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2010年1月

最近読んだ、、、

いくつか最近読んだ本

冬の夢
若きフィッツジェラルドの短編を集め、村上春樹が訳した本。秀作もあれば駄作もあるが、その哀愁は全編通じてよく通じてきます。「冬の夢」には泣きました。

Rough Weather
ロバート・P・パーカーのスペンサーもの。海外に行くときはパーカーのペーパーバックを読むのが習慣になっています。読みやすくて美しくて、けっして読んだ後後悔しない。今回もリリカルな小説の魅力が満載。

老後に本当はいくら必要か
新書は当たり外れが激しいですが、大はずれな一冊。精神論は否定しないけれど、ここまでひどいとちょっと

メノン
プラトンの初期の作品。「徳」とはなにかをメノンとソクラテスが延々と語り合う。今読んでもその論拠の鋭さにびっくり。

機動戦士ガンダムORIGIN20
いよいよ佳境のORIGIN。ザビ家の人たちが非常に躍動して描かれており、まるでカラマーゾフのよう。強さの象徴だったシャアがアムロにあんた、本当にニュータイプ?と突っこまれて弱る場面も見物。

Disease 人類を襲った30の病魔(書評)

以下、書いた書評ですが、ブログに載せても良いとのことで、載せます。医学書院さん、太っ腹です。こういうときに著作権とかやたら主張してもしょうがないぜ!(石川雅之風だ、、、)

Disease 人類を襲った30の病魔

「将来の人々は、かつて忌まわしい天然痘が存在し貴殿によってそれが撲滅されたことを歴史によって知るだけであろう」
トーマス・ジェファーソン。エドワード・ジェンナーへの1806年の手紙 本書134頁より

 我々は、ジェファーソンの予言が1979年に実現した事を知っている。個人の疾患は時間を込みにした疾患である。社会の疾患は歴史を込みにせずには語れない。目の前の患者に埋没する毎日からふと離れ、俯瞰的に長いスパンの疾患を考えるひとときは貴重である。
 本書は病気を歴史で切った本である。非常に読みやすい。美しい絵と多くの逸話、そして箴言がちりばめられている。
 むろん、職業上、学問上の必要からも本書は有用である。かつて麻疹は死亡率の高い疾患だった事。シャーガス病のような現在でも猛威をふるう疾患でもしばしば我々は無視(ネグレクト)してしまうこと。壊血病のような疾患の原因を突き止めるのに先人は多くの努力と困難とときに失敗を経てきた事。
 しかし、そのような「お勉強」を離れても本書は単純にページ・ターナー(先が読みたくなる本)としても秀逸である。元々僕は古い映像や写真を眺めるのが大好きな性分で、本書にちりばめられた美しい挿絵や写真はかの時代への想像力をかき立てるのに十分であった。フランクリン・ルーズベルトとポリオの逸話、ヤウレッグがいかに梅毒とマラリア(のナイスなコンビネーション)でノーベル賞を受賞したか。こうした逸話も純粋にただただ読むに快楽である。インフルエンザと同意の言葉がアラブの言葉ではアンファル・アンザとそっくりだ、なんて何の役にも立たないウンチクを知るのも楽しいではないか。本とは詰まるところ、面白くてなんぼ、である。
 30の逸話のうち27までが感染症であるのは示唆的である。別に著者が感染症オタクだったから、というわけではなかろう。歴史から医学・医療を語ろうと思えば、こうせざるをえなかったのだろう。そのくらい、かつて病と言えば感染症であったのである。人々は、ペストにおびえ、コレラに恐怖し、梅毒におののき、インフルエンザに戦慄した。これが歴史である。そのような世界を克服したと思ったとたん、エボラ出血熱が見つかり、エイズが見つかり、SARSが見つかる。これも歴史である。2009年は、21世紀になっても我々が感染症に引っかき回される存在である事を改めて認識させた。別に、脂質異常や骨折やうつ病が無視されて良い疾患だと言っているのではない。歴史という観点から切ると、「うつる」感染症がより切りやすい、というただそれだけの話だ。
 ダニエル・エルマー・サーモンという魚のような名前の男が医学の歴史に何を残したか、本書はこういうほとんどくだらないことに拘泥し、にやにやしながら、豊かな気持ちで読んでほしいと思う。

JRさんご苦労様

カンボジアから帰ってきて、あれこれ仕事がたまっていて、あれこれ会議があって、千葉の亀田にいって、帰りに東京によって仕事をしたら、新幹線が止まっていました。動かない。東京駅から一歩も動けない。持っていた切符の新幹線は運休になり、代わりに買い直した切符の列車も(これは運休にはなりませんよ、と言われたのに)やはり運休になり、最後は自由席に無理矢理乗って帰りました。大変疲れましたが、東京一泊も覚悟していたので、まあhalf full glassをどう解釈するか、でしょうか。

でも、JRの職員さん、がんばっていました。本当、大変だったろうな。イライラしたお客さんにあれこれ無理・無茶を言われてかわいそうでした。
 個人差はありますが、JRの職員の接遇って本当に良くなりました。いまでも地方に行くと団塊世代ちょっと下みたいな世代のもと国鉄マンですごい横柄な人を見ますが、この世代の人は一般的に横柄な人が多いので(ごめんなさい、でも本当)、一般化していいかは分かりません。最近、医者をあがめまつるような人は減りましたが、それでも僕らは普段患者さんから丁寧な態度をとられているんだな、とつくづく思いました。

