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電車の中で、雑文

スポーツの世界は結果が全て。指導(教育)の正否もアウトカムで評価されます。だから、分かりやすくていいのですね。

医療の世界であると、教育の手法を指し示すアウトカムはちょっと分かりづらい。知識の多寡をみるテストだけなら、予備校的な「試験対策」がベストでしょうが、そうではない、と多くの人たちは思っています。でも、その辺のアバウトさが教育手法の正当な評価を難しくしています。そのため、どうしてもドグマチックになりやすい。「こう教えればこのような結果が出る」ではなく、「こう教えるべき」という「べき論」=ドグマがはびこりやすい。ドグマチックな教育者ほどEBMに精通しているのも皮肉なことで、このことはEBMが本質ではなく、「お作法」として表層的に扱われている可能性が高いことを示唆しています(エビデンスはあるか?RCTか?的な「お作法」ということです)。本質と形式は常に混在し、両者を区別することは難しいのです。主観と客観も同様で、客観の局地と見られた数学も実は主観が主体であると僕は最近「数の現象学」森毅 を読んで深く感じ入りました。3分の2とtwo thirdsは意味が、違う。

さて、ワールドカップで日本はカメルーン、オランダ、デンマークと対戦します。カメルーンはアフリカ最強の国の一つで今回は「ホーム」です。しかし、予選ではパフォーマンスが悪くて大変苦労しました。それを立て直したのがルグエン監督。弛緩し、集中力を欠いたカメルーンを厳しい規律で立て直し、エースのエトーに自覚を促し、見事によいチームに立て直したのでした。日本の医療界でこれをやると「選手が萎縮してしまう。もっと個性を活かすべき。ほめるべき」という「べき論」が優先して、全部だめになっていたことでしょう。目的と手段がひっくり返る、いつものパターンです。

野球なんかはもっと顕著。阪神が優勝したときは「叱らなければだめ」となり、西武が優勝したときは「褒めて個性を伸ばせ」とくる。でも、その西武も次の年はぱっとしない。じゃ、ぼやけばいいのか?野球の監督なんてすぐにリーダーのレッテルを貼られて「ダイヤ○ンド」あたりの経営学で引用されますが、実に賞味期限が短い。

これはみな「結果」から「後付の説明」をしたのに過ぎない。上手くいった人の真似をしても上手くいくとは限らない。成功者の模倣は愚の骨頂で、成功者はたいてい模倣者ではない。スポーツでも、政治でも、音楽でも、医療でも。から、松○や本○も坂本龍馬も秋本真之も、神様扱いしても何もよいことはありません。彼らが21世紀の今にいたら、全然活躍できないか、あるいはやり方を変えていたと思います。月刊プレジデン○を読んで大社長になれるわけがない。もしそうなら、毎月何十万という大社長が生まれているはず。勝間和代の本を読んでも成功者にはなれない。勝間さんは、「○○の力」なんて生き方マニュアルは読まなかったと思う(たぶん)。

星野阪神のときは、弛緩してプロ意識を欠き、「負け慣れていた」チームだから叱咤激励が効果をもたらしたのでしょう。同じ監督は日本代表ではうまくいきませんでした。ある状況がある指導法を希求するのであり、デフォルトで上手くいく指導法などないのです。ルグエンもフランス代表監督だったら全然べつのことをやったでしょう。

志ん生も戦争時代は、日本が負けるはずがないと信じていたそうです。「だって、日本はかつて負けたことがなかったのだから。日清戦争も日露戦争にも勝ったのに、負けるわけがない」と。でも、歴史を俯瞰すると、「負け続けない」国はない。アテネもマケドニアもローマも元もスペインもフランスも英国も、例外なく衰退している。歴史から学ぶことは多いですが、それはその切り方次第なのですね。

さて、そのワールドカップですが、ほとんどの評論家は「初戦のカメルーンが大事」と言っています。これは、危険。「初戦に勝つしかない」思考を徹底されると、06年のように「初戦に負けたとき」に立て直せなくなります。「初戦は大事。でも勝負事だから、相手のあることだから、絶対に勝つという保証はない。今の日本には全然ない。初戦に負けることも計算に入れよう」「初戦に負けたらどうするか考えよう」という発想が大事です。90年のアルゼンチンは初戦負けても準優勝でしたし、74年の西ドイツは優勝しました。オシムのユーゴは「わざと」初戦を負けました。

どうして昔から、日本は「負け」を想定に入れることが出来ないのだろう。日本海海戦の時からか?医者もそうで、自分のアセスメントがもし間違っていても、リスクヘッジできているか、というコンティンジェンシープランが大切になります。でも、多くの場合「自分のアセスメントが正しい場合」のみが想定されているので、しくじるのでした。どんな名医でも百戦百勝はありえないのですが、、、

雑なままで終わる今回の文章、最近読んで面白かった本、「ヘッテルとフエーテル」。ご一読あれ。

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