたが、専門医になって5年経たないと指導医にはなれず、指導医にならなければ学会専門医研修施設になれません。このようなたちの悪い愛人みたいな学会では世界にそっぽを向かれてしまいます。もうちょっとまっとうな目的をもって専門医を育てなければいけません。

嘘ばっかり、、、、すみません

今年のベストは奇跡のリンゴ!なんて言った直後にすごい本を読んでしまいました。

コンテンツ的には奇跡のリンゴの勝ちですが、本としてはこちらのほうがどう考えても上だなあ、、、、吟味しないでものを言うのはよしにしなければ、、反省です。2008年は反省ばかりの年でした、、、

赤めだかの立川談春さんは私とほぼ同世代の昭和41年生まれです。すごいですねえ。

これを読め、と送ってきたのは両親です。それで、私は気になったフレーズのあるページの角を折る癖があるのですが、あるページで折ろうと思ったらすでに折り跡がありました。あれは母だったのか、父だったのか。

談志家元が談春に教えます。

「お前に嫉妬とは何かを教えてやる。己が努力、行動を起こさずに対象となる人間の弱みを口であげつらって、自分のレベルまで下げる行為、これを嫉妬と云うんです。一緒になって同意してくれる仲間がいれば更に自分は安定する。本来なら相手に並び、抜くための行動、生活を送ればそれで解決するんだ。しかし人間はなかなかそれができない。嫉妬している方が楽だからな。芸人なんぞそういう輩の固まりみたいなもんだ。だがそんなことでは状況は何も変わらない。よく覚えとけ。現実は正解なんだ。時代が悪いの、世の中がおかしいの云ったところで仕方ない。現実は事実だ。そして現状を理解、分析してみろ。そこにはきっと、何故そうなったかという原因があるんだ。現状を認識して把握したら処理すりゃいいんだ。その行動を起こせない奴を俺の基準で馬鹿と云う」

そんなバカな話が、、、

指導医講習会の現在のフォーマットができたのが30年くらい前だそうです。30年間、変わっていない。

世の中の、どの職業の教育でもいいです。ビジネス、スポーツ、音楽など。30年間不変なシステムなんてあり得ません。

長老達が闊歩して現状維持のシステムを作っているのは、今の日本医学会では普遍的な光景です。でも、それより問題なのはそれを許容している現在の若手指導医達です。本当にそれでいいと思っているのでしょうか。それでよくないと思うのならば、なぜ何もしないのでしょうか。

教育とは価値の変化をもたらすような作用のことだと思います。そう認識しているくせに、その実教育者の教育には何の変化も起きていない。このことを許容していていいのでしょうか。

新型インフルエンザガイドライン・パブコメ

以下のパブコメを厚労省に送りました。情報公開の観点から、私たちの見解を公表します。本物には図表が付いていますが、これは割愛しました。

                                                    2008年12月26日
新型インフルエンザガイドラインへのパブリックコメント
  神戸大学医学部附属病院 
               感染症内科、岩田健太郎
                               感染制御部  荒川創一、李宗子、阿部泰尚
全体の構成について
・まず、新型インフルエンザの定義、概要を整理して明示すべきだと思います。新型インフルエンザとは何か、H5N1だけを指しているのか、それ以外の血清型(H7N7など)はどう認識し、対応するのか。新型インフルエンザとしては、季節性インフルエンザの変異や予想はずれの型であることによるminor changeしたウイルス株が大流行するような場合も含まれているのか、こういう点も整理して、ガイドラインに盛り込むことが肝要と考えます。諸外国ではpandemic fluと認識されているのに、なぜ日本だけが「新型インフルエンザ」なのか。想定される社会的、医学的、経済的インパクトはどのくらいなのか。ガイドラインの遵守によってそのインパクトがどのくらい軽減され、何がもたらされることを厚生労働省や国は目標にしているのか(ゴールの設定)、「はじめに」で明確にまとめていないので、何を議論したいのかが分かりづらいです。
・次のガイドライン(改定版)はいつ発行される予定なのか、明示すべきです。
・今回募集したパブコメがどのくらい集まったのか。それがどう処理されたのか、明示してください。そして、次に出されるガイドライン(改定版)では、どのようなパブコメがどこに反映されたのか、これも明示してください。
・    ガイドライン作成方法を明示してください。だれがどのようにして何を決めたのか、全く不明確です。データはどこからどのように入手したのか、どのように議論して作成されたのか。最近の諸外国のガイドラインではすべてそういった情報が明示されているのが常識です。
・ガイドラインなので、最低限、引用文献リスト(参考資料ではなく、根拠となるデータのソース)はつけていただきたい。存在しない疾患の治療については、推奨のエビデンスレベルはなかなかないでしょうが、せめて推奨度はつけるべきです。
・執筆者の名前は明示するのが常識。これはガイドラインの基本中の基本なのでぜひ治していただきたい。

