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GVHDのまとめ

ランセットのGVHDのまとめです。よく見るのに、あまりまとめて勉強してきませんでした。それにしても、OmniOutlinerを使うようになってこのようなサマリーの作成時間が激減です。助かってます。

GVHD
- Lancet 2009;373:1550-61
-
- 造血細胞移植(HCT)の合併症としてGVHDは有名
- HCTは年間25000例行われている。
- graft versus tumor, graft versus leukemia effectにより悪性疾患は治療される。
- ドナーの白血球注入と骨髄を破壊しない(non-myeloablative)は状況、臍帯血移植を行うことで、ここ数年で同種HCTの適応は広がった。特に高齢者に広がった。
- 感染症の予防、サポーティブケア、DNAに基づく組織のタイピングもアウトカムを向上させている。
- それでも、GVHDは問題だ。
- この5年間で、血縁関係のないドナーの移植は倍増するだろう。つまり、GVHDも増えるということだ。
-
- 50年前、BillinghamはGVHD成立に必要な3つの条件を挙げた。
    - 1.グラフトに機能している免疫細胞がある。
    - 2.レシピエントが組織抗原を発現しており、それは移植ドナー側にはない
    - 3.移植細胞を除去する能力が患者にない。
- 免疫細胞は、今ではT細胞だと分かっている。T細胞が含まれている組織を除去できないときに、GVHDがおきる可能性がある。免疫抑制がある場合に特にリスクは高い。
-
- ホストのタンパク質にドナーのT細胞が反応するとき、GVHDがおきる。
- 特に重要なたんぱくは、人白血球抗原HLA。これをコードするのがMHC
- クラスI HLA(A,B,C)は遊郭細胞のほとんどで発現される。
- クラスII(DR, DQ, DP)は造血細胞(B細胞、樹状細胞、単球)で発現されるが、炎症や外傷があると他の細胞でも誘導される。
- 急性GVHDの頻度は、HLA蛋白のミスマッチの程度と直接相関している。
- だから、ドナーとレシピエントは、HLA A,,B,C,DRB1をマッチさせておいた方がよい(これを8/8マッチと呼ぶ)。しかし、臍帯血移植ではこのミスマッチは寛容される。
- にもかかわらず、HLAをマッチさせた移植でも40%程度で急性GVHDを発症し、高容量のステロイドを必要とする。
- これはHLA以外の遺伝子のちがいによるものだ。minor histocompatibility antigenと呼ばれる。この抗原のうち、HYやHA-3はほとんどの組織で発現され、GVHDやgraft versus leukemiaのターゲットとなる。HA-1やHA-2は造血細胞(白血病細胞含む)で多く、graft versus leukemia effectを高め、GVHDを減少させることが可能になるかも知れない。
- GVHDのリスクファクターにはサイトカインの多様性があり、これが古典的なサイトカインストームに関与している。TNFα、IL10、IFNγがいくつかのスタディーでは関与している、とされた。innate immunityを司るたんぱくの多様性、例えば、nucleotide oligomerisation domain 2とかkeratin 18受容体も関与している。ドナーの最適化にはHLAとHLA以外、両方の遺伝子の因子が重要なのだ。
-
- 臨床症状
- 急性GVHDは移植100日以内、慢性GVHDはそれ以降と定義されてきた。
- で、最近ではNIHの定義でlate-onset acute GVHDを100日後に設定し、overlap syndromeというacute, chronic両者の性格を持つものも規定している。
- 急性GVHDに多いのは皮膚、消化器、そして肝の症状である。
    - maculopapular rash
    - 悪心、嘔吐、食欲不振、水溶性下痢、強い腹痛、血便、イレウス
    - 高ビリルビン血症
- 皮膚所見がいちばん頻度が高い。かゆい。水疱や潰瘍を作ることもある。病理的にはepidermal rete pegsのアポトーシスが見られる(?)。dyskeratosis, exocytosis of lymphocytes, satellite lymphocytesがdyskeratotic epidermal kerainocytesの側に、血管周囲のリンパ球浸潤も真皮に見られる。
- 腹部では下痢、嘔気、嘔吐、腹痛など。分泌性の下痢で1日2l以上になる大量の水様便。血便は予後不良因子で、潰瘍形成に伴う。画像では内腔の拡張や腸牆壁の肥厚があり、ribbon signと呼ばれる所見がCTで見られる。air fluid levelがあればイレウスを考える。crypts のそこにアポトーシスがあったり、膿瘍があったり、表面上皮の平坦化や損失があったりする。
- 肝機能異常は、veno-occlusive disease(VOD)や薬剤性、ウイルス感染、敗血症、iron overloadとの区別が困難である。病理ではendothelialitis, リンパ球浸潤を門脈周辺に、胆管周囲炎、胆管破壊が認められる。肝生検は、血小板減少があったりして滅多に行われない。GVHDは除外診断になるのだ。
- 重症度はIからIVまで、mild, moderate, severe, very severeと呼ばれる。IIIでは5年生存率が25%、IVだと5%。
- 完全にHLAがマッチしていてもGVHDは35−45%で発症。ミスマッチが一つあれば60−80%。臍帯血であればリスクは減る。35−65%、、、、
- 慢性GVHDは再発の次に死亡に関与している。
- 急性GVHDが慢性化する進行性(progressive)、急性は治って、その後に発症する慢性型(quiescent)あるいは急性抜きで発症するde novoの3種類がある。
