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アメリカの新型インフルまとめ

日本人患者が発生しました。報道を見る限りでは、国内流行の可能性は(今は)少ないようですね。

さて、

NEJMでH1N1特集をやっており、米国での疫学調査を報告しています。まとめてみたので(翻訳ではなく、サマリーです)、ご覧ください。図や表はきれいなので、原典をご覧ください。例によって固有名詞などの翻訳の厳密性は適当です、、、

これを見ると、米国でH1N1が同定されたのは、けっこう偶然の賜物だったようです。ただし、CDCやWHOに検体を送るプロトコルができていたり、ブタ用のプライマーがあらかじめ準備されていたなどの、普段の準備がしっかりしていたからとも言えます。その後の全国調査への動きも素早かった、、、、、フレミングがペニシリンを発見したように、偉大な発見は準備されたこころ(prepared mind)に訪れる、というところでしょうか。

サマリーなので、著作権は問題ないと思うけれど、NEJMさん、大事な情報なので許してね、、、

H1N1 NEJM powered by OmniOutliner 3.8

- Emergence of a novel swine-origin influenza A(H1N1) virus in humans
- content.nejm.org—NEJMoa0903810 <http://content.nejm.org/cgi/content/full/NEJMoa0903810>
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- アブストラクト
- S-OIVが米国で同定されたのが、2009年の4月15日、17日。それぞれ異なる場所から。
- これはメキシコやカナダで見つかったのと同じもの
- この総論では人S-OIV感染642症例を叙述するものである。確定診断はCDCのRT-PCRで行われた。
- 4月15日から5月5日まで642症例が41の州で見つかっている。
- 年齢は3ヶ月から81歳。60%が18歳以下。
- 18%にメキシコの旅行歴。16%は学校でのアウトブレイク
- 94%に発熱、92%に咳、66%に咽頭痛。25%に下痢。25% に嘔吐。下痢か嘔吐は38%(これは季節性インフルよりおおい)
- 399人で入院の有無が確認され、そのうち39人(9%)が入院している。
- 22人の入院データがあり、12例では重症季節性インフルエンザの症状。11例で肺炎、8例でICUケア、4例で呼吸不全、2例は死亡。
-
- triple-reassortant swine influenza virusは人、ブタ、そして鳥のA型インフルエンザウイルスの遺伝子をもっている。
- このウイルスは1998年から米国のブタに見つかっており、2005年から2009年には人で12例が見つかっている。ただし、2009年にCDCが同定したのは過去のものとは異なる、新型。
-
- 3月30日、カリフォルニア、San Diego Countyで、喘息をもつ10歳の男の子が発症。4月1日に受診して治療を受けた。1週間で回復した。鼻咽頭検体から診断検査の臨床試験のために検体は用いられた。外部のラボで、人H1とH3陰性のA型インフルエンザとRT-PCRで同定された。4月15日、CDCはこの検体を受け取り、ブタ由来の新しいインフルエンザウイルスを同定した。同日、CDCはカリフォルニア州department of health(DOH)に連絡し、州と地域、動物保健担当者による疫学調査が開始された。このウイルスはtriple-reassortant swine influenza virusで北アメリカのブタ家畜に蔓延していると知られているものと同じ遺伝子を持っていた。2つの遺伝子はノイラミニダーゼとマトリックス蛋白をコードしており、ユーラシアの有症状のブタから得られた遺伝子によく似ていた。
- 3月28日、カリフォルニア、Imperial countyで9歳の女の子が発熱、咳をした。先の男の子とはなんの関係もない子であった。2日後、外来にいって、インフルエンザサーベイランス計画にこの子は参加することになった。鼻咽頭検体がここでとられた。アモキシシリン・クラブラン酸で治療され、そのままよくなった。この献体は海軍のHealth Research Center, San Diegoに送られ、サブタイプや同定の不可能なAインフルエンザウイルスが見つかった。その遺伝子は先の患者(patient 1)によく似ていた。4月17日、両症例はWHOに報告された。これはInternational Health Regulationsに則ったものであった。
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- 疫学調査によると、両患者には最近のブタとの接触はなかった。プロトコルに則り、新型のS-OIV感染についてサーベイランスの強化が行われた。
- CDCは発熱患者についての推奨を発表した。その報告クライテリアは以下の通り
    - S-OIV感染のあった地域に住んでいる、あるいはその旅行歴
    - その地域で病人と接触した(発症7日以内)
    - 疑ったら、鼻咽頭検体をとって、州や地域の保健担当者に報告すること。
    - 州の公衆衛生担当のラボはサブタイプできないAインフルエンザを全てCDCに送るよう指示された。
    - 米国では急性発熱性呼吸器疾患でS-OIVがRT=PCRか培養で同定されたものを症例定義とし、これを報告させた。
    -
- CDCはRT-PCRで同定を開発しており、これは季節性H1,H3,とりH5,とBインフルエンザを同定できる。
- ブタインフルエンザA(H1,H3)を同定できるプライマーとプローブは最近開発され、これはブタインフルエンザのヒト感染を見つける目的であった。
- これらを活用して、今回のS-OIV同定アッセイも素早く開発された。
- 詳細は以下に
- www.who.int—CDCrealtimeRTPCRprotocol_20090428.pdf. <http://www.who.int/csr/resources/publications/swineflu/CDCrealtimeRTPCRprotocol_20090428.pdf.>
- 49のウイルスが13の州から培養された。これを遺伝子同定に用いた。
- 詳細は以下に
- content.nejm.org—DC1 <http://content.nejm.org/cgi/content/full/NEJMoa0903810/DC1>
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- 学校でのアウトブレイクは、サウスカロライナ(7例)、デラウエア(22例)、テキサス(5例)、ニューヨーク(70例)で見つかった。
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- 40%が10−18歳の間、51歳以上はわずか5%。
- 入院患者は19ヶ月から51歳。18%が5歳以下。1患者は妊婦。41%に慢性基礎疾患。自己免疫性疾患で免疫抑制剤を飲んでいたり、ダウン症で先天性心疾患があったり、喘息、RA、感染、重症筋無力症、VSD、えん下障害、慢性低酸素血症など。入院患者では32%にメキシコの最近の旅行歴。50% (11例)で肺炎、1例で縦隔気腫、1例で壊死性肺炎、1例で膿胸あり、ドレナージ。ただし、培養は陰性。8例がICU,、4例は挿管。14例(74%)はタミフルを処方されている。
- 5月5日までに、22例(82%)は全快。
- 22ヶ月の重症筋無力症のこと、33歳の妊婦が死亡。23ヶ月と30歳女性で既往歴なしが、いまだに重篤な状態。
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- ウイルス
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- 6つの遺伝子のセグメントはPB2, PB1, PA, HA, NP, NSは以前から知られていたtriple-reassortant swine influenzaと同じ。これは北アメリカのもの。
- NAとMたんぱくはユーラシアにあるブタのインフルエンザAに似ている。ここが、以前とのちがい。図3にきれいにちがいが比較されている。
- 37のウイルスではおそらくタミフル、リレンザに感受性あり。ただし、臨床効果は現段階では不明。でも、CDCはいまのところ使用を推奨。FDAは1歳以下の使用を緊急承認した。
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- なぜ若い人に多いか、の議論
    - 感受性のちがい?
    - 社会構造のちがい
        - 高齢者ではもっとあとになって感染?
    - 以前からのS=OIVからの交差防御?これは1976年のブタインフルエンザワクチンの血清学的スタディーから示唆されている。
    - バイアス?若い人でより検査?
    - 確定例は過小評価?

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