文章表現・アピアランスについて
・一文を短文に箇条書きにしてほしい。読みづらいです。「国立大学医学部附属病院感染対策協議会病院感染対策ガイドライン」などのように、要点(概要)とrecommendationをまず箇条書きにして、注釈やエビデンス、法的根拠などは1項目毎にまとめて、そのあとに解説的に書き、そこに引用文献の番号をつけるというようにするほうが読みやすいと思います。
・特に「医療体制におけるガイドライン」については、文章だけでなく、図や表を多用していったん概要がわかるようにしてほしい。例えば、国、都道府県、市、感染症指定病院、協力病院、発熱相談センターに関して、備蓄薬の配分や、段階別の役割分担の概要をフローチャートに図示してほしい。
・1ページ目の下から3番目の段落、「なお、本ガイドラインは、、、、、期待 される」の文章は分かりづらい、典型的なお役所型の文章です。ガイドラインは法令ではないので、絶対に守らなくてもいいのですよ、という重要なメッセージをもっと明確に示すべきです。ここは誤解のないよう、はっきり書いていただかないと後々現場は困ります。太字、下線などでメリハリをつけてくださった方がよいと思います。
・同様のことは下から二番目の「現在までに、、、、随時更新していくものである」の文章も同様です。ここも重要な部分ですから強調が必要です。要するに、 このガイドラインは何者なのだ、というところがはっきりしていないので、それは明示すべきと考えます(たいていの各種国際ガイドラインではそうなっています)。また、「その重症度や抗インフルエンザ薬の必要性および有効性について、検索し、情報を適正かつ速やかに国民に伝達する」というような表現が必要と考えます。
・104ページ 一般の人には不織布製のマスク、とは何なのか分からないと思います。昔のガーゼマスクは止めましょう、という文章を併記するべきと思います。
・一般の方はN95マスクは使うべきではない、とはっきり書くべきで、その根拠も示せばいいと思います(息苦しくてつけ続けられません、、、)。基本的に、全ての推奨事項には根拠を示すべきで、「こうだから、こうしましょう」とあるべきです。理由も示さずにこうしなさい、というパターナリスティックなガイドラインは好ましくありません。
・個人、家庭向けのガイドラインは、その目的に照らし合わせ、「ですます調」
で書くのがよいと思います。
・医療体制のマニュアルで「等」という表現が多用され解釈が難しい部分があります。等の連用は典型的なお役所文章で、改めるべき思います。
 感染症指定医療機関等
 →感染症指定病院、結核病院、協力病院と具体的に明示して頂きたい。
 マスク等
 →医療従事者の個人防護具についていえば「マスク等」で良いが、患者の個人防護具はマスクだけで十分と考えます。敢えて言うと、マスクだけをここに書くと、ガーゼのマスクなのか、N95マスクなのか、不織布製マスクか分かりません。不織布製マスク(いわゆるガーゼマスクではない)と明示すべきと考えます。
・19ページ。ホームページなどにおいてこれを周知するとありますが、厚労省などのHPを読むのはその道の専門家がほとんどで、これでは周知にならないと思います。具体的にどのメディアを用いて周知させるのか、その予算についてもきちんと議論し、明示しておくのがよいと思います。
・19ページ「可能性が高いものがチェックインしようと」の何がチェックインするのかが不明瞭です。

診断・検査について
・初動のPCRの使われ方について。「PCRにより、新型インフルエンザウイルスのH型、N型を明らかにされた結果を速やかに公表し、その重症度の情報などを的確に伝達する」というような、文章が必要と思います。また、そのH5N1が鳥インフルエンザとしてのそれなのか、新型インフルエンザなのか、あるいは不明なのかも公表する旨、明記しておくべきでしょう。
・74ページで是非加えていただきたいのが、検査態勢の調整です。蔓延期では、おそらく微生物学的に新型インフルエンザか否かの区別の持つ意味は希薄になります。全例検査で確認していては、検査態勢が崩壊するリスクがあります。その場合、選択的なサンプルしか受託しないという選択肢を設けた方が現実的でしょう(技師1ローテート研修あたり何検体、、、など)。2001年にNYで炭疽菌が問題になったときも、膨大な検体で検査室がパンクしました。疑い患者は検査をする、という流れは、あるレベルまでしか通用しないと思います。

