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昨日のJクラブ

昨夜は姫路で外科の先生を対象に抗菌薬の話をしました。他科の先生にお話しする「他流試合」は私は大好きで、県内で積極的に交流を深めていきたいといつも思っています。

さて、そんなこんなで昨日は夕刻バタバタと病院を出たのですが、昨日のお昼のJクラブは「あの」エンドトキシン吸着療法の話。

http://jama.ama-assn.org/cgi/content/abstract/301/23/2445

ブラインドがかけられない、死亡率が高すぎる、Nが小さい、実はアウトカム設定がおかしいんじゃないの?など、瑕疵を見つけることはできるにはできるのですが、それを凌駕するくらい、「既存の常識」に一石を投じる価値の高い論文だと思います。もちろん、これが全ての終わりというわけではないのでしょうが。

敗血症性ショックの患者にエンドトキシン吸着療法を行うのは、少なくとも理にかなった一つの選択肢と呼べると思います。ただし、元気な患者の「エンドトキシンレベルが高い」ことを理由にPMXはちょっとストレッチしすぎかもしれません。病棟でどのように上手に説明するのかが、プロの大事な仕事です。言い訳もごまかしもひいきの引き倒しもなしに。主治医とコンサルタントは同じ目標を目指さねばならないのですから。

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コメント

岩田健太郎先生御侍史


いつも情報発信ありがとうございます。特にワインの紹介は楽しみにしています。

おっしゃるとおり、PMXのような高価な治療はその適応が限定されるべきで、どの様な患者にどのようなタイミングで実施すればよいのかが大事だと思います。個人的にはPMXは、敗血症ショックで十分な輸液蘇生や血管作動薬に反応しない患者には積極的に施行されてもいいと考えています。少なくとも、私の家族の場合はそのように希望します。EGDTで言われているように6時間以内で、それもできるだけ早く。
どの様な患者にどのようなタイミングで実施すればよいのか、個々の治療の最適な適応を確立するには地道にデータを積み重ねることだと思いますが、敗血症を対象としたRCTの場合はそのプロトコルの設定はこれがなかなか難しいものだと思います。対象があまり重症でない場合、その低い死亡率から有意差が出にくいと思います。逆に対象が重症すぎても、患者さんは不可逆的になるため結果は出にくいかもしれません。
最近オープンになったコロンビアでの敗血症を対象とした未分画ヘパリンのRCT (The HETRASE Study)は、結果はネガティブだったのですが、28日死亡率が両群とも15%程度であり、唯一成功している活性化プロテインCでもこのレベルの重症度の患者は追試で無効とされていますので、この試験だけでヘパリンは無効と決めるのは危険かもしれません。未分画ヘパリン以外にも低分子ヘパリン、ヘパラン硫酸も有効である可能性があると思います。
http://www.ccmjournal.com/pt/re/ccm/abstract.00003246-200904000-00001.htm;jsessionid=KFTWjdwkjcvDHlpBNZGX5bhflxJwkhN0PyJBcWyWnh2W5HW5Xcyv!-847254088!181195628!8091!-1
同じように敗血症を対象として実施された活性化プロテインC(PROWESS試験)とアンチトロンビン(Kybersept試験)の大規模臨床試験をみると、対照群の28日死亡率はAPCの試験が30.8%、ATの試験(こちらはネガティブですが)は38.7%で、ヘパリンの試験とは重症度がまったく異なります。

そしてタイミング。APCとATはよく比較されるのですが、PROWESS試験のプロトコルで設定されていた48時間以内の試験薬投与がKybersept試験では設定されておらず、そこを指摘した論文があります。Kybersept試験のpost hocでN数が少ないため有意差はでておらず、さらに1施設のデータなので限界はありますが、これをみてみると、APCは有効でATやTFPIは無効という国際的な評価は確かに試験結果から導かれたものですが、そう単純ではないような気がします。
http://www.anesthesia-analgesia.org/cgi/content/abstract/107/5/1633
APCは最適な適応を求めて、更なる追試が実施されるようです。
http://www.springerlink.com/content/t3353213r20835ul/
Lily社のこのクスリにかける意気込みはすごいものです。
日本発の遺伝子組換えトロンボモジュリンも高価な薬剤ですが、非常に楽しみな薬剤です。

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