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2009年12月

電車の中で、雑文

スポーツの世界は結果が全て。指導(教育)の正否もアウトカムで評価されます。だから、分かりやすくていいのですね。

医療の世界であると、教育の手法を指し示すアウトカムはちょっと分かりづらい。知識の多寡をみるテストだけなら、予備校的な「試験対策」がベストでしょうが、そうではない、と多くの人たちは思っています。でも、その辺のアバウトさが教育手法の正当な評価を難しくしています。そのため、どうしてもドグマチックになりやすい。「こう教えればこのような結果が出る」ではなく、「こう教えるべき」という「べき論」=ドグマがはびこりやすい。ドグマチックな教育者ほどEBMに精通しているのも皮肉なことで、このことはEBMが本質ではなく、「お作法」として表層的に扱われている可能性が高いことを示唆しています(エビデンスはあるか?RCTか?的な「お作法」ということです)。本質と形式は常に混在し、両者を区別することは難しいのです。主観と客観も同様で、客観の局地と見られた数学も実は主観が主体であると僕は最近「数の現象学」森毅 を読んで深く感じ入りました。3分の2とtwo thirdsは意味が、違う。

さて、ワールドカップで日本はカメルーン、オランダ、デンマークと対戦します。カメルーンはアフリカ最強の国の一つで今回は「ホーム」です。しかし、予選ではパフォーマンスが悪くて大変苦労しました。それを立て直したのがルグエン監督。弛緩し、集中力を欠いたカメルーンを厳しい規律で立て直し、エースのエトーに自覚を促し、見事によいチームに立て直したのでした。日本の医療界でこれをやると「選手が萎縮してしまう。もっと個性を活かすべき。ほめるべき」という「べき論」が優先して、全部だめになっていたことでしょう。目的と手段がひっくり返る、いつものパターンです。

野球なんかはもっと顕著。阪神が優勝したときは「叱らなければだめ」となり、西武が優勝したときは「褒めて個性を伸ばせ」とくる。でも、その西武も次の年はぱっとしない。じゃ、ぼやけばいいのか?野球の監督なんてすぐにリーダーのレッテルを貼られて「ダイヤ○ンド」あたりの経営学で引用されますが、実に賞味期限が短い。

これはみな「結果」から「後付の説明」をしたのに過ぎない。上手くいった人の真似をしても上手くいくとは限らない。成功者の模倣は愚の骨頂で、成功者はたいてい模倣者ではない。スポーツでも、政治でも、音楽でも、医療でも。から、松○や本○も坂本龍馬も秋本真之も、神様扱いしても何もよいことはありません。彼らが21世紀の今にいたら、全然活躍できないか、あるいはやり方を変えていたと思います。月刊プレジデン○を読んで大社長になれるわけがない。もしそうなら、毎月何十万という大社長が生まれているはず。勝間和代の本を読んでも成功者にはなれない。勝間さんは、「○○の力」なんて生き方マニュアルは読まなかったと思う(たぶん)。

星野阪神のときは、弛緩してプロ意識を欠き、「負け慣れていた」チームだから叱咤激励が効果をもたらしたのでしょう。同じ監督は日本代表ではうまくいきませんでした。ある状況がある指導法を希求するのであり、デフォルトで上手くいく指導法などないのです。ルグエンもフランス代表監督だったら全然べつのことをやったでしょう。

志ん生も戦争時代は、日本が負けるはずがないと信じていたそうです。「だって、日本はかつて負けたことがなかったのだから。日清戦争も日露戦争にも勝ったのに、負けるわけがない」と。でも、歴史を俯瞰すると、「負け続けない」国はない。アテネもマケドニアもローマも元もスペインもフランスも英国も、例外なく衰退している。歴史から学ぶことは多いですが、それはその切り方次第なのですね。

さて、そのワールドカップですが、ほとんどの評論家は「初戦のカメルーンが大事」と言っています。これは、危険。「初戦に勝つしかない」思考を徹底されると、06年のように「初戦に負けたとき」に立て直せなくなります。「初戦は大事。でも勝負事だから、相手のあることだから、絶対に勝つという保証はない。今の日本には全然ない。初戦に負けることも計算に入れよう」「初戦に負けたらどうするか考えよう」という発想が大事です。90年のアルゼンチンは初戦負けても準優勝でしたし、74年の西ドイツは優勝しました。オシムのユーゴは「わざと」初戦を負けました。

どうして昔から、日本は「負け」を想定に入れることが出来ないのだろう。日本海海戦の時からか?医者もそうで、自分のアセスメントがもし間違っていても、リスクヘッジできているか、というコンティンジェンシープランが大切になります。でも、多くの場合「自分のアセスメントが正しい場合」のみが想定されているので、しくじるのでした。どんな名医でも百戦百勝はありえないのですが、、、

雑なままで終わる今回の文章、最近読んで面白かった本、「ヘッテルとフエーテル」。ご一読あれ。

アメリカも動いている

日本の診療報酬の議論もたけなわですが、

http://www.nikkei.co.jp/news/shasetsu/20091224AS1K2400324122009.html

アメリカも動いています。ついに医療保険の大改革が上院可決です。歴史が動いた感じです。でも共和党は大反対だった。アメリカ人の多くは国民皆保険に反対なのです。国民皆保険(厳密には皆保険ではないけれど、、、)が空気のように常識となっている日本とは大きな違いです。

http://www.cnn.com/2009/POLITICS/12/24/health.care/index.html

その一方で、メディケアからはコンサルタントフィーがカット。日本では感染症屋がどんなに患者を診ても診療報酬がつきません。まあ、アメリカは訴訟対策というか、なんでもかんでもコンサルトになって船頭多くして、、、、ということも多いので、善し悪しですが。

http://www.medscape.com/viewarticle/713597?src=mp&spon=18&uac=46045PX

学生のインフルエンザまとめ

まわっている5年生にハリソン17版のインフルエンザのまとめをやってもらいました。一部でしたが、とてもよくできていました。

学生の時からハリソンなどを読む癖やコツをつかんでおくと、将来の情報収集能力や分析能力に天地の差が出てきます。神戸大の学生のおつむはよいので、あとは使い方を教えてあげればよいのですね。

インフルエンザの肺外合併症の報告は、

Reye症候群

・筋炎、横紋筋融解症、ミオグロビン尿症

・心筋炎、心膜炎

・中枢神経症状

4つが主に挙げられる。

Reye症候群はB型インフルエンザに多く、小児において肝、中枢神経に脂肪変性を起こし、肝障害を伴う脳症を引き起こすものでアスピリン投与が関係していることが分かっている。

・筋炎は罹患部の筋肉に軽微な圧でも激しい疼痛を訴えるようになる。血清CKとアルドラーゼが上昇し、ミオグロビン尿症から腎不全にいたる場合もある。

・現在心筋炎の報告はまれであるが、背景に心疾患がある場合、増悪が認められることがある。

・中枢神経疾患との因果関係は明らかではないが、脳炎、脊髄炎Guillain-Barre症候群などが報告されている。

脳炎、横断性脊髄炎、ギランバレー症候群などの中枢神経系の疾患もインフルエンザ発症中に報告されている。インフルエンザウイルスとこれらの中枢神経系との因果関係はまだ明らかではない。急性インフルエンザウイルス感染症に続いておこる、黄色ブドウ球菌やA群溶血連鎖球菌による毒素性ショック症候群も報告されている。