フェーズの考え方について
・(参考)改定前の行動計画におけるフェーズ分類と発生段階との対応表
フェーズ               発生段階    
フェーズ1、2A、2B、3A、3B  【前段階】未発生期
フェーズ4A、5A、6A       【第一段階】海外発生期
フェーズ4B             【第二段階】国内発生早期
フェーズ5B、6B          【第三段階】感染拡大期、まん延期、                     回復期
後パンデミック期           【第四段階】小康期
※「A」国内非発生 「B」国内発生
この分類はまだ検討する必要があると思います。













国内で新型インフルエンザが発生した場合の第2段階、第3段階と、国外でフェーズ6になった段階での第1段階は根本的に意味合いが異なります。
この点を含めての発生段階の分類改訂をご検討頂けないでしょうか。

封じ込め段階の対応について
・現在のガイドラインの案では、封じ込めの概念が分かりにくい印象があります。もっと具体的に「1例目」、「1つめのクラスター」という表現を取り入れられたら如何でしょうか。
・また、封じ込めの段階(フェーズ4-5)の対応については専門的な知識が必要になると考えます。各地域で専門家を育成するよりは中央で育成した人材、蓄えた物資を発生した地域に派遣するシステム(例えばFETPを派遣する、専門医療チームを派遣する、封じ込め時のタミフルは国が備蓄する等)をご検討頂けないでしょうか。フェーズ6においては、封じ込めといっても全国各地で同じような状況が多発することが想定されるため、対応としては現行の方法を踏襲せざるを得ないと考えます。
・封じ込めの段階と、パンデミック期の対応は根本的に全く異なるものであり、封じ込め期の対応は国、パンデミック期の対応(発熱相談センターの設置,患者の振り分け,医療体制,等)を各地域で考えるとして頂いた方が、対応がし易くなります。


発熱相談センターについて
・66ページ、発熱相談センターは誰の担当か明示しておいた方がよいと思います。個人的には一般情報提供は録音テープかウェブの紹介、個別の相談は医療従事者(医師、看護師、保健師など)の業務とすべきです。医師は、発熱外来に行かないひとたちを当てればよいでしょう。「だれでもよい」になると、医療判断の責任はどこにあるのか(まちがってトリアージした場合)の問題が生じる可能性がありますし、それを回避するために「全員病院に行ってください」という実質的な意味を失ったざるのような相談センターになるリスクがあります。SARSのとき岩田は北京で電話対応をしていましたが、個別のケースについて事務の人たちによる対応は不可能で、全部ドクターに電話を回していました。発熱相談センターのあり方についてはもっともっと詰めるべきだと思います。回線数はいくつが妥当か、24時間態勢でやるのか、休日はどうか、各段階ごとにやり方を変えるのか、などなど。
・いくつどこに配置するのか、その機能やどのような人をどのように配置するのか、ハード面などをもう少し具体的に示してほしいと思います。例えば、診療も相談もするのであれば、保健所との役割分担はどうなるのでしょうか。
・広報について、ポスターや広報誌だけで十分なのか?という点が疑問です。第1段階に入る前に、発熱相談センターがいつ、どこにできて、電話番号は何番で、ホームページのURLは何でという情報を提供して頂きたいと思います。
例えば, HIV検査・相談マップのように,全国の発熱相談センターの場所と電話番号がすぐ確認できるようなシステムもご検討いただきたいです。新聞などの夜間休日の医療体制の欄に発熱相談センターの連絡先を入れる等も検討してもよいでしょう。
・ 1病原体のスクリーニングのために、国、都道府県の予算を削って、大量にプレハブつくりの外来を作ることには意味はないと考えます。発熱患者用の外来を各病院に作り、その中で原因不明の重症肺炎の流行がないか、通常のインフルエンザ検査では陰性だが、発熱、咽頭痛、咳、くしゃみを主症状とする病気の流行がないかを常にチェックできる体制を作ることを検討して頂くのが得策と考えます。感染症指定病院だけでなく、地域毎に一定以上の規模の病院には陰圧の発熱・感染症外来を作るよう予算を配分した方が、新型インフルエンザだけでなく、新たな感染症の流行をいち早く察知するという立場からみると、その場しのぎの発熱外来を作るより有効と考えます。呼吸器感染症全体の対策という観点からこの問題を捉えた方が、「新型インフルエンザ」の場当たり的な対応よりも遠回りなようで一番の近道なのだと思います。
・ 新型インフルエンザ患者を電話で診断し処方箋をFAXで送るという件がありますが、軽症か重症かの判断は可能としても、新型インフルエンザかどうかを電話で判断するのは難しいのではないでしょうか? 
・ 更にいえば、発熱外来においてさえ判断は非常に難しいと考えます。
また、電話でとなった場合,軽症患者に貴重な抗ウイルス薬を使用することになると考えますが、軽症患者に乱用するのは如何なものでしょうか。
抗ウイルス薬の対象者についても具体的にガイドライン上で示して頂きたいと思います。
・68ページ。曝露者で感染の可能性のある医療者を指定医療機関に送るのは、全く非効率的です。どのような症状であれば、という部分をしっかり明示すべきです。自家用車で移動できるくらい元気なひとがどうして指定医療機関に行かねばならないのでしょう。自宅待機が妥当だと思います。感染症法が壁になっているのかもしれませんが、本末転倒な議論に陥るのではなく、本質的に誰がどのように利益を得るのか、という観点からこの問題を捉え直すべきでしょう。診断まで患者を6時間弱も待たせる、というのも現実的ではないと思います。