血液培養ラウンドとバカの定義

神戸大学病院では血液培養ラウンドをやっています。血液培養陽性者を確認し、主治医がきちんと対応しているかをモニターし、必要があれば抗菌薬選択など、診療支援をします。もちろん、単なるコンタミだったり主治医が十分理解している場合は介入しません。あくまでこちらのオファーでして、酒屋や米屋の御用聞きみたいなものです。

「ええー、まいどあり。血液培養陽性ですが、もしよろしかったらお手伝いしやしょうか」

という感じです(こんな言い方は実際にはしません、念のため)。感染制御とか感染管理というガチガチしたイメージは苦手で、あくまでも「お手伝い」、サービス業です。この辺のコンセプトを理解してもらうのには、とても時間がかかります。管理、制御、規制があまりに多すぎるためです。僕は管理するのは(されるのも)好きではないので、あくまでお手伝いですよ、と言いふらしているのですが、なかなか大学病院では理解されない。

「そもそも、患者は主治医が診るものでしょ。普通の病院はそうですよ。それをどうして横やりを入れるのです」

なんて言われます。けれど、僕は大学病院で定義するところの普通の事や常識的な事をやるつもりはないんです。僕にはそういう世間知がありません。大学の世間知の枠内で仕事をするのなら、僕みたいな人間は一番役に立たないはずです。豚に空を飛べ、というようなものです。豚には豚の仕事がある。例えば、そこらの生ゴミを食べてまわるというような。

僕が大学で仕事をするという事は、大学の常識の枠の外で仕事をするという事です。たぶん、そういう仕事をさせたいからこそ僕は大学に呼ばれたんだと思います。もしそうでないとしたら神戸大の人事部門は非常に無能だという事になってしまいますからね。

2008年4月に発足した感染症内科ですが、お陰様で2010年1月27日時点で入院患者診療1000人となりました。血液培養陽性者で、感染症内科が実際にフォローするのはそのうち6割程度。ほとんど全科からコンサルテーションをいただいています。たった一科だけが頑なに介入を拒んでいますが、まあ支持率100%の将軍様は逆にやばいということもあり、このくらいなら(発足2年としては)上出来な方だと思います。

感染症コンサルテーションの価値については下記があります。あと、最近大曲先生たちがお書きになった本は非常に面白いです。

1. Lahey T, Shah R, Gittzus J, Schwartzman J, Kirkland K. Infectious diseases consultation lowers mortality from Staphylococcus aureus bacteremia. Medicine (Baltimore). 2009 Sep;88(5):263-267.   
 
2. Rieg S, Peyerl-Hoffmann G, de With K, Theilacker C, Wagner D, Hübner J, et al. Mortality of S. aureus bacteremia and infectious diseases specialist consultation--a study of 521 patients in Germany. J. Infect. 2009 Oct;59(4):232-239.   
 
3. Raineri E, Pan A, Mondello P, Acquarolo A, Candiani A, Crema L. Role of the infectious diseases specialist consultant on the appropriateness of antimicrobial therapy prescription in an intensive care unit. Am J Infect Control. 2008 May;36(4):283-290.   
 
4. Erbay A, Bodur H, Akinci E, Colpan A. Evaluation of antibiotic use in intensive care units of a tertiary care hospital in Turkey. J. Hosp. Infect. 2005 Jan;59(1):53-61.   
 
5. Esposito S, Leone S. Antimicrobial treatment for Intensive Care Unit (ICU) infections including the role of the infectious disease specialist. Int. J. Antimicrob. Agents. 2007 May;29(5):494-500.   
 

岡田先生 神戸へ

聖路加国際病院の岡田正人先生が大リーガー医として1週間おいでです。昨日は自己免疫疾患とアレルギーのケースカンファ、その後CTDの診断アプローチの講義でした。長い時間を非常にテンポ良く面白い話でした。勉強になりました。神戸大もビッグネームがどんどん来るようになっています。少しずつ変えていかねば。

