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2009年2月

本日のJクラブ

Lack of association between atelectasis and fever
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無気肺は熱の原因になる、と教科書によく書いてあるが、ほんま?という面白い論文。既存のドグマにゆさぶりをかける発想が面白いです。

Antibiotic-coated hemodialysis catheters for the prevention of vascular catheter-related infections: a prospective, randomized study
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透析カテーテルにミノマイシンとリファンピンを塗るとカテ感染は減りますよ、という論文。

The usefulness of adenosine deaminase in the diagnosis of tuberculous pericarditis
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結核性心外膜炎の診断にADAは役に立つの?という論文。陽性でも断定できず、陰性ならある程度除外に有用。

Brief Communication: Treatment of Enterococcus faecalis Endocarditis with Ampicillin plus …

以前読んだ腸球菌の心内膜炎にセフトリアキソンをかませちゃえ、という野心的な話。

診断力強化に、、、

診断力の弱さは、臨床力の弱さに直結します。素晴らしい診断エピソードを集めた診断力強化トレーニングを読みました。洛和会音羽病院の京都GIMカンファレンスの実況中継です。とてもレベルが高くて驚きです。勉強になりました。ダジャレは今ひとつでしたが、、、

HIV エイズを独学するには、、、、

 HIV/エイズ領域の独学は大変です。進歩も早く、情報量も多いですが、その質の峻別がとても難しいのです。

 研究者マターのアップデートと臨床家が知っておかねばならないアップデートは微妙に異なると思います。学術集会ではそれが混在しているため、どの辺がmustな知識でどの辺がオタッキーな知識なのかも判然としづらいです。新しい薬の情報はMRさんがもってきますが、新しい薬の立ち位置は教えてくれません。薬とは、立ち位置こそが重要なのですが。

 で、個人的にお奨めなのが以下のサイトです。米国のHIVのプロがCROIなど先端の学術部分を我々にかみ砕いてボトムラインを教えてくれます。これを読めば最新の、そして臨床に直結した部分の知識が無理なく手に入りますし、もとのソースへのアクセスも容易です。

http://blogs.jwatch.org/hiv-id-observations/

 もちょっと時間があれば、medscapeそのものを読むという手もあります。

http://www.medscape.com/hiv


最近読んだ本

隠喩としての病い エイズとその隠喩 スーザン・ソンタグ みすず書房

学生のときに読んだ本を再読です。とても有名な本ですが、今の目で見ると文章の格調の高い割には議論はナイーブかなあ、という印象もぬぐえません。こちらもすれてしまったせいかもしれませんし、癌やエイズの隠喩そのものが変容したせいかもしれません。最近、村上春樹のノルウェイの森を再度開く機会がありましたが、やはり同じような違和感を感じたのでした。これも学生時代には感動して読んだ本ですが、、、

日本の医療制度改革がめざすもの 辻哲夫

もと厚労省事務次官が書いた日本の医療現状の概要と改革案のまとめ。現状説明としてはとてもよくできていますが、明日に進むべき道が示されているか、、というと微妙です。

本を読むペースが今年になってがくっと落ちています。たいてい、1回出張に行ったりすると新書の数冊くらいは読破するのですが。その代わり、トルストイのアンナ・カレーニナを精読しています。ゆっくりとじっくりと楽しく読んでいるところです。

最近みた論文

Acute forms of tuberculosis in adults Am J Med 2009 vol. 122 (1) pp. 12-7

通常はゆっくり病の結核も急性発症することがあります。結核は難しい、を再認識する論文

Detection of Toxoplasma gondii, Epstein-Barr virus, and JC virus DNAs in the cerebrospinal fluid in acquired immunodeficiency syndrome patients with focal central nervous system complications Intern Med 1999 vol. 38 (7) pp. 556-62

エイズ患者の頭蓋内病変の診断は困難です。それが困難であることを再認識する日本発の論文 PCRの価値は??