 前述したような特別な臓器系を傷害する合併症に加え、インフルエンザの流行で高齢者やハイリスク患者がインフルエンザを発症し、基礎にある心血管、肺、腎疾患が徐々に悪化し、ときには不可逆性の変化を来し、死に至ことがある。これらの死亡がA型インフルエンザの流行に伴う超過死亡をもたらす。

 

鳥インフルエンザの合併症

 鳥類のAH5N1ウイルスによるインフルエンザでは、高率での肺炎(50%以上)および下痢やCNS障害のような肺外病変と関連している。心不全や、腎不全を含む多系統疾患が死をもたらす。

 

検査所見および診断

 急性のインフルエンザの間、咽頭をぬぐった液、鼻咽頭洗浄液、痰からインフルエンザウイルスが分離される。

・最も一般的には診断:ウイルス核蛋白やノイラミニダーゼを検出する迅速診断テスト。その感度、特異度は60~90%である。

・ウイルス核酸は臨床検体から逆転写ポリメラーゼ連鎖反応により検出される。

 

・インフルエンザウイルスの型は蛍光抗体法やHI法(赤血球凝集抑制試験)により同定

・ヘマグルチニンのサブタイプ(H1、H2、H3)はサブタイプ特異的抗血清を用いたHI法により同定される。

・診断のための血清学的手法には急性期と発症後10~14日後に得られた血清中の抗体価の比較が必要であり、感染後の確定診断に有効である。

・HI法やCF法による抗体価の4倍以上の上昇またはELISAによる有意な抗体価の上昇は、急性感染の診断となる。

CF法は他の血清診断法にくらべ感度が低いが、型特異的抗原を検出できるので、サブタイプ特異試薬が利用できない場合に有効である。

 他の検査法は一般にインフルエンザウイルス感染の特異的診断のためには役立たない。白血球数は病初期にはしばしば低値を示すが、後に正常ないし軽度上昇をしめすといったように様々である。激しいウイルス性あるいは細菌性感染において重篤な白血球減少症が報告されており、また白血球数が15,000/μL以上の増加症では二次性の細菌感染が疑われる。

 

鑑別診断

インフルエンザが地域で流行している間には、典型的な熱性呼吸器疾患の症状を呈している患者は、かなり確実にインフルエンザであると診断できる。流行していない時には、他の呼吸器系のいろいろなウイルスや、肺炎マイコプラズマによる急性呼吸器感染症と、個々のインフルエンザの症例を鑑別するのは難しい。重症のレンサ球菌による咽頭炎や初期の細菌性肺炎は、急性のインフルエンザとよく似ているが、細菌性肺炎は一般的に自然によくなることはない。病原細菌が含まれる膿性痰はグラム染色で細菌が同定でき、細菌性肺炎の診断において非常に重要である。

 

治療

合併症がないインフルエンザの場合は、頭痛、筋肉痛、発熱のコントロールのために、アセトアミノフェンによる対症療法が考えられるが、サリチル酸は18歳以下の子供にはライ症候群との関与が考えられるため、投与は避けられるべきである。咳は自制可能な範囲であるので、咳を押さえる薬剤は普通投与しないが、咳が非常に問題となる場合は、コデインを含む薬物の投与を考える。

インフルエンザには特異的な抗ウイルス薬があり、その中でノイラミニダーゼ阻害薬である、ザナミビルとオセルタナビルは、インフルエンザA型とB型両方の治療に有効であり、アマンタジンとリマンタジンはインフルエンザA型にのみ有効である。20052006年にかけて、アマンタジンに対する耐性が、AH3N290%以上において、見られたので、アマンタジンの投与は再考慮する必要がある。

オセルタミビル(75mg125日間経口投与)やザナミビル(10mg125日間経口吸入)は発症後2日以内に投与開始すれば、インフルエンザの兆候や症状の持続期間を11.5日短縮する。ザナミビルは喘息患者において、気管支れん縮を誘発させる可能性があり、オセルタミビルは悪心・嘔吐が見られることがあるが、食物と一緒に服用することで、頻度を減らすことができる。オセルタミビルは子供の中枢神経系の副作用に関与する。

アマンタジンとリマンタジンは発症後48時間以内に投与開始すれば、インフルエンザによる全身および呼吸器症状を50%短縮する。アマンタジンの投与を受けた患者に神経過敏、不安、不眠、集中力低下といった軽度な中枢神経系の副作用が見られるが、服薬中止によりこれらの副作用は軽減することができる。リマンタジンはアマンタジンと比較して、効果が同程度で副作用の頻度は低い。成人では、通常200mg/日を37日間投与する。これらの薬物は腎臓排泄性なので、高齢者や腎不全患者では一日の投与量は100mg以下に減量されなければならない。

アマンタジンやリマンタジンでの治療中には耐性ウイルスが高率に出現し、家族内感染する。耐性の出現はサナミビルやオセルタミビルではより頻度が低いようであるが、起こる可能性はある。リバビリンはin vitroではA型およびB型インフルエンザウイルスの両方に対するヌクレオシドアナログである。エアロゾルとして投与されると報告により差はあるが、抗インフルエンザ作用があり、経口的に投与すると効果がないと報告されている。そのA型およびB型インフルエンザに対する治療の有効性は証明されていない。

原発性インフルエンザ肺炎の治療は、酸素投与を維持し、集中治療室において適切に治療を行い、必要ならば強力な呼吸循環管理をする。急性呼吸促迫症候群に陥った場合は血液ガスや循環動態を頻繁に監視しつつ、補液を注意深く行う。

抗生物質は二次細菌性肺炎のような急性のインフルエンザの細菌合併症の治療のために用いるべきである。抗生物質の選択は喀痰や気管支吸引液のような適切な気道分泌物のグラム染色や培養によって決めるべきである。もし、気道分泌物の検査によって細菌性肺炎の病因が明らかにできない場合はこのような状況で最も一般的な病原細菌(肺炎球菌、黄色ブドウ球菌、インフルエンザ桿菌)に対して有効な抗生物質を経験的に選択すべきである。

 

 

 

予防

公衆衛生的な観点から見て、インフルエンザを予防する主要な方法は、前回インフルエンザが流行していた時期のA型、B型インフルエンザウイルスから作られた不活化ワクチンの使用である。もしワクチンウイルスと流行株がよく類似していれば、インフルエンザに対して5080%の予防効果が期待できる。現在使用されている不活化ワクチンは精製度が高く、副作用も少ない。接種部位の軽度の発赤と圧痛が認められる人は1/3程で、接種後824時間に微熱と軽度の全身症状が認められる人は5%もいない。ワクチンは鶏卵を用いて作られるため、卵にアレルギーのある人は脱感作をするか、もしくはワクチンの接種をすべきではない。1976年の豚インフルエンザワクチンはGuillain-Barré症候群の発生頻度を高めたように思われたが、1976年以降に接種されたインフルエンザワクチンではそのようなことはなかった。199293年と199394年のインフルエンザシーズンだけは例外で、ワクチン接種者のうち1,000,000人に1例より少し多い程の頻度でGuillain-Barré症候群の発生頻度が高まった。

 

米国では経鼻ワクチンも利用されていて、ま、これは日本では未承認なんやけど、痛くないから特に低年齢の小児でも受けやすく、高い感染防御効果があるとされている。抗原変異により抗原性がワクチン株から離れた流行株にたいしても防御効果が認められたという報告もあったそうな。接種対象は5~49歳までです。