- リスクファクターは急性GVHDの既往と、年齢
- だから、急性GVHDを予防するのは慢性GVHDの予防に有用。
- 症状は自己免疫性疾患みたい、、、
    - 皮膚の色素剥奪、脱毛、多形皮膚萎縮症、扁平苔癬、強皮症
    - 爪の破壊
    - 口腔内潰瘍や硬化による開口制限、扁平苔癬様の病変、口腔乾燥
    - ドライアイ、シッカ症候群、結膜炎
    - 筋膜炎、筋炎、関節拘縮など
    - 膣硬化、潰瘍
    - 食欲不振、体重減少、食道ウェブ、狭窄
    - 黄疸、トランスアミナーゼ上昇
    - 閉塞性、拘束性障害。閉塞性細気管支炎、胸水
    - ネフローゼ症候群(まれ)
    - 心外膜炎
    - 血小板減少、貧血、白血球減少
    -
- pathophysiology
    - 読んだけど、書くのは大変なので省略、、、
    - ホストの組織障害、APC活性がドナーのT細胞を刺戟、Th1がCD4細胞、CD8細胞のCTLを介してTNFαやIL1をだし、ターゲット細胞の炎症やアポトーシスを促す。IFNγを介してマクロファージを経由するパスウェイも、、、
    -
- 予防
    - むずかしい
    - GVHDを予防しようとすると、グラフト不全や原疾患再発、感染症、EBV関連リンパ増殖性疾患のリスクを高めてしまう。
    - partial T-cell depletionはまだ研究段階。
    - 抗CD54モノクロナル抗体alemtuzumab。GVHDは減ったが再発と感染症が増えた、、、生存率に差はなし、、、
    - ex-vivo antibodyでドナーtT細胞のアナジーを誘導する方法。追試がない、、、
    - in vivoで抗T細胞抗体を投与するスタディーも。副作用がおおい。rabbit anti-thymocyte globulinはGVHDは減らしたが、生存率には差が出なかった。
    - 細胞内酵素のcalcineurinを阻害するcyclosporineやtacrolimus。副作用は、低マグネシウム血症、高K血症、高血圧、腎毒性。microangiopathyや神経毒性も。microangiopathyがおきるとあまり血漿交換に反応せず、死亡率は高い。posterior reversible encephalopathy syndromeもcalcineurin inhibitor投与で1−2% におきる。2,4ヶ月後に投与量を減らすと副作用も減る。
    - 通常、calcineurin inhibitorはメソトレキセートなど他の免疫抑制剤と共に使う。これが好中球減少や粘膜障害の原因となるため、mycophenolate mofetilを代わりに使うことも。こっちのほうが同じ予防効果で副作用は少ないかも。
    - sirolimusはtacrolimusに似ているが、calcineurinは阻害しない。tacrolimusと併用すると効果が大きい。ただし、thrombotic microangiopathyが問題。
    - reduced-intensity conditioningは、免疫抑制を通じて、ドナーT細胞がうまく生着し、リンパ球系の造血を抑えることを目的としている。従って、myeloablativeという言葉はちょっと間違い。炎症を促すサイトカインは減り、GVHDが減り、急性GVHDオンセットも遅れるかも。ただし、慢性GVHDの発症に急性がかぶる、overlap syndromeはおきるかも知れない。
    -
- 治療 急性
    - ステロイド。
    - grade Iでは局所のステロイド
    - 重症度が増せばステロイドも増やす。
    - ただし、ステロイドで反応するのは半分以下。重症では治りにくい。
    - anti-thymocyte globulinの併用で反応は増えなかった。この効果は限定的か
    - mesenchymal stromal cellsの点滴(ドナーや第三者からもらって培養)はいいかも。ステロイド抵抗性GVHDの55%で反応あり。
    - たいがいphotopheresis。白血球をたいがいに集め、DNA-intercaating agent 8-methoxypsoralenと一緒にインキュベートし、紫外線に当てる。細胞のアポトーシスを促し、抗炎症作用が強く、固形臓器移植の拒絶予防に有効である。RCT待ち。
    - TNFαブロック。TNFαはAPCを活性化させる。etenerceptはステロイドと併用して、急性GVHDの70% に効果あり。
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- 治療 慢性
    - よく分からない
    - ステロイド?
    - ステロイド±calcineurin inhibitorのRCTでは差なし
    -
- 合併症
    - 細菌感染、真菌感染、ウイルス感染、薬の副作用など数多い。graft failureも。
    - フルコナゾールなど真菌予防を
    - PCP予防も。
    - CMVpreemptive treatmetnも考慮
    - 帯状疱疹
    - ケアするものにワクチンを
    - IgG2, G4欠損があるので、施設によっては免疫グロブリンが投与されることもある。
    - カテ感染に注意
    - ステロイドの副作用も注意。
    - calcineurin inhibitorの腎不全を考え、経口で水分励行を
-
- 将来
    - GVHDのバイオマーカーが見つかれば、preemptive txも?

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