Aspergillus galactomannan testing in patients with long-term neutropenia: implications for clinical management Ann Oncol 2008 vol. 19 (5) pp. 984-9

FNでガラクトマンナンはどのくらい役に立つ?型の論文。陰性の時は役に立つかと思いきや、方法論に致命的な問題が、、、、

Double-blind, placebo-controlled study of oxacillin combined with rifampin in the treatment of staphylococcal infections Antimicrob Agents Chemother 1985 vol. 28 (4) pp. 467-72

ブドウ球菌感染症にリファンピンをかませるのはどうか、という話題。面白かったのは、低容量だとむしろアンタゴニスティックになるかも、、、という話題。

Brucellosis N Engl J Med 2005 vol. 352 (22) pp. 2325-36

非常によくできた総説。一文一文ためになりました。

Case records of the Massachusetts General Hospital. Case 34-2008. A 58-year-old woman with neck pain and fever N Engl J Med 2008 vol. 359 (18) pp. 1942-9

CDCのガバディング先生がまとめているケースカンファレンス。MGHケースは最近サボっていましたが、やはり勉強になります。ここでも検査陰性=病気の否定にあらず、のはなし。

Rapid diagnosis of human brucellosis by peripheral-blood PCR assay J Clin Microbiol 1997 vol. 35 (11) pp. 2927-30

タイトル通りの論文



新刊です、、、

新しい本を出しました。医療者向けと言うより、一般向けに書いた本です。世の中感染症だけが問題ではない、と思いつつも感染症の立ち位置を探し直してみました。なんのこっちゃ。

街の灯

別に最近観た映画ではないですが、ふと思い出したので。

好きな映画を10本選べ、と言われたらとてもとても迷うでしょうが、必ず入るであろう1本の一つが、チャップリンのサイレント映画、「街の灯」です。小学生の時に初めてNHKかなにかで見て、その後何度見直したことか。その展開をほとんど暗記しているほど、録画したVHSのビデオテープがすり切れるほど繰り返してみた映画です。

悲しみを知るものが、本当のユーモアを知るのだ。そのことを理解したのは、まだIRAのテロ行為とそれにまつわる抗争が激しかった北アイルランドを訪れたときでした。アイルランド人はひょうきんなことでよく知られていますが、その歴史は陰惨な悲劇に血塗られています。だからこそ、その笑顔がひときわ美しいのでしょう。

さて、以下、ネタバレです。

映画、「街の灯」はチャップリンのギャグ全開、とても面白い傑作です。でも根底に流れるのは痛々しいまでの報われない愛情と悲劇性が全編を覆っていることです。そのコントラストに人々は感動するのでしょう。ルンペン姿のチャップリンは盲目の娘に手術を受けさせるために(お金持ちのふりをしたまま)金策に走ります。しかし、無実の罪で牢獄に入れられてしまう。ようやく娑婆に出ると、目の手術をして見えるようになった娘がいました。目の前にはみすぼらしい格好をした自分がおり、あろうことか、彼女はチャップリンに小銭まで恵もうとします。いたたまれない、つらい立場のチャップリンですが、彼女がその手を取ったとき、、、、という話。最後の字幕でひとこと、You?と出てくるのが本当に感動的です。このラストの解釈はいろいろあるようですが、私はこれを、悲劇性の浄化であると、すこしナイーブかもしれませんが、解釈したいです、、、、

普通の接遇

うちのスタッフのKさんは接遇のトレーニングを民間で受けているので、「常識」をお持ちです。で、そういうものが常備されていない方のために、接遇講習をやってもらいました。とてもよかったですし、私自身勉強になりました(私もトレーニング受けてない、、、、医者ってだめですね)。