 

・ここで、発熱相談センター、発熱外来、病原診断についての一つの案をここに提案します。

外国人対応について
・外国人に対する記述が一切なく、外国人に対して不親切な印象を受けます。外国人に対する対応もガイドラインに入れ、英語、ポルトガル語、スペイン語、中国語、韓国語等の多言語に訳して公表することも検討してください。
・発熱相談センター等について、各地域で多言語対応するのは困難であり、中央で一括して多言語対応の相談センターを設置することも検討して頂きたい。
(英語以外の言語について)

個人情報保護について
・67ページ、下の「当該者の個人情報保護には、、」の文章は意味不明です。保健所に患者の情報を提供しなくてよいのかどうか、どこまで提供すべきなのか、してはいけないのか、もう少し明快に記載してください。
・68ページ。名簿を作成する、とありますが、これは個人情報保護上どういう扱いになるのでしょうか。感染症法1類ということであれば名前などすべて保健所に提出はできるでしょうが、「疫学調査のために」その情報をどこまで利用できるかは、感染症法、個人情報保護法ともに不明確だと理解しています。感染症法が純粋に公衆衛生的な目的に活用され、それゆえに個人情報保護よりも優先する場合があることは理解しますが、その実態は、しばしば純粋な学術的目的にそれが利用されていることもあります(例えば、結核)。その場合は患者本人の同意(インフォームド・コンセント)を必要とすると思いますが、いかがでしょう。

保健所の役割について
・保健所の役割を明確化してください。積極的疫学的サーベイランスを主体にするのか?発熱相談センター及び患者の振り分けのセンター(トリアージセンター?)を主体にするのか?おそらく両方を同時にするのはマンパワー的に厳しいと考えます。
・すでに述べましたが、封じ込めの段階については各地域に任せるのではなく、国が主導権を取って対策をとり、そして各地域(保健所を中心)はパンデミック期に向けての対応を取るという形の方がよりスムーズに対策がとれると考えます。FETPなどの役割もより明確にすべきでしょう。
・第1段階に入る前に、各保健所はトリアージセンターの設置場所、担当者、連絡先を医療機関に伝えておくことという文言を入れてください。

治療について
・「抗インフルエンザ薬のガイドライン」は、何も語っていないのと同じで、根本的な改善をお願いします。どの患者にどの薬を何ミリグラム、何日間投与するのか、曝露後に対してはどのくらい投与すべきか、時期によって変更すべきか、まったく不明瞭です。アマンタジンなど併用薬として期待されている薬についても全然言及がありません。経口摂取ができない患者に対する投与方法は?腎機能が悪い場合は?小児は?発症48時間以上たった場合は?治療をwithdrawする基準は?など臨床現場では山のような疑問がわいてくるはずです。本ガイドラインは、率直に申し上げて、全く役に立ちません。
・処方の方法についてですが、FAXで処方できるのは抗インフルエンザ薬のみでしょうか?