予防投薬に関してですが・・・・セルタミビルもしくはザナミビルで予防投薬はA型とB型インフルエンザウイルスに対して84~89%の効果があるとされてるそうな。一方で、アマンタジンやリマンタジンの予防投与はA型インフルエンザウイルス感染によって起こる疾患に対して70~100%の効果があるとされてたんやけど、現在は耐性株の広がりにより使用は推奨されていないよ。基本的に予防投薬が行われるケースはインフルエンザワクチンを受けていないハイリスクの患者とか、抗原変異により摂取したワクチンが流行株に対し比較的効果が低いという場合に最もよく行われるよ。

予防的投薬と不活化ワクチンとは同時に使用してもよいのですが(むしろ、両者の併用で効果が相加的であるというエビデンスさえあーるー)ところがどっこい、予防化学療法と経鼻ワクチンを同時に投与するとワクチンに対する免疫反応に影響する可能性あり。抗ウイルス薬はワクチン接種後の少なくとも2週間は投与すべきではないし、逆に抗ウイルス薬投与終了後少なくとも48時間以内は生ワクチン接種を開始すべきではない。

抗ウイルス薬の予防投薬はインフルエンザの施設内流行を抑えるためにも有効!インフルエンザの発生を認められたら即開始して、流行期間中毎日続けなければならない。

 

 

William Safire氏の逝去

実践ビジネス英語のテキストが来ると、まず「はじめに」を読みます。杉田敏さんのコメントが好きで、たいていは厳しいことが書いてあります。楽して英語はマスターできない、というような。

さて、1月号ですが、びっくり。William Safire氏が9月に亡くなっていたというのです。New York Times MagazineのOn languageは僕の愛読頁で、アメリカ時代はずっと読んでいました。最近はずっとサボってましたが、、、、あれって1979年から連載していたのですね。ご冥福をお祈りします。

アルゼンチンとナメクジ

アルゼンチンババア」という映画を見ました。面白かったなあ、と思いましたが、面白かったなあ、まででした。何度も繰り返して見たいとはあまり思わない、、、

最近の映画は技術が進んでいますが、それがマンネリ化して「何度も見たい映画」にできなくなっています。例えば、カサブランカは何十回見ても、また見たくなる。

もちろん、「昔はよかった」の懐古主義ではなく。例えば、マンガ。今のマンガはものすごくレベルが上がっていて、何度でも繰り返して読みたいマンガが増えています。もやしもん、PLUTO、大奥、などは繰り返して読むことで味が出てきます。最近の映画は2回は見てもよいな、と思うものは多いですが、3回以降までは魅力がでてこない、、、

落語もおもしろいものは何度聴いても楽しいです。今志ん生の「なめくじ艦隊」読んでますが、面白いですね。その中で、けっこうどきりとする言葉。

「あたしなんか、高座に上がってお客の様子を見ると、今夜のお客さんは、どういう噺を喜ぶだろうかということが大体わかりますよ。、、中略、、やはりその人の好きなものをもっていかねばならぬ。好きなものなら少しくらい味はまずくても、がまんしてくれるんです。
 これがあたしたちの頭を使うところです。それにはもっと突っこんで客の相を知る必要がある。そのためには、はなに何かいって、さぐりを入れてみる。それが落語でいう「まくら」なんですよ。、、、中略、、その噺をぶってくすぐりを入れ、日本人とすれば、これで笑うべきもんだということを即座に考えてパッとやる。それでもし笑わなければこうと、長いあいだの高座のカンですぐわかる。つまり客の脈をとるわけですよ。脈をとらなければ薬はもれませんよ。
 医者だってそうでしょう。病人の家へ来て、まずその家の様子を見る。ハハア、この様子じゃ栄養不良かな、これだけの生活をしていて、この病気だと、糖尿病じゃないかな、この人は虫も殺さんような真面目くさった顔はしているが、奥さんにないしょで、ヒョッとするとあれがあって、あんまり無理したんじゃないかな、てなことが名医となると大体見当がつく。
 そうして、二、三日前からの様子をきき、おもむろに脈を見たり、あーんと口をあけさせて、ベロなんぞのぞいてみたりして、病気がわかるんですよ。つまり大体の見当をつけておいて診察をし、処方箋を書くんですよ」

師匠、参りました。

今日のお言葉

ビジネス英語より。いい言葉が多かったです。

Good is not good where better is expected

Thomas Fuller

One of the greatest pains to human nature is the pain of a new idea.

Walter  Bagehot

Think like a man of action, act like a man of thought.

Henri Bergson

本日のMGH

今日はお休みの予定でしたが、有志でやりました。

http://content.nejm.org/cgi/content/extract/359/21/2267

学生さんが見事に診断あたり。お見事。

メタアナリシスの教科書

野口先生の新刊です。

はじめてのメタアナリシス

とても読みやすくて、いままで漠然と理解していたことがリアルに解決します。メタアナリシスを自分でやったことはありませんが、がぜん、自分でもやってみたいな、と思います。

本日のJクラブ

Factors determining serologic response to treatment in patients with syphilis

PMID 19842977

HIV陽性でも時間をじっくりかければRPRは落ちてきますよ。とても意義深い論文。

Abacavir-lamivudine versus tenofovir-emtricitabine for initial HIV-1 therapy

PMID 19952143

有名なNRTIを検証したSaxらによるスタディー。ツルバダ、レクシヴァに圧勝、、、に見えるけれど。RNAレベルが10万コピー以上の患者に限定していること、スタディーデザインが当初のものと変わっていること、途中でトライアルが終了していること、PI/NNRTIの比率が分からないことなど、けっこう突っ込みどころも、、、、さて?

Evidence of Bias in Studies of Influenza Vaccine Effectiveness in Elderly Patients

PMID 19995265

高齢者にワクチンって効くの?という疑問。「死にそうな人」ほどワクチンをうっていないだけかもしれない、というcontroversialな論文。興味深い、、、でも、Kaiserって保険会社じゃ、、、

Effect of high perioperative oxygen fraction on surgical site infection and pulmonary complications after abdominal surgery: the PROXI randomized clinical trial

PMID 19826023

周術期の酸素投与が術後のSSIを減らすか?という昔からある命題をJAMAで。80%と30%酸素で比較。引き分け。先行研究(NEJM 2000など)との違いは、よりリスクの高い患者で調べてまっせ、、、ということ。

Are meteorological parameters associated with acute respiratory tract infections?