さて。そのレクチャーで出てきた、「相手をいらだたせる表現」
できますけど、
やりますけど、
今日中に送りますけど、
といった逆説的表現

わかっています
という無責任表現

一応調べました
たぶん大丈夫です
という雑な表現

このことは知ってますよね?
理解してます?
だから言ったでしょう?
それは無理です
という威圧的表現

後日、、
そのうち、、、
あいまいな表現、、、

規則ですから
決まってますから
これが一番いい方法です
皆さん同じですから
指示・命令的表現、、、これ多いなあ、、、、、、この周辺

だから
ですから
だって
、、、、、で?
でも
というDのことば

なるほどねえ。それで昨日はあるお役人の方との面接があったのですが、でるわでるわ、「相手をいらだたせる表現」のオンパレード。なんか、ぼこぼこに反駁してしまいました。こっちも疲労の極致で間が悪かったこともあったのですが、、、すみません、、、、

お役人・公務員(的な人物)に一刺しの言葉というのもあります。
「現状維持以外の何かをやってください」
「あなた自身の見解はどうですか」
「これからどうするおつもりですか」
「そうすると、何がもたらされるのですか」
「やってみてうまくいかなかったときの対案はなんですか」
「なんのためにそうするのですか」
「マニュアルに書いてある、では不十分です。結果を出してください」
「そうなっているから、そうなっているは単なるトートロジーです。もう少しマシな説明をしてください」

「中央の通知が来ないので判断できません、はいいわけにはなりません。あなたの見解は何ですか。子どもの使いではないでしょう」

「これまでがそうでした、というのはこれからもそうです、という根拠にはなりません」
「他の人がそうやっている、他がやっていないから、というのは小学生の理屈です。大人のコメントをお願いします」
こんなもん、使わなくてもいいように仕事ができれば、それに越したことはないですが、、、

耐性菌の歴史を俯瞰する

20世紀前半に重症感染症の行く末を劇的に変えたのが抗菌薬です。当時の医療者は、それはたまげたことでしょう。

ところが、その抗菌薬のなかった時代に逆戻り、という事態が現実に起きています。私個人も抗菌薬がアウトの緑膿菌で患者さんが絶命するに至り、強い無力感に歯がみしたことがあるので、私にとって、これはとてもリアルな問題です。

感染症対策の歴史を俯瞰する作業を今行っています。人間は歴史に学ぶことが出来るか。あるいはバーナード・ショウ(だっけ)が言ったように、人間とは歴史から何も学ばない、ということを歴史が教えているのか。まあ、我が身の愚かさを鑑みるに、後者の可能性の方が確かに高いかなあ、、、、なんて思いますが。

というわけで、NEJMの特集をご覧あれ。

quote of the day

A wise man will make more opportunities than he finds.

Francis Bacon

チャンスはさがすものではなく、作るものだ。

昭和の軍隊を振り返る

感染症屋は歴史が大好きな人が多く、このツボにはまると話がとまらなくなってしまう人もすくなくありません。

私の好きな半藤一利、保阪正康両名がかかわった2冊は、昭和の陸軍、海軍がどこで道を誤ったのか、いろいろ考えさせてくれます。とくに半藤さんは実在の歴史上の軍人に直接会ってお話を聞いているエピソードがたくさんあって、おもしろい。

昭和の名将と愚将
昭和陸海軍の失敗

いずれも文春新書

やってみて、言って聞かせてさせてみて、褒めてやらねば人はうごかじ

という教育界ではあまりに有名な山本五十六のことばですが、実は山本自身は言って聞かせるのが下手だった、、、など興味深い話が満載です。まあ、教育者が人を動かすなど、自らをわきまえない不遜な話なのです。人とはそう簡単には動かない生き物です。自ら動きたい、と思わない限り。

ライブ ブラッド・メルドー

ものすごく心が痛んだり、つらかったり、悲しいとき、みなさんならどんな音楽を聴くでしょうか。明るく元気を鼓舞される曲でいくか、それとも辛い気持ちを慰撫するような優しくて静かな曲で行くか、、、、、

これは、ブラッド・メルドーのヴィレッジバンガードのライブ。後者に当たります。静かに、静かに、、、

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