ICUと感染症内科について

3月5日、広島で行われる集中治療医学会学術集会でのシンポジウムのネタです。まだメモ段階ですが、こんな内容でしゃべろうと思います。

ICUと感染管理、感染症支援
- 感染症内科
    - 2008年4月に発足。最初は教授一人体制。入院は総合診療科に依頼していた。
    - 2008年5月に後期研修医一人採用。10月に指導医1人(パートタイム)、後期研修医2人追加。
    - 2009年度より指導医がパートタイムからフルタイムに。助教1人採用。後期研修医2人追加採用
    - 3ヶ月の短期研修制度。常時1−3人の外部医師が臨床研修
    - 1−2人の初期研修医のローテート研修
    - 2010年2月 リサーチ・コーディネーター採用
    - 2010年度より後期研修医2人、臨床研究部門研修医1人追加採用予定。指導医3人、研修医7人体制に
- 診療業務
    - 入院患者コンサルテーション
    - 感染症内科入院(数は多くない)
    - 感染症内科外来(HIV、不明熱、旅行外来、予防接種など)
    - 発熱外来
    - 新型インフルエンザ予防接種業務など
    - 病院改善プロジェクト(外来改善、抗菌薬適正使用プロジェクト、薬事、細菌検査、看護など多岐にわたる)
    - レクチャー(ランチョン・レクチャー 抗菌薬など)
- 研究
    - 新型インフルエンザに関する臨床研究
    - 院内肺炎に関するリスク分析
    - 新型インフルエンザに関する質的研究
    - カンボジアにおける感染症診療の質的研究
    - ポリミキシンBの耐性菌感染症に対する効果の研究
    - マラリア迅速診断薬の研究
        - など
- 教育
    - 学生教育 3年生の微生物学、4年生のチュートリアル、5,6年生のBSL
    - 初期研修医教育
    - 後期研修医教育
    - コメディカル、指導医などの教育 OJT、レクチャーなど
- 入院患者コンサルテーション業務
    - 2008年4月16日から2010年1月27日までに感染症内科が関与した患者はちょうど1000例
    - 2009年度より血液培養ラウンド開始。
        - 血液培養陽性時に主治医コール。コンサルト必要の有無を確認
        - 60%でコンサルトを要請されている
    - 現在、担当患者の20%程度が血液培養からの介入。70%がコンサルテーションを主治医からコール。残りが感染症内科入院患者(HIV、不明熱など)
    - 113例(11%)がICU患者
        - 12例(11%)が血培フォロー。大多数がコンサルテーションかかった患者
- ICUにおける感染症コンサルテーション
    - 院内感染
        - 血液培養陽性患者
        - 当院はCRBSIが多い
        - SSI、UTI、VAPなど
    - 感染症で入院
        - sepsis
        - IE->手術
        - 二次性腹膜炎
        - 髄膜炎
        - 重症肺炎
            - など
- ICUにおける感染防御
    - 原則、感染制御部におまかせ
        - 感染症内科は支援のみ。役割分担
- 大学病院ICUの問題点
    - プレイヤーが多すぎる。縦割りの弊害
        - 救命救急科
        - 総合内科
        - 麻酔科
        - その他各診療科
    - 集中治療・感染症のトレーニング不足
    - チーム医療のコンセプト
    - うちの医局のやり方
        - 製薬メーカーの関与
    - 勉強不足
        - 論文を読んでいない(これはまあ、ある程度仕方がない)
        - 教科書を読んでいない(意外に多い。これは問題)
- 介入例
    - 某科ICU入院患者の術中抗菌薬でPIPCやアミカシンが使われていた事発覚
    - 術中抗菌薬がSSI予防を目的としている事、PIPCやアミカシンは「不適切」なことを説明
    - ネゴシエーション
        - 製薬メーカーの関与?
    - 結局診療科長と交渉。抗菌薬の種類、投与期間など変更に
- 原則
    - 主治医の最終決定権は常に尊重
    - 大方針を確認。大方針を無視した「空気の読めない」推奨はしない
    - 患者のアウトカム中心。明らかに主治医のプランと患者のプランが合わないときは相談
    - コミュニケーション重視。内容だけでなく、技術も
        - コーチングなどのスキル
- スキル
    - 常に相手の意向を先に問う
    - 文献などのデータを提示することも
    - 情に訴える事もあり。GNN
    - チャンクアップ、チャンクダウンの活用
    - カルテだけでなく直接対話を
    - キープレイヤーは誰か。研修医が板挟みにならないように
- 管理ではなく、支援
    - 感染症はおまかせください
    - 手術に集中してもらえば、主治医も楽ができる。患者がはやく良くなれば、主治医は楽ができる
    - 忙しければ、お手伝いします。
        - 術中の血液培養や抗菌薬オーダーなど。合意を得た後に臨機応変に
        - グラム染色の代行
- 失敗例 よくある後期研修医の失敗パターン
    - 主治医観の欠如。
        - ボールウオッチャーに
    - 感染症「だけ」見てしまう
        - 内科全般の力も大事
        - 栄養、貧血、血糖、in-out、呼吸器設定など突っ込みどころは多い。感染症が治っても患者が治らないでは、困りもの
            - あまりやり過ぎるとこれもダメだが、、、
    - コミュニケーション
        - 単に人当たりが良いだけではダメ
        - 「コンサルテーション・スキル」
    - デハノウミ
        - 「アメリカでは、、、」は説得力がない。それに正しくない事も多い。
- まとめ
    - ICUにおける感染症診療支援は患者にもICU医療者にも有用である
    - 同じ方向を向いてチャンクアップ。Win-Win の関係が大事
        - チーム医療のコンセプトを
    - 内容も大事だが、コミュニケーションも大事
- 参考文献
    - 1.
    Lahey T, Shah R, Gittzus J, Schwartzman J, Kirkland K. Infectious diseases consultation lowers mortality from Staphylococcus aureus bacteremia. Medicine (Baltimore). 2009 Sep;88(5):263-267. 

    2.
    Rieg S, Peyerl-Hoffmann G, de With K, Theilacker C, Wagner D, Hübner J, et al. Mortality of S. aureus bacteremia and infectious diseases specialist consultation--a study of 521 patients in Germany. J. Infect. 2009 Oct;59(4):232-239. 

    3.
    Raineri E, Pan A, Mondello P, Acquarolo A, Candiani A, Crema L. Role of the infectious diseases specialist consultant on the appropriateness of antimicrobial therapy prescription in an intensive care unit. Am J Infect Control. 2008 May;36(4):283-290. 

    4.
    Erbay A, Bodur H, Akinci E, Colpan A. Evaluation of antibiotic use in intensive care units of a tertiary care hospital in Turkey. J. Hosp. Infect. 2005 Jan;59(1):53-61. 

    5.
    Esposito S, Leone S. Antimicrobial treatment for Intensive Care Unit (ICU) infections including the role of the infectious disease specialist. Int. J. Antimicrob. Agents. 2007 May;29(5):494-500. 