PMID 19663691

天気と感染症って関係あるの?というわけで入院した小児と天候で比較したドイツのスタディー。インフル A、RSVは気温が下がると増える。湿度が関係しているのはライノウイルスだけ。風速や気圧は関係なし。in vitroとvivoは同じとは限らない。RSは先行研究だと、熱帯では雨期かどうかだけが関係するんだそう。なるほど。




クラブW杯

深夜にバルセロナ対エストウディアンテスのクラブW杯決勝を見ました。裏番組でManUとフラムの試合もやっていましたが、こちらはManUのボロ負け。まあ、長いリーグ戦ではそういうこともあります。

試合はバルセロナの勝ち。メッシはMVP。でも、バルサもメッシも「エストウディアンテスは強かった」という感想を持っているでしょう。守備のラインが実にきれいでした。エストウディアンテスは「バルサに対してはこう戦え」というメッセージを出してくれたと思います。きれいな守備ラインと、密集地での守備。メッシを消す方法。イブラヒモビッチを消す方法(これは難しいが)。CLとリーガ、ともにバルサは大変になりそう。クラブW杯はバルサにとってとても大きなものを失った優勝となったと思います。

ベロンは大活躍でしたが、かつてManUにいたときはぱっとしない選手でした。当時と使っているスキルはほとんど同じに見えます。それでも大活躍。不思議ですね。

今日は本当に実りの多いよい日曜日でした。寝不足でしたが、よい一日でした。北風こそが強靱なバイキングを作る。寒い日だからこそ、家庭の暖かみが身にしみるのでした。

偽善の医療

なんで、この本を買ったのか覚えていないけれど、ふと気がつくと机の上にあり、たまたまそのような気分だったので読みました。「その気」になっていないときに苦痛混じりに読んでも読書は楽しくない。ので、いつか機が熟するときまで山のように本が積んであります。

素晴らしい本でした。そんなにモチベーション高く開いたわけではないのですが、一気に鼻息荒く読んでしまいました。そうだよ、そうだよ、よくぞ言ってくれた、と思いました。以下、とくに気に入ったところを抜き書き。

・私には、このような場合、素人には判断できないと思う。不遜と言われるか。しかし、自慢ではないが私には、今に至るまで、郵政民営化が正しいかどうかなんて全くわからない(僕にもわかりません)

・多くの場合セカンドオピニオンは、「今の先生の方針で間違いない」ということになる(そうですね)。中略、実際そう言われて喜んでくださる患者さんにお会いすると心底ほっとするくらい稀である。実際には、「なんでそうなる。もっとましな方法はないのか、折角ここまで出てきたのに」とがっかりすることしきり、、、

・マスコミの名医ランキングにでるのは、ほとんどが「昔は名医だった」と過去形で賞賛されるべき方々である。

・一旦つけたものを「あきらめて」外すのと、最初から「あきらめて」つけないのと、その意味では差はない。むしろ、「一旦つけたものは外せない」のが大原則となると、「助かるかもしれないものもつけなくなる」という風潮が蔓延する、、、(人工呼吸器を医師が外して、刷自在では困る、、という話)。

・九十歳の爺さんが食べ物詰まらせて心臓が止まったんだぜ。万人が「じいちゃんいい死に方した」と羨むべきことだろうが。何かの間違いで蘇生したけど、意識が戻らない。そんなのもとの状態に戻るはずがないじゃないか。

・「あなたは癌で、あと半年の命」とか言われた人が、、、いきなり初診の窓口で「回復の御子もがなくなったときに蘇生術をしないという文書にサインを」、だぜ。立川談志でもしゃべれないブラックジョークだろうが。

・「参考であって、順位付けが目的ではない」、、、自分で五位とか二十七位とか勝手につけておいて、よくぞぬけぬけとそんな台詞が吐けるものだ(病院ランキングについて)。

・治るような早期がんは、病名など告げずにそのままだましてでも治療してしまってよい(僕も、そう思う)。

・タバコは吸ったこともないし、明らかに健康に有害だし、この世から消えてなくなってくれると非常に嬉しい。、、、それでもなお、タバコを全面的に禁止することについては懐疑的である。
次いで、
・タバコを止めさせるのは正義である。しかし私は、正義を何の疑問もなく推し進めることに、一抹の気味の悪さを感じる(僕もそう思う。だから、岩田は機能評価は大嫌い。その偽善が嫌い)。

・圧倒的多くの場合、パターナリズムなくして医療は成り立ちそうにない。

・けっして誤ることがないのは何事もなさない者ばかりである。はジャン・クリストフからの引用。

・人情は、「倫理」や規則よりも上位である。

神戸市と肺炎球菌ワクチン

行政担当者は不祥事でも煮え切らない態度が多いですが、逆によいことをやっていても慎ましく喧伝しないことが多いです。美徳と言えば美徳ですが、正当な行為は正当に評価されないと、引きこもりの原因となります。

神戸市は今年から肺炎球菌ワクチンの助成を行っています。兵庫県は日本で一番このワクチンの接種率が低いと聞いたことがあります。英断です。僕の知っている限り、政令指定都市クラスでこれをやっているところは、ほかにありません。

http://www.city.kobe.lg.jp/life/health/infection/vaccination/091023.html

本当は全国マターでやってほしいですが。

日本辺境論

希代の、そして希有になりつつある本物の「ジェネラリスト」、内田樹先生の「日本辺境論」を読みました。こないだの福岡伸一さんとの対談もむちゃくちゃ面白かったですが(その後の飲み会も楽しかったです、、、)、活字になった本はまた別の楽しさがありますね。

辺境にある日本の日本人が、虎の威を借る狐として生きていくしかない現実。わざわざ愚かになっていく選択をあえてする日本人、という論理展開に脱帽です。これまでの「内田本」からの援用も多いですが、とにかく守備範囲の広い内田先生の化け物ぶりから、本書を一冊の本とする意味を感じました。

シラバスを作ってはいけない、教育目標も立ててはいけない、、、という論はJIMに掲載される僕との対談でも展開されています。ぜひ、ご一読ください。指導医講習会なんて(自分もやってますけど)ほとんど指導医の愚民化に過ぎない、と僕らが思っている根拠が明示されます。パッケージ化された馬鹿馬鹿しいモジュールをできあがった指導医に開陳する不遜な態度を取る前に、僕らはこの悩ましい教育について「分からないこと、できないこと」について語り合うのが筋なのです。「何でも分かってますよ」というしたり顔をする人は、絶対信用してはいけないのですね。

