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白州正子自伝を読んで、、、

 

白州正子自伝を読みました。切れのいい「男らしい」文章でした。あまり面白くて、出張先の電車の乗り継ぎを失敗してしまいました、、、

 

歴史の生き証人(もう鬼籍に入っておいでだから変な言い方ですが)らしく、歴史上の重要人物が隣近所の人たちのように次々に出てきて、実に面白い。僕は白州次郎が大好きなので、そういう意味からも婦人からの次郎像がおがめてよかったです。噂通り、とても仲のよいカップルだったみたいです。

 白州次郎のように西洋の文化に精通し、ベントレーやランチアを乗り回し、スコッチウイスキーを飲むような表現形がパトリオット(愛国者)の名を貶めるものではありません。GHQと同じ土俵で丁々発止のやりとりをし、敗者となってもその誇りを失わず、天皇への不遜な態度で当時無敵のマッカーサーにすら喧嘩をふっかけた白州次郎。ブーツを履いたり香水を好んだ坂本龍馬と同じ魂をそこに見ることができます。「日本の文化を大事にする」とかなんとか称してうちにこもってしまい、「内部でしか通用しない世界観に」浸ってしまう情けない輩をよく見ます。が、そういう引きこもり的な態度が愛国心なのではないのだ、ということは白州次郎の生き方を見ていつも思っています。愛校心でも愛社精神でもなんでも、同じように応用可能です。自分の内的世界に厳しい目を持つこと、インサイダー特有のひいきのひきだおしをしないのが、本当のプライドなのだと思っています。
 卒業生ではありませんが、僕は神戸大学の「インサイダー」としてこの大学を心から愛しています。でもそれは、「神戸大って最高。ごろごろ」とこたつの中のネコみたいににやにや、ほくほくしていることを意味していません。学生や研修医に、外的アカウンタビリティーを持つことを要求するのはそのためです。要するに、本当の意味でのプライドを持って欲しいのです。
 感染症学会が新型インフルエンザのガイドラインを出しています。賛否両論あるでしょうが、学会が独自の見解を出すことはよいことです。WHOやCDCの真似をする必要もない。でも、それをWHOやCDCの知るところとしないと、日本の学術界の矜恃を示すことができません。「あんたたちと異なる見解を打ちの学会は出したよ。それは、これこれこういう根拠に基づいているよ」と正々堂々といえばよいのです。そうしないと、ある種の陰口と同じになってしまう。
 だから、日本語だけではなく、英語にして書く意味があるのです。英語にすることが欧米文化に対する屈服である、みたいな意見を耳にしますが、それは白州次郎が聞いたら大笑いされるか、逆に激怒されるかのどちらかでしょう。プライドというものの真の意味が、しばしば取り違えられていると、僕は思います。

 話がすごくずれちゃいました。白州正子です。彼女の文章を読んでいて思うのは、文字に対して、絵画に対して、骨董に対して、自然風景に対して、歌舞伎に対して、音に対して、色に対して、とても鋭敏な感受性と審美感をお持ちだなあ、と想像することです。想像する、というのはその感受性に乏しい僕が彼女の感受性を追体験することは不可能だからです。想像することしか、できない。でも、そのオーラだけがそこはかとなく伝わってきて、「分かった気に」させてしまう。
 僕は語学の才能を欠いているので英語にはずいぶん苦労しました。今でも苦労しています。語学の才能、というオーラを発揮している友人にずいぶん引っ張られました。
 幸いにして、今でも僕にはそういう引っ張ってくれる人がいるので、それなりに自分を保てています。音や色や文字などの感性に優れた人ってすばらしいなと思います。素敵だな、と思います。そういう人が周りにいることは幸いです。センスのない人間も、センスのある人間が周りにいることでなんとなく引っ張り上げられることは多いのです。文章を書くとか、コミュニケーションを取るとか、そういうことは僕は大の苦手だったのですが、今何となくそれなりにそういうことが可能になってきているのも、「引張りあがられてきた」結果だと思います。
 白州正子はそういう引っ張り上げる人でした。また、彼女自身も白州次郎や小林秀雄に引っ張られてきたのでしょう。そうそう、僕の大学時代の恩師は若い頃小林秀雄に弟子入りしようとしてその自宅に押しかけたことがあったそうです。食事か何かをごちそうになり、「じゃ、これで帰りなさい」と諭されたとか。そんなエピソードも思い出しました。本を読むとあれやこれやでつながってくるものですね。

 ハンガリアンラプソディという章の中で、白州正子は、「もう一度ヨーロッパのどこの国に行きたいか、と問われたら、私は迷うことなくハンガリーと答えるであろう」と書いています。センスの醸造物みたいな白州正子にそこまで言わせるハンガリー。今年は学会で行くはずだったのに、新型インフルエンザのせいでおじゃんになってしまいました。本を読んでいたら、その悔しさがよみがえってきました。今度は、必ず行くぞ、、、、

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