   

    6.
    大曲ら 感染症チーム医療のアプローチ 南江堂 2009

本日のJクラブ

Preventing surgical-site infections in nasal carriers of Staphylococcus aureus
PMID 20054045

real-time PCRで見つけた黄色ブドウ球菌をムピロシンとクロルヘキシジンの石けんで5日洗うとブドウ球菌感染症は減る。死亡率に差はなし。

Patient level pooled analysis of 68 500 patients from seven major vitamin D fracture trials in US and Europe
PMID 20068257

骨折を減らそうと思えば、ビタミンDだけでなくカルシウムも必要。量の問題、、、、

Antibiotic prophylaxis and recurrent urinary tract infection in children
PMID 19864673

子どもの再発性UTIを防ぐために。STを1年間。結構副作用は少ない。2mg/kgをトリメトプリム換算で。NNTは15くらい。

N-acetylcysteine and contrast-induced nephropathy in primary angioplasty
PMID 16807414

primary angioplasty時のNアセチルシステイン。最初は 点滴で。量が多いほどよい。composite endpointだけでなく。

Routine care of peripheral intravenous catheters versus clinically indicated replacement: randomised controlled trial
PMID 18614482

CDCの推奨みたいにルーチンの末梢ライン交換は必要ないんじゃないの?というスタディー。IVナースがいれば、もしくは。

Effect of high perioperative oxygen fraction on surgical site infection and pulmonary complications after abdominal surgery: the PROXI randomized clinical trial
PMID 19826023

これは前にもやりましたが、繰り返しも大事。酸素はSSI減らさず。

なぜか予防の論文ばかり、、、、

FP試験

カンボジアからラオス、ベトナム経由で早朝に日本に帰ってきました。休む間もなくファイナンシャルプランナーの試験(2級)。

数年前にお金の事をきちんと勉強したくて○キャンで勉強してました。で、資格試験も受けたのですがいかんせん準備不足で全然歯が立たず、実技試験は通ったものの学科試験は落ちてしまい。そのまま忘れてほっといたのでした。その後数年は忙しすぎてこちらはすっからかん。気がつくと、1月の試験を逃すと実技試験のほうも消滅する事が分かり、慌てて勉強し直し。試験のための勉強という事で、見事に目的と手段の取り違え、、、、我ながら恥ずかしい限りです。

60問の試験で120分なのですが、今回も難しかったです。けっこう文章的に揚げ足とりの問題も多く、知識も多様なところを問うてくるので苦戦苦戦でした。僕は大体試験は速いほうで、感染症学会専門医試験とかは20分くらいで終わらせたのですが、やはり分野が違うと勝手が違い、120分フルに使ってまだ物足りない、、、お金ってむつかしいっす。

今年度はこれで、アメリカの内科専門医試験のrecertification、スペイン語(5級)と3コの試験でした。ノルマとしては語学を1−2コ、他の試験を1−2コなのでなんとかノルマ達成ですが、勉強する時間を作るのもしんどくてけっこうあっぷあっぷでした。しばらくお休みしたいですが、まだまだたくさんやることがあるのでした。

カンボジアの医療に

2005年からシアヌーク病院に短期訪問、医師教育などのボランティアをやっています(念のため、こちらは教育病院ではないので見学や研修目的の訪問は断られています。英語で現地の医師を教育できるような方ならボランティアとして参加できるかもしれません)。今回も、救急、内科病棟、スラムの訪問診療などいろいろな場所に出向きました。実り多い日々でした。

全額無料のこの病院はチャリティーによって運営されています。薬も買える分だけ在庫があるので、抗けいれん薬などは時期によって入手できる薬が異なったりします(今はテグレトールはない、、、みたいな)。世界で一番貧しい国の一つカンボジアは、本当に基本的な医療すら提供されていません。アクセス、というのがいかに貴重な財産かを思い知ります(日本医療最大最強の武器です)。

シアヌーク病院では寄付を募っています。
http://www.sihosp.org/donatetoday.html

アメリカ、英国、日本からの寄付だと確定申告で所得税の控除が可能です。詳しくは下記まで英語でご連絡ください。
donateアットマークsihosp.org.                


ジャーナルクラブ カンボジア版

シアヌーク病院感染症科のジャーナルクラブに参加しました。突っ込みたっぷりで面白かったです。みんな英語でやっていたのは偉いと思いました。

Immediate versus delayed surgical intervention for reconstructive therapy of HIV-associated facial lipoatrophy: a randomized open-label study.PMID: 19795984

カンボジアでは、、、

病院で現地のドクターの教育やってます。救急外来、内科病棟、感染症科などを行ったり来たり、、、カンボジアではよほど重症にならない限り病院に来ないのですごいケースばかりです。粟粒結核、結核性髄膜炎、MS(僧帽弁狭窄のほうです、、、)などなど途上国系の疾患で一杯です。ある日の一日。

1月18日サマリー
- 17日はホーチミン経由で夜にプノンペンに。簡単にビザをとって、タクシーでFCCに。9ドル。チップ込みで10ドル渡す。
- 部屋は川に面しており、きれい。夕食はFCC上のカフェでピザ、フィッシュアンドチップス、ビール、FCCの赤ワイン。
-
- 朝日がトンレサップ川から見える。美しい。
- 7時30分からバンに載って病院へ。メイン州の内科医が心電図のレクチャー