カルバペネムのまとめ

普段、あまり使わない薬ですが、よい機会なので学生・研修医向けのレクチャー用にまとめました。

-
+ カルバペネム

+ 属性
    - グラム陽性菌
    + グラム陰性菌
        - 緑膿菌も
        - ESBLs, Amp-CもOK
- 嫌気性菌 fragilis, non-fragilis含む
+ どんな?
    - イミペネム・シラスタチン
    - パニペネム・ベタミプロン
    - メロペネム
    - ビアペネム
    - ドリペネム
+ 歴史
    - 1976年、土壌の放線菌、Streptococcus cattleyaからカルバペネム骨格をもちうチエナマイシン発見
    + 化学的に安定なイミペネムを創薬(メルク)
        - 腎臓の分解酵素、デヒドロペプチダーゼI(DHP-1)に不安定
        - GABAレセプターに結合するγアミノ酪酸に構造が似ているーー>中枢毒性
    - シラスタチンを1:1の割合で配合。DHP-1を阻害
    - IPM/CS チエナム誕生。1987年
+ 歴史
    + パニペネム・ベタミプロン(第一三共)
        - PAPM/BP, カルベニン 1993年
        - ベタミプロンは腎毒性を低減。1:1配合。近位尿細管上皮細胞への薬剤主成取り込み阻害作用。DHP-1阻害ではない
        - 緑膿菌に対してはイミペネムより劣る
        - MSSAや肺炎球菌ではイミペネムよりベター
        - 髄膜炎に適応あり
        - 韓国と中国でも用いている
+ 歴史
    + メロペネム(大日本住友)1995年
        - 1β位にメチル基(以降のカルバペネムも同様)
        - 抗緑膿菌、DHP−1安定性、中枢神経毒性軽減、生体内安定性
    + ビアペネム(ワイス開発、明治製菓発売)2002年
        - 動物実験で腎毒性。効果も微妙
+ 歴史
    + ドリペネム(塩野義)2005年
        - 基本構造はメロペネムに類似
+ その他
    + ertapenem 米国に
        - 緑膿菌に効かないのが特徴
        - 腹腔内感染に
        - 1日1回投与可
+ その他
    + モノバクタム
        + アズトレオナム(アザクタム)
            - 似て非なるもの。グラム陰性菌と同じ。スペクトラムはアミノグリコシド
            - βラクタムアレルギーでも使える。例外はセフタジジム
+ 価格
    + イミペネム
        + チエナム
            - 0.5g 1782-2150円
            - 日本dose(1g)で3564-4300円 ただし上限2g
            - 国際dose(2g)で7128-8600円
        + ジェネリック
            - サンド株式会社 1353円(0.5g)
+ 価格
    + メロペネム
        + メロペン
            - 0.5g 1650-2120円
            - 日本dose(1g)で3300-4240円 上限2g
            - 国際dose(3g)で9900-12720円
        + ジェネリック
            - 日医工など1155円(0.5g)
+ 価格
    + ビアペネム
        + オメガシン
            - 0.3g 1777-2218円
            - 0.6g 3554-4436円 上限1.2g
            - ジェネリック無し
+ 価格
    + パニペネム
        + カルベニン
            - 0.5g 1693円
            - 1g 3386円 上限2g
            - ジェネリック無し
+ 価格
    + ドリペネム
        + フィニバックス
            - 0.25g 1667円
            - 日本dose 0.75g 5001円 上限1.5g
            - 国際dose(1.5g) 10002円
            - ジェネリック無し
+ 属性
    + 黄色ブドウ球菌
        - IPM、PAPMがベター
        - ただし、意味のない属性
    + 緑膿菌
        - MEPM, DRPMがよいといわれる。臨床効果は不明
    + セフェムに比べエンドトキシンが出にくい in vitro
        - in vivoでの意義は不明
+ 効かない菌
    - Enterococcus
    - MRSA
    - MRSE
    - Stenotrophomonas maltophilia
    - MDRP
    - intracellular organisms, Legionellaなど
+ 耐性機構
    - influx pump欠損
    - efflux pump過剰
    - PBPs変異
    - β−ラクタマーゼ(とくにメタロ)
    - メロペネム耐性であれば、IPM, PAPM100%耐性
    - イミペネム耐性でMEPM交叉耐性は41.8%, PAPM 98.7%
    - パニペネム耐性ではMEPM交叉耐性23.7%, IPM 56.1%
+ 副作用
    + 中枢神経副作用
        - イミペネムで多い。0.23%。MEPM 0.07%
        - バルプロ酸との併用はバルプロ酸血中濃度を下げるため禁忌
+ 臨床利用
    + pubmedでclinical trial, English/Japaneseで検索
        - imipenemで501件
        - meropenemで196件
        - panipenemで25件
        - biapenemで29件
        + doripenemで11件
            + ただし、RCTにすると
                - imipenemで215件
                - meropenemで88件
                + panipenemで2件
                    + 1件は高齢者の誤嚥性肺炎でクリンダマイシンと同等というスタディー
                        - Chest 2005;127:1276-
                    + もう一つはFNでセフェピムと比較 非劣性
                        - Jpn J Clin Oncol 2008;38:49-
                + biapenemで1件
                    - IPM 500mgq8とbiapenem 500mg q8で比較 腹腔内感染 引き分け
                    - Sand J Infect Dis 1996;28:507-12
                - doripenemで9件
    - Generally speaking, doripenem, imipenem, and meropenem are therapeutically equivalent and interchangeable in most clinical situations.(Mandell)
+ 基本的には
    - カルバペネムは非常に広域抗菌薬。ESBLやAmpCでもOK
    - グラム陽性菌で用いる「必然性」はほとんどない。MRSAや腸球菌では避けた方がよい
    - 院内のグラム陰性菌感染に特に有利
    + カルバペネムは基本的に1剤あればよい。岩田的には、
        - biapenemはアウト
        - imipenem/csも副作用から使いづらい。
        - meropenem, panipenem, doripenemから1剤選択。
        - 日本の保険適応の問題払拭が必要。適応疾患、投与量
        - カルバペネム内のサイクリングは御法度
+ 参考
    - Generic Medicine Information System
    - www.ge-academy.org—top.php <http://www.ge-academy.org/GIS/top.php>
    - 三鴨廣繁、山岸由佳 カルバペネム系抗菌薬の使い方 抗菌薬適正使用生涯教育テキスト 日本化学療法学会 2008 91-111
    - Mandell et al. Principles and Practice of Infectious Diseases 7th ed. 2009
-

今週のMGH

皮膚が硬くなる病気。病歴が秀逸でした。納得。

http://content.nejm.org/cgi/content/extract/358/8/827

今日は会議、、、

現場でのワクチンの運用が大変、、、返品不能。接種者限定。もっと柔軟に出来ないものか。計画通りにやる意味はほとんどない。季節性インフルより死亡率が高いわけでもないのに、ダブルスタンダード。余ったワクチンを周りに提供するとバッシング。おかしい、おかしい。

という話を会議でしました。

http://lohasmedical.jp/blog/2009/12/post_2222.php

本日のJクラブ

グラム陰性菌の人工関節感染。デブリだけでは、再発しますよ、、、

Gram-negative prosthetic joint infections: risk factors and outcome of treatment

PMID 19691430

ICUでのルーチンの胸写は要らないんじゃないの?というスタディー。クラスターランダム化オープンラベル、クロスオーバー試験。学生さんへのティーチングポイントいっぱい、、、

Comparison of routine and on-demand prescription of chest radiographs in mechanically ventilated adults: a multicentre, cluster-randomised, two-period crossover study

PMID 19896184

プレベナーとニューモバックスの抗体比較を高齢者に。ほぼ引き分け。でも、23−7=?

The immunogenicity of 7-valent pneumococcal conjugate vaccine versus 23-valent polysaccharide vaccine in adults aged 50-80 years

PMID 19814624

innate immunityの研究が進んでいますが、臨床応用はいまいちでした。マラリアに対するrosiglitazone の効果を併用療法でみたもの、、、突っ込みどころ満載で1文でサマリー出来ない、、、、、アヴァンディア???

Use of peroxisome proliferator-activated receptor gamma agonists as adjunctive treatment for Plasmodium falciparum malaria: a randomized, double-blind, placebo-controlled trial

PMID 19673614

去年のスタディーですが、latent TB でリファンピン4ヶ月がイソニアチド9ヶ月を凌駕できるか?というスタディー。安全性ではOK.