抗インフルエンザ薬について
・ 一般医療機関では備蓄しないでも、国がそのすべてをまかなうように書かれていますが、実際の現場では、本当に備蓄が不要なのか、不安を感じているという声を聞きます。もっと具体的に、これら薬剤の、段階に応じた支給システムを示すべきと考えます。

季節性インフルエンザについて
・103ページ、シーズナルなインフルエンザワクチンの運用についても不明瞭です。どのフェーズで誰が接種を受けるべきなのか、いつ接種をうけるべきなのか、一回なのか2回なのか、全く分かりません。添付文書には基礎疾患があるときは接種を控えるように、ととられる文章になっていますが、本当にそれでいいのか、新型インフルエンザ流行時は基礎疾患のある患者こそシーズナルのワクチンを打つべき、という厚労省の姿勢、態度、意見も明示すべきです。

防護用具の備蓄に関して
・用意すべき、具体的数量の算定例を示してください。

食料など
・食料品についても、どのようなものをどのくらいの量備蓄すればいいのか具体的に明示すべきです。確か、WHOの災害ガイドラインでは、備蓄しておく水の量など具体的に記載されていたと記憶しています。

リスクコミュニケーションガイドライン
・読点を使いすぎ、一文が長すぎるのでは?ちゃんと効果的なコミュニケーションの模範を示さなければ、ガイドラインの意義が半減すると思います。
・具体的なコミュニケーションのあり方、情報公開の原則や程度、コールセン
ターの具体的な役割など、ガイドラインと呼ぶには、かなり内容が希薄といわざるを得ません。
今後充実していくのだと想像します。

以上、かなり直言させていただきましたが、パブリックコメントとは、本来そういう性質のものと存じます。的を外れていることがございましたら、ご寛容ください。

医療における第三者評価

ある小説家が第三者評価を受けることにしました。

ちゃんと小説を書く部屋があるか
机はあるか
万年筆は
原稿用紙は適切な量おいてあるか
辞書は整備されているか
小説家の年間執筆時間は適切か
小説家の年間執筆原稿量は適切か

でも、小説は読まれなかった、、、、、

ときに、中央官庁も第三者評価を受けるべきだと思います。意志決定のプロセスとか、、、、

自分たちが序列化の価値観に支配されているくせに

学力テストの結果を公表すると、序列化が進む。というのは文部科学省

なぜ、そう決めつけることができるのでしょう。こんなに少子化が進んでほとんどみんなが高校、大学に進むことができるというのに。その高校、大学の名前を聞けば、どの辺のランクにいるのかすぐに分かる社会に住んでいるのに。そもそもOECDのPISAの順位が上がった下がったと一喜一憂して教育政策も朝令暮改なくせに。成績の悪い学生(国家試験の合格率など)のいる大学・学部の補助金カットをやっているくせに。

序列化の価値観に支配されているのは他ならぬ文科省ではないか。自分たちがそういう価値観にどっぷり浸かっているから、他の人たちもそう考えると決めつけている。何という想像力のなさだろう。何を偽善者やっているのだろう。

テストの結果など、各人各様、好きなように使えばよいのです。序列化が進めばその学校や教員が未熟だ、ということが露呈されるだけのこと。

大阪府の橋下知事が、文科省を馬鹿呼ばわりしています。そういう、「本当のこと」をいうのは、よけいに反発を買います。

そのとおり だからよけいに 腹が立ち

文科省は自らのレゾンデートルをもう一度考え直すべきでしょう。それは国民をコントロールすることではないはずです。そんな品のないことばかりやっていると、橋下さん以外からも、「あんた達は要らない」と見捨てられますよ。

今年のベスト本

今年何冊本を読んだでしょう。あと何冊読めるでしょう。まだ24日ですが、おそらくは文句なしの今年のベストです。

奇跡のリンゴ

テレビの方は見ていませんが、本当に感動しました。他人の武勇伝の過度な演出は、プロジェクトXとかでもちょっと興ざめなのですが、木村さんはあまりに凄すぎて演出のいやらしさなどを意識すらしなかったです。このような話を冷笑するほどシニカルに生きることはよほど難しいでしょう。

本当に今年はいろいろなことがあり、人生で一番苦しい思いをした、なんて思っていましたが、本書を読んでそんな甘えた心はすぐに消え去りました。私は十分恵まれています。

巻頭にあるのはタゴールの詩です。

危険から守り給えと祈るのではなく、、
危険と勇敢に立ち向かえますように。

痛みが鎮まることを乞うのではなく、
痛みに打ち克つ心を乞えますように。

人生という戦場で味方をさがすのではなく、
自分自身の力を見いだせますように。

不安と恐れの下で救済を切望するのではなく、
自由を勝ち取るために耐える心を願えますように。

成功のなかにのみあなたの恵みを感じるような
卑怯者ではなく、失意のときにこそ、
あなたの御手に握られていることに気づけますように。

タゴール 「果物採集」より 石川拓治訳

内藤大助対山口真吾 WBCフライ級タイトルマッチ

いや、すごい試合でした。ここ最近見た中ではベストバウト。昔、ESBL、じゃなかった、ESPNクラシックで観たモハメド・アリ対チャック・ウェブナー(映画ロッキーのモデルとなった試合)を想起させました。挑戦者の山口選手もチャンピオンの内藤選手も素晴らしかったと思います。