- 職員にオリエンテーションをしてもらう。あらたにHIVクリニックが別棟から移動していた。14床の慢性期ベッド、緩和ケアをするHIV病棟が右側に。HIV外来も奥にできた。
- 以前はくじ引きで診る患者を決めていたが、現在は先着順であるとのこと。ある一定の人数が来ればそこで終わり。何日も待っている患者もいる。
- HIVケアは外来1日80人くらい。結構多い。レジメンはd4T, 3tc, エファビレンツが多いとの事。
- 感染症ERが普通のERの隣に。
    - 30代男性、HIV、CD4 30台、クリプトコッカス髄膜炎、結核性腹膜炎、脳膿瘍でセフトリアキソンで治療との事。意識障害が起きていてエファビレンツをネビラピンに変えていたがよくならず、他院でCTとって脳膿瘍と診断、、、げげげ。
    - CTはUNAIDから寄付される予定。レントゲンも新しいのが二つ寄付されていた。
    - 放射線科医は一人。エコーが寄付されていた。いくつかある。
- 9時30分から内科病棟ラウンド
    - 20台男性の敗血症性ショック。メロペネムで治療して改善傾向(あとでESBL産生菌と判明。お見事)。 UTIか。慢性結核性前立腺炎疑い???貧血、上腹部痛は別の問題?小球性貧血。
    - 70代女性、CAD既往あり。Afib既往あり。低血圧にて来院。心エコーで左房・左室の拡大とEFの低下。心不全?尿路感染?
    - 結核性髄膜炎(推定)とCSFでVDRL陽性で神経梅毒と言われている人。両方治療で良くなっている。ただし、TPHAやってないので偽陽性かも
    - 右上葉に空洞あり結核として治療もよくならず(痰のAFB陰性)、melioidosisとしてバクタ、ドキシサイクリンで治療。膵炎が起きたので、今日からオーグメンチンに。セフタジジムはない。
    - くも膜下出血。誤嚥性肺炎?SAHはこちらではターミナル。CTないので、髄液で診断。
    - 留置カテーテルの入ってる20代の男性。外傷後らしい。他院でUTIに。ESBL産生のプロテウスにメロペン。何日間治療か、尿中白血球をどう評価するか質問される。ESBLは多い。
    - DKA、ウイルス感染に伴う。抗菌薬入っていたが、これは止めてもよいとアドバイス。
    - DVT?右房に血栓のあるなぞの70代女性。ワーファリン入っている。よくなったら退院。なぜDVT???はあるが、それを突っこんでもカンボジアではあまり意味はない、、、
    - シングルの肝膿瘍?タップは黄疸様水。アメーバ肝膿瘍?治療、診断についてレクチャー
- その後、ER.本日の患者は全部で24人。4人くらいの医師で見ている。割とのんびり見ているので、ゆったりしたER.なんどかアドバイスを問われる。
    - 50代男性の右第1趾の腫れ。レントゲンで骨が解けており、急性骨髄炎として治療
    - 30代女性。SLEで心外膜炎、pericardial windowあり。ステロイドありもSTなし。発熱、空咳、呼吸苦で来院。左CVA圧痛あり、膀胱圧痛あり、UTI vs CHF vs PCPなど
    - ネフローゼ症候群、ステロイド投与の患者が急性発症の意識障害、発熱。クリプト、リステリアも含めた髄膜炎か。LPのタイミングや治療の大切さ、ネフローゼで免疫グロブリン低下、肺炎球菌のリスクなどもレクチャー
    - 27歳男性、1ヶ月の血便、下痢。シプロとメトロニダゾール14日間でよくならず。他院で大腸内視鏡。直腸から盲腸まで広範な潰瘍性病変。病理は?クローン?HIVは?
    -
    - 結構雑に抗菌薬を使っている事判明。セフトリアキソン、IVオーグメンチン、シプロ、メトロニダゾールが多い。メロペンも入っているがこれは使用を制限されているとの事。
- 午後3時から抗菌薬のレクチャー。最初はケースをやろうとスライド作っていたが、抗菌薬の使い方が全然勉強されていない事が分かったので、慌ててスライドなしでインタラクティブなセッションに変える。
- 肺炎のレクチャーをしてくれと頼まれ、慌ててCAPのレクチャーを作る。オフネットのUpToDateは調子が悪いので、iphoneのOCMを土台にぱたぱた作成。これは木曜日か。

melioidosis

Img_0093

カンボジアにいます。ここ数年、カンボジアでもmelioidosisの存在が注目されています。僕がカンボジアに行きだした2005年にはその存在すら分からなかったのです。結核と間違えられていたのですね。検査をできる医療機関が少しずつ増えてきたのが診断の理由でしょう、、、

僕も本物の患者さんは初めてなのでまとめてみました。mdconsultがあると便利です。カンボジアも進んでいて、ホテルに無線LANがあります。むかしはネットつなげるのも一苦労だったり停電したりしましたが、、、、写真はホテルのすぐ横にあるトンレサップ川