Adverse events with 4 months of rifampin therapy or 9 months of isoniazid therapy for latent tuberculosis infection: a randomized trial

PMID 19017587

有名なNEJMのスタディーを再掲。生ワクチン局所のほうが不活化筋注より「悪かった」。理論と現実はかみ合わない。

Comparative efficacy of inactivated and live attenuated influenza vaccines

PMID 19776407

ICUでは感染症が多いですよ、という当たり前のことを示したのですが、デザインが面白い。

International study of the prevalence and outcomes of infection in intensive care units

PMID 19952319

侵襲性カンジダ感染をクリニカルスコアで除外しよう、というスタディー。臨床的にらしくなければ、らしくない。

Usefulness of the "Candida score" for discriminating between Candida colonization and invasive candidiasis in non-neutropenic critically ill patients: a prospective multicenter study

PMID 19325481

最近のマンガは面白すぎ、、、

ひところ、「近頃のマンガはつまらなくなった」なんて言われていましたが、ここ5年ばかりのマンガのレベルアップはものすごいです。むちゃくちゃに面白い作品が目白押しで、ついつい読んでしまいます。

孤独のグルメ

フランスで絶大な人気を誇る谷口ジローの絵を初めて見ました。これは、なぜか読んでしまう、実に面白いマンガ。古いようで新しいようで。

大奥

今年最大の驚きでした。「昨日、何食べた?」でファンになったよしながふみですが、こちらのストーリーの重厚さには本当、参りました、です。

BAKUMAN

ジャンプ読まなくなって久しいですが、このコンビは好きなので、試しに読んでみました。まだ2巻までしか読んでませんが、これもとても面白かったです。微妙にジャンプからずれているメタマンガ。かわいい女の子が好き、お高くとまった女は嫌い、格闘ものが面白い、、、といったポリティカリーインコレクトな設定を堂々とやっているところも、素晴らしい。マンガはこうでなきゃ。

心の、、、

小沢牧子の「心の専門家」はいらない、を読みました。心の専門家、にカギ括弧があるのが大事です。彼女の言うところの、「専門家」が要らない、ということです。

・カウンセリング、この効率的かつ奇妙な技法 21p
・巧妙な装置であると言わざるを得ない 23p
・科学こそは人類の夢、自然の征服と開発の時代が来たという熱気は、現在の「心主義」の人々の傾倒ぶりと似通って、問答無用の趣を持っていた。27p
・若い世代がカウンセリングを求める要因はもうひとつある。それは、悩みがあればそれを即座に解決したいという強い願望である。32p
・暗黙のうちに望まれている自己決定をする必要がある。カウンセリング場面は、迷える相談者と「正しい専門家」の人間関係でできている。それは当然ながら権威と異存の上下の関係である。34p
・親が何故子どもを頑張らせるかといえば、「子どもの出来」によって親自体が評価されるからでもある。38p
・「心の時代」と呼ばれるものの実態は、「心」を消費させる時代のことである。、、それは「関係」を商品化することである。

まだまだ興味深いコメントは続きます。「心」や「家族」や「人間」の専門家っていったい何だろう。彼女は、「心の専門家」が安易に容易に「望まれた」規制のゴールに人を誘導することを「成功」とすることに違和感を覚えています。そもそも成功って何だろう。

そのことは、僕ら臨床医についても言えることでしょう。僕らの成果ってなんだろう。患者さんのニーズ云々よりも「こちらの都合」が常に巧みに優先されている非対称の世界なのに、「患者さんの自己決定権を尊重し、対等な関係を作る」と嘯いています。我々医者も、巧妙に作られた「ゴール」に人々、患者さんを誘導しています。それに自覚的であることが大事なのです。

こないだ亡くなったレヴィ・ストロースは、「未開」の地の人たちが劣っていて、彼らに「文明」を提供する、という考え方が根本的に間違いであることを示しました。僕らも、「知的レベルの低い」「コンプライアンスの悪い」「難しい」患者を下に見て、啓蒙します。自分たちの世界観が、世界観の全てであると勘違いしています。ヘモグロビンA1CやLDLやCD4が正常で、カロリー制限をして、運動をして、酒も飲まずたばこを吸わない患者が「よい患者」なのです。そういう人生しか正当な人生として許容していないのです。このことに自覚的でないと、医者もやばい。

患者、クライアントの気持ちが分かる、という「心の専門家」を僕は信用しない。「家族の専門家です」なんて断言する家庭医も信用できない。「病気を診ずに患者を見てます」なんて医者は絶対に信用してはいけない。患者を見てます、なんておこがましくて、よく口に出来ない。僕らは所詮、病気とその周辺にしか関与できないのです。

他人の気持ちなんて分かりません、家族の内実なんて月1回15分くらい会っただけで分かるわけがありません。患者さんよりも自分のことが実は大事です、医者患者関係は、どんなに繕っても最終的には上下関係の構造は根源的に逃れられません、(なぜなら、僕らには常に逃げ道があるから)、それでも、、、、と言える医者こそが、信用に値する。

不明熱のDVD 2

不明熱のDVD,入院編です。鈴木先生、さすがです!

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スペイン風邪とアスピリン CID

Salicylates and pandemic influenza mortality, 1918-1919 pharmacology, pathology, and historic evidence

Clinical Infectious Diseases    2009;49:1405–10

過去のパンデミックでもひときわ死亡率が高かったスペイン風邪。当時吹聴された、「アスピリン療法」が原因だった?という謎に挑む論文。そういえば、SARSのときのステロイドパルスも似たような構造でした。

・スペイン風邪の死亡率の高さの原因は分かっていない。
・1918年10月以降、死亡は激増した。
・米国では25-29歳の30%弱がインフルエンザに罹患し、(人口の)1%が肺炎かインフルエンザで死亡した。CFRは3%。パンデミック最大のミステリーとされている。
・死亡者には、ARDSや2次性細菌性肺炎が多かった。
・1918年のH1N1は下気道に感染しやすいらしい。免疫反応も過剰になりやすい。
・が、それだけでは死亡率は説明しづらい。
・米国の都市によってもCFRは2-10%と差があり、気候や人口密度、予防法やその他の環境では説明できない。
・そこで、サリチル酸、、アスピリンが問題だったのでは、という説が浮上する。
・1917年にバイエルのアスピリンのパテントが切れて、多くのメーカーがアスピリンを製造し始めた。
・当時は、アスピリンの非線形の薬物動態が判明しておらず(1960年代まで)、過量のアスピリンが推奨されていた。薬瓶には警告や使用方法の説明がなかった。
・1950-80年代に、アスピリンが原因となるReye症候群の存在が明らかになった。これは肝腫大と腎障害がもたらす疾患である。
・成人のサリチル酸中毒は、呼吸障害がメインである。

投与量
・1977年のFDAはアスピリンの投与最大量は4000mgとしている。
・1918年には、だいたい1000-1300mgくらいのアスピリンが処方されていた。投与間隔や投与期間の記載はなく、あるロンドンの医師は1300mgを毎時間、12時間もノンストップで処方していた(Lancet 1918;2:742-4)。別の医師は390mg/日を数日処方していた。
・アスピリンは肺水腫に推奨されていた。
・他では、1gを3時間おきに症状が無くなるまで投与するよう推奨されていた(JAMA 1918;71:1136-7)。メジャーな雑誌もでたらめばかりだったというわけだ。
・アスピリンの血中濃度が測定できるようになったのは1940年代になってから。
・1960年代には、アスピリンは蓄積されやすいことが判明する。投与量によって、半減期が5時間から40時間以上と変化するのだった。また、排除率にも個人差がある。

サリチル酸による肺毒性
・サリチル酸は肺水腫を起こしやすい。
・粘膜線毛輸送システムを低下させる作用もある。
・スペイン風邪の剖検では、肺水腫と肺出血がよく認められた。
・脳浮腫や脳出血も多かった。
・これらは、成人のアスピリン中毒に合致する所見だった。