今日は昼にクロワッサンを作ろうとしてただのロールパンになり、夜にウニパスタを作ったけれど娘に「まずい」と一刀両断された散々な日でした。本日、DSの囲碁検定で9級獲得(要するに素人と言うことです、、、、)。先日受けたフランス語検定4級も無事合格(要するに素人と言うことです)。感染症専門医試験も合格(こっちはプロなので当たり前か、、、)。本当は中国語検定も今年度受けたかったのですが、1−3月のスケジュールはむちゃくちゃで今年度中は不可能っぽいです。原稿はまあまあ進みました、、、、年内に2冊書きあげられるか、、、、

ジャン・バルモン

ジャン・バルモンのカベルネ。安いのに品があって、自作のスペイン風オムレツ、野菜焼き、豚肉のソテーによく合いました。

今日は松本幸四郎の特別番組を見ながら自宅で昼食でした。本当、歌舞伎役者って大変です、、、、、また機会があったら観に行きたいですが。

テルモ・ロドリゲス

初めてテルモ・ロドリゲスを堪能したのは日本橋のサンパウでした。これはGAZURですが、実に深みのある味わいです。自宅で鉄板焼き風焼き肉を調理しながらいただきました。

今週のジャーナルクラブ

Circulation
2008 vol. 117 (24) pp. 3118-25
pubmed ID 18541739

抜歯時に抗菌薬を投与するとたしかに菌血症は減るけど、歯磨きで起きる菌血症のインパクトが大きすぎて、あまり意味ないみたい、という論文。デザインが秀逸。AHA2007をサポートする内容。

Intensive Care Medicine
2008 vol. 34 (12) pp. 2185-93
pubmed ID 18622596

重症患者のカテ感染で大事なのは、ピックを入れること。中心静脈ラインの位置はあまり関係なし、、、数年前の環境感染学会の議論に一石を投じる論文。

N Engl J Med
2001 vol. 345 (19) pp. 1368-77
pubmed ID 11794169

今や古典的とも言えるEGDTの原著論文。今読み返すと、もっとも素晴らしかったのは、ERで振り分けて、あとで入院、という米国型の医療システムでした(これでブラインド化ができた、、、)。

BMJ
2007 vol. 335 (7632) pp. 1248-51
pubmed ID 18037615

アンチトロンビンIII(ノイアート)は効かない、重症患者には効かない、大量投与でもダメ、という論文。書いたのはシニアレジデント、、、、

N Engl J Med
2001 vol. 344 (6) pp. 403-9
pubmed ID 11172176

耳鼻科の藤田先生が選んだのはこれ。7価の肺炎球菌ワクチンは急性中耳炎を減らすか?という命題。結論は「効く」と書いているが、実は、、、そういえば、この頃娘はプレブナーを打ちました、、、、

今週もたくさん勉強できました。

脳卒中患者にメトロニダゾールは禁忌か

経口メトロニダゾール(フラジール)の添付文書が2008年3月に改訂になりました。そこで、

中枢神経に基礎疾患を有する者

が禁忌疾患に加えられています。

たしかに、米国のパケッジインサートには「中枢神経症状が出たら薬を中止するよう」「中枢神経疾患があれば減量を」と記載されていますが、「中枢神経疾患があれば禁忌」とは書いてありません(両者の意味は全く異なります)。

そこで、メーカーの塩野義製薬を介してPMDAに疑義照会をおこなうことにしました。

・なぜ(FDAよりも圧倒的にスタッフ数が少なくて添付文書の改訂業務は全然後手に回っている、といわれる)PMDA(あるいはその周辺)は今年になってこのような添付文書の改訂を行ったのか。
・添付文書の改訂に当たり、中枢神経疾患を有する患者に対するメトロニダゾールの与える影響について、追加の臨床試験を行ったのか。あるいはそれ以外のデータがあるのか。どちらにしても、あれば全て開示してほしい。
・メトロニダゾールを必要とする患者で中枢神経疾患を有している場合、PMDAは代わりに何を使うべきと考えているのか、対案を提示してほしい。
・もし、中枢神経に副作用がある、という根拠のみで中枢神経疾患を有する患者に使用を禁ずるのであれば、カルバペネムやニューキノロンも全て禁忌にすべきではないか。そうでなければダブルスタンダードということになる。