melioidosis サマリー。マンデル 7th ed. powered by OmniOutliner 19.1.2010
- 221 – Burkholderia pseudomallei and Burkholderia mallei  :  Melioidosis and Glanders
    - Burkholderiaにあいろいろいる。
    - 3つだけが人や動物に病気を起こす。
        -  former cepacia complex
        - pseudomallei
            - 類鼻疽 melioidosisの原因
        - mallei
            - 鼻疽 equine glandersの原因
        - 好気性、芽胞非産生性、カーブのあるグラム陰性桿菌。昔はPseudomonasだった
    - Melioidosis
        - 人と動物に疾患を起こす。
        - 臨床像はたくさん
            - 無症状から皮膚潰瘍、膿瘍、慢性肺炎(結核みたい)、敗血症性ショック
            - 初感染も再活性も起こる。62年後に再活性も
            - 東南アジアと北オーストラリアに多い。
            - 旅行者も
            - バイオテロにも?
    - 歴史
        - WhitmoreとKrishnaswamiが1912年にビルマ、ラングーンでモルヒネ中毒患者の敗血症を記載
        - 乾酪性浸潤影?多臓器、皮下の膿瘍。
        - Burkholderia malleiに似ているが、可動性あり
        - Stanton, Fletcherがmelioidosisと命名ギリシャ語でmelisはロバのジステンパーの意味。
        - 病原体は、Bacillus whitmori, P. pseudomalleiからBurkholderia pseudomalleiに 1992年。
    - 病原体
        - 小さなグラム陰性桿菌。オキシダーゼ陽性可動性あり。安全ピンパターン。通常の培養で生えるが、cepacia, P. stutzeriなどと間違えやすい。土壌や水にある。皮膚、吸入、摂取にて感染。
    - 疫学
        - マレーシア、シンガポール、タイ、インドネシアで記載。特にタイに多い。年間2000−3000例
        - 他にも中国とくに香港、台湾、ブルネイ、ベトナム、ラオスで。カンボジアやフィリピンでも。インドでも、、、ペストと間違えた?スリランカ、バングラデシュ、パキスタンでも報告あり。あとは、パプアニューギニア、フィジー、ニューカレドニアなど
        - 中東、アフリカ、カリブ海沿岸、中央南アメリカも例えば、ブラジル。
        - 温暖化が増やしている?
        - 1970年代、パリの動物園で動物に
        - インドシナにいたフランス人、ベトナム戦争のアメリカ人にも。Vietnamese time bomb
    - 感染経路
        - 田んぼや農場に多い。
        - バイオフィルムの関与?
        - 雨期に多い
        - 経皮感染がほとんど
        - 摂取、性感染も時に
        - 血行性に肺に?
        - 溺水時に感染も。
        - 潜伏期は24時間から21日が大多い。急性の場合
    - 病態生理
        - ほとんどは不顕性感染
        - 糖尿病、アルコール依存、腎不全で発症しやすい。
            - あとは慢性肺疾患、サラセミア、悪性疾患、ステロイド、鉄過剰、結核
        - ヒトヒト感染はきわめてまれ
        - 遺伝子によって病原性が異なる(かも)
        - 細胞内寄生。白血球内にも。これが潜伏に関与か。あとはバイオフィルム
    - 臨床症状
        - 体中の膿瘍
        - 無症状、皮膚潰瘍のみなど局所の賞状
        - 急性、亜急性、慢性
        - 死亡率は細菌血症で19−60%
        - 肺炎は多い。
            - 敗血症
            - 結節像
            - 空洞性病変
            - 咳、痰、呼吸困難、多発浸潤影
            - 上葉に多いが、下葉もOK
            - 他に泌尿器、骨髄炎、関節炎、神経所見も、、、
            - Clinical Presentations and Outcomes of Melioidosis in Northern Australia
                 Total    Bacteremic    Nonbacteremic
            Parameter    No.    Deaths (Mortality)    No.    Deaths (Mortality)    No.    Deaths (Mortality)
            Septic Shock    111    59 (53%)    99    49 (49%)    12    13 (81%)
            Pneumonia    85    44 (52%)    75    36 (48%)    10*    8 (80%)
            Genitourinary    9    5 (56%)    8    4 (50%)    1[†]    1 (100%)
            Osteomyelitis, septic arthritis    4    2 (50%)    4    2 (50%)    0    0 (0%)
            No focus    13    8 (62%)    12    7 (58%)    1    1 (100%)
            No Septic Shock    403    17 (4%)    181    13 (7%)    222    4 (2%)
            Pneumonia    177    9 (5%)    78    8 (10%)    99    1 (1%)
            Genitourinary    64    2 (3%)    39    2 (5%)    25    0 (0%)
            Skin abscess(es)    64    0 (0%)    1    0 (0%)    63    0 (0%)
            Soft tissue abscess(es)    14    0 (0%)    1    0 (0%)    13    0 (0%)
            Neurologic    14    3 (21%)    3    0 (0%)    11    3 (47%)
            Osteomyelitis, septic arthritis    12    0 (0%)    6    0 (0%)    6    0 (0%)
            Other    58    3 (5%)    53    3 (6%)    5    0 (0%)
            Total    514    76 (15%)    280    62 (22%)    234    14 (6%)
            Updated from Currie BJ, Fisher DA, Howard DM, et al. Endemic melioidosis in tropical northern Australia: A 10-year prospective study and review of the literature. Clin Infect Dis. 2000;31:981-986.
            - 慢性期には結核そっくり。熱、体重減少、咳、上葉の浸潤影、空洞。何年も再発も。ただし、このグループの死亡率は低い。
            - CTは膿瘍見つけるのに有用
            - B. pseudomalleiはコロニーである事もある。
            - 小児では可能性耳下腺炎。ただしオーストラリアではまれ。
            - 脳幹脳炎、脳神経麻痺など MRIが特徴
            - 他にも大動脈瘤、リンパ節炎、縦隔腫瘤、心外膜炎、副腎膿瘍など
            - 再活性はじつはアンコモン
            -
        - 診断
            - 培養
            - 血培ボトルでもけっこう生える。他のと間違える事はある。
            - Ashdown培地はゲンタマイシンを含む液体培地。選択培地として使える。
            - グラム染色、オキシダーゼ、耐性検査でだいたい分かる。
        - 治療
            - ペニシリン、アンピシリン、第一、第二世代のセフェム、ゲンタマイシン、トブラマイシン、ストレプトマイシンに耐性
            - 以前はクロラムフェニコール、ST、ドキシの併用だった。6週から6ヶ月。
            - STやドキシだけでもけっこうOK.
            - 最近では、セフタジジム、イミペネム、メロペネム、ピペラシリン、アンピシリン・クラブラン酸、セフトリアキソン、セフォタキシム感受性あり、
                - Antibiotic Therapy for Melioidosis
                Initial Intensive Therapy (minimum of 10-14 days)
                Ceftazidime (50 mg/kg, up to 2 g) every 6 hr
                or
                Meropenem (25 mg/kg, up to 1 g) every 8 hr
                or
                Imipenem (25 mg/kg, up to 1 g) every 6 hr
                With or without
                Any one of the three may be combined with
                Sulfamethoxazole-trimethoprim (40/8 mg/kg up to 1600/320 mg) every 12 hr (recommended for neurologic cutaneous, bone and prostatic melioidosis)
            - Eradication Therapy (minimum of 3 mo)

