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「治療の手引き」を読む(HIV)

いままではDHHSやジョンズホプキンスの教科書を参照することが多かったのですが、日本の事情も勘案されたHIV感染症治療研究会の「手引き」もかなり役に立ちます。13版で、特に気になったところ、注意したいところ、見落とし、忘れがちなところを箇条書き。

http://www.hivjp.org/

・イムノクロマトグラフィの偽陽性は約1%
・妊婦のスクリーニングで真のHIV陽性率は0.02%。検査陽性のうち真の陽性はわずか13人に1人。
・TaqManとAmplicorの違いが問題になっていたが、東京医科大学が再度遠心分離を行うことで検査の一致率が高まったとのこと。今後は従来通り検出感度以下が治療の目標になるが、新手順の導入時期は検査センターにより異なり、確認が必要。
・日本では、未治療者の5%に耐性変異がある。
・CD4 350以上の治療推奨は「結論が出ていない」
・急性HIV感染症で治療が開始される「場合がある」が、専門家の意見を求めることが必要。
・OIのとき、有害事象を恐れるあまり、必要以上にHAARTを遅らせてはいけない。結核以外は14日以内が妥当か、、、
・IRISでは、HAARTを極力継続すべき
・ATV/RTVでPPIの使用は注意、あるいは禁忌。
・ATV単独使用時は、TDFやddI/3TCと併用は禁忌
・VL 10万コピー以上ではエプジコムは使わない。
・HLA-B*5701陽性者は欧米で8%低度、日本では0.1%。ただし、HSR発症者は1.3%??
・心血管系リスクの高い患者ではエプジコムは「注意」
・ツルバダはネビラピンと併用しない。
・EFV代謝酵素遺伝子 (CYP2B6*6/*6)SNPsには人種差があり、日本人では、EFVの血中濃度が上がる人がいる。この場合はTDMで減量。
・食事中・食後に飲むPIはDRV/RTV、ATV/RTV。食事と関係ないのが、FPV/RTV、FPV、LPV/RTV
・TAMを誘導しないのが、エプジコム、ddI/3TC、ツルバダ
・妊婦に第一選択は、コンビビル、カレトラ。ネビラピンもよいが、CD4に注意
・空腹時に服用がddI/3TC、それにインジナビル(使わないけど、、)
・リトナブーストなしでは、DRVやSQVを使ってはいけない。
・エトラビリンはPIと併用しない方がよい。PIの代謝が促進。
・VL下がっていて、CD4があがらないとき、治療変更を考慮すべきかどうかについては一定の見解が得られていない。
・VL下がる、CD4あがる、臨床的に悪くなる、、のシナリオではHAART変えない方がよい。
・耐性検査に基づいた治療変更は専門医に相談した方がよい。
・HAART注視時にはEFVに注意するが、他の薬剤の投与継続日数については明らかでない。PIに変え、2NRTIを継続してから中止した方が、耐性ができにくい。
・VL低いが下がりきらない場合、1,アドヒアランス再確認、2.1剤追加する、3.RTVブースト、4,新しい治療に取っ替える、5.同じ治療でVLを頻回にチェックという選択肢
・VL高い場合、アドヒアランスチェックして、耐性検査。1.耐性ないばあいはVL低いが下がりきらない場合に準じる。2.1剤に耐性は、1剤変更あるいはぜんぶ取っ替え。3.2剤以上耐性。クラスの変更。追加などを考慮。
・CD4あがらない、VL低い場合は、HIV-2、HTLV−1、HTLV-2の重複感染や薬剤毒性を考える。ddIとTDFの併用などが原因になることも。
・ダルナビル、ラルテグラビル、マラビロク、エトラビリンの使い方については確立されていない。
・TDMによる臨床的な改善を示す前向き試験はない。検査方法や結果解釈は難しい。
・major mutationは最初に現れる耐性の付与。minor mutationは耐性を単独で付与しないが、majorと共存して耐性発現。
・HBV共感染では、ALT31以上、HBe抗原陽性では5ログ、陰性では4ログ、肝硬変では3ログで抗ウイルス療法。単独では用いない。ツルバダを含むHAARTをCD4とは関係なく用いる。
・HAARTを用い、HBV治療が不要の場合も、ツルバダベイスのHAART開始!
・エンテカビルには要注意。HIVのM184Vを誘導することが。
・HAARTを変更するとき、HBVを忘れない!!ツルバダ止めて肝障害を起こすエピソードあり。これは、結核治療を終了するとき他の薬を調節する(ステロイドやワーファリン)に似ている。
・IAS-USAガイドラインでは、活動性HCV感染が合併していればCD4関係なしでHAART開始。
・CD4200以下ではまずHIV治療を優先。
・AZTとリバビリンは併用したくない。ddIとも併用したくない。
・EFVとインターフェロンも避けたい。
・HIVと結核は同時に治療しない。CD40−200では2週間、100−350では8週間、350以上では8−24,あるいは結核治療終了後にHAART開始(DHHSによる)。
・リファブチンと併用で量を変えなくてよいのは、ネビラピン、エトラビリン、ラルテグラビル
・悪性腫瘍合併例の治療方法は専門家コンサルト。
・思春期、青年期のHAARTは年齢ではなく、タナーステージで評価。
・HAARTに乗っている患者が妊娠したら、HAARTはやめない。1st trimesterでもやめない。
・HAARTに乗っていない妊婦は、2nd trimesterまで待ってHAART。CD4高くても分娩までは少なくとも続ける。
・EFV、DLVはだめ。
・CD4高い場合はNVPはだめ。
・分娩時に母胎にAZTとリバビリン2mg/kgを1時間かけて、その後1mg/kg/hrで分娩まで。
・新生児には2mg/kgの経口あるいは1.5/kgのIV、その後6時間ごとに6週まで(ただし週数による)
・出生児の評価は、VLで12-18週、抗体なら12ヶ月後。ただし、生後18ヶ月まで母の移行抗体あり。陰性ならよいが、陽性ではあせらない。
・5歳以下ではCD4は%で評価。
・日本では出産はすべて帝王切開。アメリカではVL次第。

今回は、d4Tについての特別なコメントはなかったですね。

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感染症」カテゴリの記事

コメント

> ・イムノクロマトグラフィの偽陽性は約1%
> ・妊婦のスクリーニングで真のHIV陽性率は0.02%。検査陽性のうち真の陽性はわずか13人に1人。

ありましたね。偽陽性の問題。

私はこれを書籍「数字に弱いあなたの驚くほど危険な生活」で知った(私は専門家ではない)のですが、がん検診なんかも含めて、病気のリスク管理は、QOL評価も含め、なかなか奥が深いですよね。

乳がんなんかでも、偽陽性が 90% になったりもしますし。(これは本の統計値の話で、現実の数字はまた違うと思うが。)

はじめまして。
感染症に関して調べていたらたどり着きました。

私は医療関係者でもなく、まったくの無知ですが先生のご意見を読んでいると「そんな考え方もあるんだ」と思いました。

私は国連において新興感染症に対する国際的な枠組みができればと思っている人間です。
先生は医療関係者としてどう思うでしょうか?
お時間があればご意見伺いたいです。

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