・1918年5月に、スペインからインフルエンザの報告が。だから、スペイン風邪。
・1918年9月に、米国公衆衛生局長官(surgeon general)が正式にアスピリンを推奨した。米国海軍、JAMA、そしてOslerも同じ推奨をした。
・1918年から1920年までにアスピリンの処方は倍増した。
・米国では海軍で9月に、陸軍で10月上旬に、そして一般市民に10月に死亡者が激増した。
・1918年11月のランセットで、Horderがアスピリンを処方から外すよう訴えた。
・小児科の教科書にはアスピリンの使用についての記載が無く、使われにくかった。スペイン風邪では小児の死亡が少なかった。

本日のJC

Management of the catheter in documented catheter-related coagulase-negative staphylococcal bacteremia: remove or retain?
PMID 19780661

CNSカテ感染でもカテ抜去しないと再発しやすい。mortalityに差は出ず、、、後向き研究だが妥当性高し。

Cost-effectiveness of human papillomavirus vaccination and cervical cancer screening in women older than 30 years in the United States
PMID 19841455

30歳以上でスクリーニングしてもコストに見合わない、、、というコスト効果分析

Statins for the prevention and treatment of infections: a systematic review and meta-analysis

PMID 19822822

スタチンは何でも予防しますよ?という論文。全人類が飲め、みたいな勢いだなあ、、、

Human infections due to Streptococcus dysgalactiae subspecies equisimilis

PMID 19635028

分かりにくいGCS,GGSですが、今はSDSE。こんな感じだそうです。

History of taxonomy
Historical subgroups of S. dysgalactiae a-Hemolytic or nonhemolytic bovine group C streptococci (S. dysgalactiae) b-Hemolytic porcine group C streptococci (Streptococcus equisimilis) b-Hemolytic animal (pig, dog, and cattle) and, rarely, human group L streptococci b-Hemolytic human group C streptococci (S. equisimilis) b-Hemolytic human group G streptococci
Initial description of S. dysgalactiae subsp. equisimilis [1] S. dysgalactiae subsp. equisimilis subsp. nov.: human large colony–forming groups C and
G streptococci S. dysgalactiae subsp. dysgalactiae subsp. nov.: all animal large colony–forming group C
streptococci and group L streptococci Current taxonomic status of S. dysgalactiae subsp. equisimilis [2]
S. dysgalactiae subsp. equisimilis: all b-hemolytic large colony–forming groups C and L streptococci and human group G streptococci
S. dysgalactiae subsp. dysgalactiae: a-hemolytic or nonhemolytic large colony–forming group C streptococci

「治療の手引き」を読む(HIV)

いままではDHHSやジョンズホプキンスの教科書を参照することが多かったのですが、日本の事情も勘案されたHIV感染症治療研究会の「手引き」もかなり役に立ちます。13版で、特に気になったところ、注意したいところ、見落とし、忘れがちなところを箇条書き。

http://www.hivjp.org/

・イムノクロマトグラフィの偽陽性は約1%
・妊婦のスクリーニングで真のHIV陽性率は0.02%。検査陽性のうち真の陽性はわずか13人に1人。
・TaqManとAmplicorの違いが問題になっていたが、東京医科大学が再度遠心分離を行うことで検査の一致率が高まったとのこと。今後は従来通り検出感度以下が治療の目標になるが、新手順の導入時期は検査センターにより異なり、確認が必要。
・日本では、未治療者の5%に耐性変異がある。
・CD4 350以上の治療推奨は「結論が出ていない」
・急性HIV感染症で治療が開始される「場合がある」が、専門家の意見を求めることが必要。
・OIのとき、有害事象を恐れるあまり、必要以上にHAARTを遅らせてはいけない。結核以外は14日以内が妥当か、、、
・IRISでは、HAARTを極力継続すべき
・ATV/RTVでPPIの使用は注意、あるいは禁忌。
・ATV単独使用時は、TDFやddI/3TCと併用は禁忌
・VL 10万コピー以上ではエプジコムは使わない。
・HLA-B*5701陽性者は欧米で8%低度、日本では0.1%。ただし、HSR発症者は1.3%??
・心血管系リスクの高い患者ではエプジコムは「注意」
・ツルバダはネビラピンと併用しない。
・EFV代謝酵素遺伝子 (CYP2B6*6/*6)SNPsには人種差があり、日本人では、EFVの血中濃度が上がる人がいる。この場合はTDMで減量。
・食事中・食後に飲むPIはDRV/RTV、ATV/RTV。食事と関係ないのが、FPV/RTV、FPV、LPV/RTV
・TAMを誘導しないのが、エプジコム、ddI/3TC、ツルバダ
・妊婦に第一選択は、コンビビル、カレトラ。ネビラピンもよいが、CD4に注意
・空腹時に服用がddI/3TC、それにインジナビル(使わないけど、、)
・リトナブーストなしでは、DRVやSQVを使ってはいけない。
・エトラビリンはPIと併用しない方がよい。PIの代謝が促進。
・VL下がっていて、CD4があがらないとき、治療変更を考慮すべきかどうかについては一定の見解が得られていない。
・VL下がる、CD4あがる、臨床的に悪くなる、、のシナリオではHAART変えない方がよい。
・耐性検査に基づいた治療変更は専門医に相談した方がよい。
・HAART注視時にはEFVに注意するが、他の薬剤の投与継続日数については明らかでない。PIに変え、2NRTIを継続してから中止した方が、耐性ができにくい。
・VL低いが下がりきらない場合、1,アドヒアランス再確認、2.1剤追加する、3.RTVブースト、4,新しい治療に取っ替える、5.同じ治療でVLを頻回にチェックという選択肢
・VL高い場合、アドヒアランスチェックして、耐性検査。1.耐性ないばあいはVL低いが下がりきらない場合に準じる。2.1剤に耐性は、1剤変更あるいはぜんぶ取っ替え。3.2剤以上耐性。クラスの変更。追加などを考慮。
・CD4あがらない、VL低い場合は、HIV-2、HTLV−1、HTLV-2の重複感染や薬剤毒性を考える。ddIとTDFの併用などが原因になることも。
・ダルナビル、ラルテグラビル、マラビロク、エトラビリンの使い方については確立されていない。
・TDMによる臨床的な改善を示す前向き試験はない。検査方法や結果解釈は難しい。
・major mutationは最初に現れる耐性の付与。minor mutationは耐性を単独で付与しないが、majorと共存して耐性発現。
・HBV共感染では、ALT31以上、HBe抗原陽性では5ログ、陰性では4ログ、肝硬変では3ログで抗ウイルス療法。単独では用いない。ツルバダを含むHAARTをCD4とは関係なく用いる。
・HAARTを用い、HBV治療が不要の場合も、ツルバダベイスのHAART開始!
・エンテカビルには要注意。HIVのM184Vを誘導することが。
・HAARTを変更するとき、HBVを忘れない!!ツルバダ止めて肝障害を起こすエピソードあり。これは、結核治療を終了するとき他の薬を調節する(ステロイドやワーファリン)に似ている。
・IAS-USAガイドラインでは、活動性HCV感染が合併していればCD4関係なしでHAART開始。
・CD4200以下ではまずHIV治療を優先。
・AZTとリバビリンは併用したくない。ddIとも併用したくない。
・EFVとインターフェロンも避けたい。
・HIVと結核は同時に治療しない。CD40−200では2週間、100−350では8週間、350以上では8−24,あるいは結核治療終了後にHAART開始(DHHSによる)。
・リファブチンと併用で量を変えなくてよいのは、ネビラピン、エトラビリン、ラルテグラビル
・悪性腫瘍合併例の治療方法は専門家コンサルト。
・思春期、青年期のHAARTは年齢ではなく、タナーステージで評価。
・HAARTに乗っている患者が妊娠したら、HAARTはやめない。1st trimesterでもやめない。
・HAARTに乗っていない妊婦は、2nd trimesterまで待ってHAART。CD4高くても分娩までは少なくとも続ける。
・EFV、DLVはだめ。
・CD4高い場合はNVPはだめ。
・分娩時に母胎にAZTとリバビリン2mg/kgを1時間かけて、その後1mg/kg/hrで分娩まで。
・新生児には2mg/kgの経口あるいは1.5/kgのIV、その後6時間ごとに6週まで(ただし週数による)
・出生児の評価は、VLで12-18週、抗体なら12ヶ月後。ただし、生後18ヶ月まで母の移行抗体あり。陰性ならよいが、陽性ではあせらない。
・5歳以下ではCD4は%で評価。
・日本では出産はすべて帝王切開。アメリカではVL次第。