                - Sulfamethoxazole-trimethoprim (40/8 mg/kg up to 1600/320 mg) every 12 hr
                With or without
                Doxycycline (2.5 mg/kg up to 100 mg) every 12 hr
                - セフタジジムは死亡率下げる。STと併用してもよい。神経、皮膚、骨、関節、前立腺があれば
                - アモキシシリン・クラブラン酸もOKだが、eradicationとしては少しダメ
                - カルバペネムもセフタジジムより良い?
                - 初期治療は10−14日 朝kちりょうもOK.
                - 治療の反応は遅く、9日くらい。もっと遅い事も。
                - eradicationも大事。12週間かそれ以上。
                - オーグメンチン、キノロンはだめ。ただし、妊婦にはOK.
                - ドキシサイクリン単独もだめ。併用ならOK.
                - STがだいじ。
                - あとはドレナージやGCSFなど
                -
                - 予防も大事。糖尿病の旅行者、検査室。バイオテロなど。

酒見先生来神

昨日は洛和会音羽病院の酒見英太先生をお招きしての講演会でした。H&Pをやったのですが、なんと立ち見の出る満席です。神戸大学病院でこれだけ人の集まった講演会がかつてあったでしょうか。

やはり、人を集めるにはコンテンツに限る、と思い知りました。内容も素晴らしかったです。酒見先生が振られた質問は神戸大の研修医・学生、ぼろぼろでしたが。まあ、井の中の蛙ではダメ、外の世界はずっと広い、と思い知っていただいただけで大収穫でしょう。

大学病院の医者の最大の問題は、大学病院・関連病院だけをぐるぐる回っているので世界が狭くなってしまう事です。自分の世界の中でしか通用しない。自分の矮小さ、世界の広さを体感できない。

酒見先生、ありがとうございました。これに懲りずにまたおいでください。

Img_0088

ハイチの地震

僕の尊敬するポール・ファーマーが長年コミットしてきたハイチが地震で大変な事になっています。

http://www.standwithhaiti.org/haiti

だぶついた新型インフルワクチンを避難所などで人がごった返すハイチに供給してはどうか、というアイディアを提示されました。災害時の予防接種の効果は(その理論的妥当性に反して)比較的限定的ですが、理にかなったプランだと思います。上手く動けると良いですが。

呼吸音のまとめ

5年生ががんばってまとめてくれた呼吸音のまとめ。1回だめ出し出されましたがとてもよいものになって返ってきました。

呼吸音

 3B

 

wheeze

米国胸部疾患学会(ATS)においては、wheezeは連続性、楽音様の高調音(400Hz以上)を、rhonchusは低調音(200Hz以下)を表している。病態生理学的には同一のものであり、両者を区別する臨床的意義はない。イギリスでは、wheezeHigh-pitched wheezerhonchusLow-pitched wheezeと表している。

また、rhonchusという語は、気道分泌のある患者で聴取される非連続性の粗い音を指すことが多いため、使用は控えるのが望ましい。

鑑別点として、音の長さ、ピッチ、そして大きさが挙げられる。この中で、長さとピッチは、気道閉塞の重症度により異なり、音の長さが長いほど、そして音のピッチが高いほど、気道閉塞の程度が重いことを示す。

 一方、音の大きさは気道閉塞の重症度を反映しない。つまり、喘息患者の呼吸音が静かであることは、必ずしも好ましい徴候ではなく、患者が衰弱していて閉塞した気道を通して息を出せない、ということを示している可能性もある。

 

・病因

一般的に吸気よりも呼気でよく聴取され、気流が制限されたときに起こる気道壁の振動を反映する。気道攣縮、気道浮腫・虚脱、新生物や分泌物による気道内腔の閉塞などによって引き起こされる。

 

・臨床的意義

 unforced wheezeの、慢性閉塞性肺疾患に対する感度・特異度は、感度13~56%、特異度86~99%、陽性尤度比6.0であり、診断的意義があると考えられる。

 また、メタコリン吸入試験で誘発されるwheezeの、気管支喘息に対する感度・特異度は、感度44%、特異度93%、陽性尤度比6.0であり、診断的意義があると考えられる。