日本の薬の添付文書は「禁忌」の不適切記載が目立ちます。添付文書は薬物の属性を評価したものであるべきで、その「価値観」を勝手に強制すべきではありません。提示されるべきは、データです。どのような効能があり、どのようなリスクがあるのかをしっかりと明示すればよいのです。それをどのように料理するかは、現場の医療者と患者の価値観にゆだねればいいのです。これは悪しきパターナリズムです。価値観の押し売りはよほど極端な例に限定すべきなのです。

たばこ税増税見送り

新聞記事を読んでももう一つ、「なぜ?」という感じですが。日本の新聞は読むと謎が深まる、の法則はここでも当たっています。

リーダーシップが示せませんね、日本の首相。ヴィジョンが示せませんね、日本の政治。もう、あきらめた方がよいのでしょうか、、、、

それにしても、、、

忙しいです。あらゆる領域でひっちゃかめっちゃかです。でも、ほっとブレイクで、チリのCono Sur。安くて美味しいデイリーワインです。この安さでこの味は素晴らしい。

テノホビルとB型肝炎

最近B型肝炎を多く診る機会が多いです。で、NEJMの論文。アデフォビルよりも(短期の)効果は高い、というものでした。しかも、圧勝です。さて、どうなるか。

治療をためらうあなたは案外正しいは、結構正しい

名郷直樹先生の新著と山之内秀一郎の「JRはなぜ変われた」を埼玉出張の行き帰りで読みました。

JRについては最近「私の履歴書」でも読んでいて、いかにお役所体質を改善するか、という興味深いモデルケースとして読みました。メンタル面もそうですが、具体的な技術開発やシステムの改善が人のメンタリティーそのものをよくしていくように思いました。使えるか?

名郷先生の本は患者さん向けに書かれたようですが、医者の私が読んでもとても勉強になりました。最近プライマリ・ケアの勉強を怠りがちですし。

エビデンスを出さないと分からないようなpositive findingsは大したfindingsではない、という気がします。まんが医学の歴史を読んでいてジェンナーがどうやって天然痘ワクチンを開発したかを読むと現在の目から見ると非常に稚拙な臨床試験のデザインでやっています。でも、世界で一番インパクトの大きな医療を開拓したのでした(病気の撲滅!)。大規模なランダム化試験をしないと見えないようなpositive findingsはあまりインパクトの大きなfindingsでは原理的にあり得ないのです。逆に、negative findingsは重要で、「なんだ、上の先生が必ず使えといってた薬も案外効かないな」みたいな教訓になります。古来、positive findingsは出版されやすく、negativeは出にくいみたいな流れがあったのですが、むしろ逆なんじゃないかという気すらしてきます。

あと、これもべらぼうに面白かったです。悲惨なことが多い医療界ですが、だからこそユーモアの精神は失いたくないものです。

以前、麻生首相が「医者は常識欠落」みたいなコメントをしたとき多くの医師が非難したようですが、日本の首相程度にかっかして噛みついては面白くありません。「めっそうもない。総理にはとてもかないませんよ」くらい笑顔で返してあげたいものです。

本当にそれでいいのか

金曜は愛媛の宇和島で講演、土曜日は広島で化学療法学会、日曜日は東京で性感染症学会でした。

学術集会は基本的に苦手なのですが、いろいろえるものはありました。

まず、化学療法学会。発表のレベルが玉石混合でした。佐賀の青木洋介先生のご発表はMRSA肺炎の妥当な診断を求めて尤度比を暫定的に計算したもので、非常に面白い取り組みだと思いました。ただ、化学療法学会で「尤度比」が十分に聴衆に理解されたかは、はなはだ疑問です。

座長をやっていて、いろいろ突っ込みどころは多かったのですが、ここは時間もおしていたのでさらっと流さざるをえませんでした。いいのかな、こんなことで。あと、多くの演者が時間を守らないのがとても気になりました。最低限のマナーですので、そこは守るべきでしょう。しゃべる人の都合ではなく、聴く人の都合で会は進行されるべきです。

性感染症学会は、IDATENとのコラボで自治医科大学の笹原先生、岩田のプレゼンの後、青木眞先生が座長で症例検討会でした。旭中央病院の中村先生、駒込病院のエース、柳沢先生、聖路加のチーフレジの森先生のご発表でした。青木先生の変わらぬするどいコメントもあってとても勉強になりました。笹原先生はプレゼン、とっても上手ですね。

このとき、性感染症学会が出した今年の新しいガイドラインを購入しました。CDC2006にならって症状に応じたアプローチをしていたのは好感がもてました。その一方で、執筆者による質の差があまりにひどすぎて、そこは問題でした。監修者の問題だと思います。