今回は、d4Tについての特別なコメントはなかったですね。

情念とエビデンス

EBMのかなりな使い手でも、こと教育になるととたんに盲目的に情念が優先してしまいます。結論と根拠がひっくり返る現象が普遍的に見られます。不思議ですね。

まあ、教育学やその背後にある心理学のデータが、「いわゆる」エビデンスと親和性に乏しいからかもしれません。それにしても、国内外でも相当な専門家があやふやなデータを針小棒大に語っているのは驚くばかりです。

さて、デーゲンの「フロイト先生のウソ」を読みました。やたら粘着的な文体で読みにくく、データの開陳もよろしくなく、ついでに邦題もへんてこです。できれば引用部分に番号をつけて、元論文を明示して欲しかった。ただ、エッセンスとしては面白かった。他の本とも比べて、以下の点が面白かったです。

・心理療法はほとんど臨床効果がない。
・子どもの人格に親の教育、あり方などはほとんど影響を与えない。
・幼児期の体験は大人になったときの人格を決定しない。
・環境より遺伝のほうが性格形成には大きく寄与。
・子どもの時に虐待を受けると、大人になったら虐待者になる、はウソ。
・子どもの時に愛されないと良い母親になれない、もウソ
・長男、次男、という生まれた順番が性格を形成するというエビデンスは乏しい。
・教師の期待が生徒を伸ばす、ピグマリオン効果はウソ
・モーツアルトを聴かせても頭はよくならない。
・スーパーラーニングはない。

ついでに、フォトリーディングやNLPについても興味があったので個人的に検証してみました。pubmedとwikipediaから興味深い話が見つかったのでした。
こういう領域を扱ったUpToDateのような二次情報ツールがあればよいのにねえ。

今週のMGH

コンビニでお金を支払っていたらコンピューターがうまく扱えなくて、本日は遅刻でした。そんな中での本日のケース。頭を聴いていなくて全然見当違いなことを考えていましたが、内容は面白かったです。それにしても、ぽさだし、って知らんかった。

http://content.nejm.org/cgi/content/extract/361/20/1980

HIVとインフルエンザ

学会で発表したネタをPaul Saxがビデオブログでしゃべっています。「遅いよ、ちょっと、、、」と一瞬思いましたが。聴いてみたらわりと普通のことしかしゃべってなかったので、がっかりしたりほっとしたり、、、

http://mp.medscape.com/cgi-bin1/DM/y/hCkL20WrHtC0D1L0KnuD0EU&uac=46045PX

それでも説明していきたい、説明しなければならない(漢方)

漢方薬と事業仕分けの保険適応外しの問題が大きな波紋を呼んでいます。

僕は、漢方薬が保険から根拠なく外されることには反対です。

しかし、中には「これまでも外しにかかり、署名、維持の歴史があった。今後は未来永劫漢方薬が外されないよう保証されるべきだ」という意見もあるようです。

それは、違うと思う。

漢方薬や漢方診療は、やはり今まで説明不足だったのだと僕は思います。「漢方は漢方を勉強しないと分からない」「分からない人には分からない」とギルドを決め込んでいたのが、問題です。

公共財たる医療保険からお金をもらうのです。そこにお金を出している人たち(国民)になぜ、漢方薬には医療保険が適応になるのか、お金をプールしなければならないのか。納得のいく説明をしなければなりません。漢方薬で元気になった人がいる、利益を受けた人がいる、、、というだけでは説明不足です。なぜなら、既存のたくさんの治療法が利益をある人たちに(場合によってはたくさんの人たちに)与えていますが、保険は適応されないからです。箱庭療法とか、ホースセラピーとか。もちろん、武見太郎が認めたから、でも何千年も使っているから、でもありません。

アロマセラピーはイブン・シーナのころからあるようですが、保険適応はありません。漢方とアロマはどう違うのか、僕は理解しているつもりです。でも、それをインサイダーだけではなく、アウトサイダーにも理解してもらう必要があるのです。

現在、漢方薬に関連した臨床試験を2つ企画しています。よりよく説明できるために、僕もがんばっていきたいと思います。

ついでですが、逆に予防接種になぜ保険適応が(ほとんど)ないのかも、その誤謬を説明していく必要があります。その見返りとして、政治家と官僚は、なぜ保険が適応に出来ないのかを説明しなくてはならないのですが。予防だから、では説明になってませんよ(この論拠についてはどこか別のところでしました)。

ぜひ、定期接種を

ファイザーがワイスとの合併を期にワクチン事業に参入します。プレベナー、、、ぜひ定期接種に組み込んで欲しいものです。小児の死に至る髄膜炎はぜひゼロになってほしい。どのような路があるでしょうか。

予防接種については医学界新聞に寄稿しています。ぜひごらんください。

●○力でよいの?

最近、何とかの力、みたいな本が多いですね。

ウコンの力じゃありませんよ。こういうふうに生きるのが正しい、という人生訓、生き方論です。

こういうふうに生きるのが正しい、という主張をするからには、その著者は「正しい生き方」をきちんと定義できていることになります。そして、ただしい生き方を生きている(と信じてる)。

しかし、このブログで再三再四検討しているように、「正しさの希求」そのものが危うい概念なので、正しさを主張すればするほど、その概念は誤っている、というパラドックスに陥っていきます。「こうしたら失敗した」というエピソードは役に立ちますが、「こうすれば正しい生き方」というのは規定できないのです。そういう意味では、なにわ金融道ってすごくいいマンガでした。

勝間和代さんの「お金は銀行に預けるな」は今でも良書だと思います。サブプライムのあとで「この本を読んで損をした、けしからん」と批判されることもあるそうですが、リスクを見据えてリテラシーをつけましょう、というのが本書の骨子なので、完全に見当違いな批判と言えましょう。たしか、その中で彼女は「これまでにこうやれば儲かるという株の本がありましたが、すべてインチキ。それはたまたまうまくいった自分のエピソードを書いただけで、汎用性があるわけではない」みたいなことをお書きになっていたと思います。成功のエピソードが正しさの証明ではない、というまっとうな御指摘です。

その彼女が、いま盛んに「何とかの力」の本を出しているのは、まことに皮肉な話に見えるのです。

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