確かに、しゃんしゃんで終わりがちな日本の監修者は相手のプライドを傷つけないよういろいろ気を遣ったりして大変だと思います。でも、やはりガイドラインとしてこのようにまとめるのですからpeer reviewはきちんと機能していなければなりません。私も、監修していたある雑誌の特集の原稿を一回「ボツ」にしたことがあります。それは特集の趣旨とはあまりにかけ離れていた内容だったからで、やむを得なかったのでした。それは監修者の責務であり、それがする勇気を持たないようなら監修者たる資格はないと思います。

あと、やはりエビデンスレベルくらいは明示してほしかったです。学会員以外にはアクセスが悪いのも、日本の診療ガイドラインの相変わらずの欠点です。呼吸器学会の肺炎のガイドラインだけが、これを(そこそこ)うまくクリアしています。きちんと無料で誰でも(患者にも)読めるようにウェブ上で公開するのが、まっとうな医療者の態度だと思います。カネの論理が論理の全て、というアメリカですら、ちゃんと診療ガイドラインは無料で公開しているというのに。

それにしても、なんで同じ日に感染症関係の学会を3つもやるんだか全然理解できません。性感染症学会、感染症学会西日本大会、化療学会西日本大会。しかも、感染症と化療学会は同じ日、同じ場所で行われていたにもかかわらず「別々に」開催していました。愚行としか思えません。ただでさえ日本の感染症業界はヒトが少ないというのに、脚を引っ張り合って何が楽しいのでしょう。

そういえば、感染症学会の東日本大会もICAAC・IDSAと同時開催でした。何かが間違っているとしか思えません。こういうへんてこな判断をしている限り、日本の学術団体には未来はないのでしょう。

MRSA腎炎?

MRSA腎炎という疾患概念があるそうで、腎臓素人の私が愛読している
「レジデントのための腎疾患診療マニュアル」では、MRSA感染後のスーパー抗原がT細胞に作用して起きる腎炎で抗菌薬で治療と解説されています。ただ、いくつか疑問点はありまして、

1.ほとんどが日本の症例である。
2.日本でよく見逃されている心内膜炎(とそれによる腎障害)が混じっているのではないか
3.MRSAといっておきながら、いろいろ論文を読んでいるとMSSAやMRSEも混じっていて、よく分からない。疾患定義が確立していない?本当にMRSAだけの属性なのか?
4.治療は抗菌薬、と書いてあるが、敗血症治療後に腎炎になったらまた抗菌薬を使わなければいけないのか?本当に治療効果はあるのか?感染後の免疫学的な炎症に抗菌薬が効くとも思えないが、、、、たとえば、A群溶連菌による咽頭炎で、糸球体腎炎になっても抗菌薬では腎炎そのものはよくならないと認識しているが、、、、で、論文によっては、イミペネムで治療したとか書いてあるし、本当に意味不明(Yoh et al. Clin Nephrol 48:311-316, 1997)。オーストラリアの論文では8例に抗菌薬使用したが3例のみ回復で、それもベースラインが軽症だったからかも、、本当に抗菌薬治療がいいのでしょうか、(Satoskar et al. Clin J Am Soc Nephrol 1;1179-1186, 2006)

素人なので勘違いの疑問かも知れません。

ちゃんと考えれば分かること

こんなニュースがあります。

報道で全てが知らされることはないのが常ですが、当然神戸大の学生へのワクチンも「強制」ではありません。原則接種にはしていますが、例えばアレルギーがある、宗教上の理由がある、どうしても打ちたくないという場合は強制はしません(米国など諸外国でも同じです)。強制的な医療行為などできるわけがないので、ちょっと冷静になって考えてみれば当たり前の話です。

そもそも、いままでだって麻疹が流行すれば「休校」措置を執っていたのです。でも、免疫があれば学校を休む理由がありません。その人たちの学ぶ権利を阻害せず、休校による流行を防ぐには、免疫のない学生が学校を休むしかないのです。いままでの休校はOKで免疫のない学生が登校しないのはだめ、というのは論理矛盾です。

私個人は「定期接種」を全廃し、全て任意、「ただし無料かつ強く推奨」というヨーロッパのやり方に移行すべきだと思っています。予防接種も自律的であるべきなのです。定期、任意という考え方そのものが国民の自己決定権を阻害する「上から目線の」行政判断で、要は我々は行政に馬鹿にされているのです。馬鹿に馬鹿にされるくらいむかつくことはありません。

それにしても、、、、

パーカーポイントが高いワインは、月並みですがおいしいです。これは空けて1日待った方がおいしかったです。そういうこともありますね。

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