 どちらの場合でも、wheezeがみられなかった場合の診断的意義は小さい。

 また、forced wheezeの所見は、強制呼気をさせられた場合にはほとんどの健常人でwheezeが聴取されるため、診断的意義に欠けている。

 

 

 

 

 

Crackles

wheezeと違うのは、断続性で、短いという点であり、fine crackleは弱く、高音で、非常に短い。coarse crackleはやや強く、低音で、短いとされる。

 

・病因

呼気時に収縮していた小気道が、吸気時に急に広がるときに起こる一連の小さな破裂による。また、分泌物又は気泡の流れによっても起こるとされる。正常でもcrackleは最大呼気後に肺底部前面で聴取されることがあり、長時間側臥位になった場合も、下に位置する肺野でcrackleが聴取されることもある。

吸気早期のcrackleは、吸気時すぐに始まり、吸気終末までは持続しない。原疾患として慢性気管支炎や喘息が考えられる。

吸気終末のcrackleは、吸気の半ばから始まり吸気終末まで持続する。最初は肺底部で聴取され、悪化するにつれて、肺の上方へ広がって行く。さらに体位により聴取される領域が変化する。間質性肺疾患や初期のうっ血性心不全が考えられる。

 

 

Stridor

大きく明確に持続して聞こえる楽音。上部気道が閉塞し、径が5mm以下である事を示唆する。呼気に限局して聞こえ、頸部で最も良く聞こえる。wheezeと似ているが、wheezeは呼気優位で胸部にて聞こえるという点で鑑別する。

 

 

Pleural rub

胸膜摩擦音は、大きな摩擦音で、肋膜疾患を示唆する。パチパチという音で聞こえ

(”pleural crackling rub”)crackleは呼気で優位に聞こえる。

 

 

 

※参考文献

Evidence-Based Physical Diagnosis, Saunders , 2001

Steven McGee

ベイツ診断法 Bate’s Guide to Physical Examination and History Taking,メディカルサイエンスインターナショナル , 2008

Lynn S.Backley, 福井次矢・井部俊子監修)

Harrison's Principles of Internal Medicine 17th ed. , McGraw-Hill , 2008 

Anthony S. Fauci, Eugene Braunwald,et al

新型インフルエンザ・リスクコミュニケーションWSアンケート

昨年RCWSに参加された皆様へ

アンケートの集計が私の怠慢から大変遅くなりました。誠に申し訳ございません。いただいたフィードバックを参考に本年もより改善した形でWS開催したいと思います。追ってご案内しますので、そのときは是非ご参加ください。

8月25日                                 
リスクコミュニケーションとは何か      岩田健太郎
役に立った   普通    役に立たなかった  その他
  50      14     0             1
病院におけるリスク・コミュニケーション ミニ・レクチャー 岩田健太郎
役に立った   普通    役に立たなかった  その他
 56       8       0            1
病院対応で困ったこと 体験談 横浜市立市民病院 倉井華子
役に立った   普通    役に立たなかった  その他        
47                 17     1            0
ワークショップとロールプレイ 発熱外来での対応
役に立った   普通    役に立たなかった  その他
55        10      0            0
電話対応の基本   佐々木美穂
役に立った   普通    役に立たなかった  その他                    54        11     0             0
ロールプレイ 電話対応
役に立った   普通    役に立たなかった  その他
45        19     0            1
地方行政の立場から 神戸市保健所  白井千香
役に立った   普通    役に立たなかった  その他
34        29     1             1
懇親会と振り返り

26 日
リスクマネジメントの基本と報道公表 神戸大学 江原一雅
役に立った   普通    役に立たなかった  その他
45        13     2             0
報道とリスク・コミュニケーション 近畿医療福祉大学 勝田吉影
役に立った   普通    役に立たなかった  その他
44        16     0             0
-中央行政の立場から 厚生労働省新型インフルエンザ対策推進室 石川晴巳
役に立った   普通    役に立たなかった  その他
56        3      1             0

1日目 新型インフルエンザについて
- 現在でも、新型インフルエンザ発生の対応に追われています。しかし対応している者は、病院内でも一部であるように感じています。他の機関も同じのようで、なぐさめ合うことができました。
- 集団サーベイで動向調査になりましたが、集団という概念があいまいだと感じます。
- 今秋の動向に注目です。ワクチンの問題も急務です。
- 情報の整理の必要性と、相手への情報の伝えかたの工夫を今後活かしていきたい
- パンデミック時に患者さんに対してどう対応していくかなど不安な部分があるため、早めに国として対応を決定して欲しいと思います。
- いろんな立場の’専門家’がいろんな意見を好き勝手にしゃべるのは苦々しく思ってました。本日のWSとは直接関係ありません。
- 何も分かってない、と理解するのが大事なのかな、、、
- 実際発熱外来開設はなく、大変さは(忙しさ)実感しなかったのですが、今回講演を聴き、当院でもマニュアルを元にしたトレーニングが必要と思った。
- 個人的には、診断治療について共通の情報を各医療機関で持つことが混乱を避ける最善の道と考えます。具体的方策に関しては自身の中で答えはありませんが
- 県、市、医師会での対応が統一されていなかったため、現場は困りました。行政から毎日FAXが届き(夜中も)、何をすればいいか、情報整理が困難です。
- 基本を見つめ直す機会であったと思うし、基本が試された機会であったと思う。
- 企業の中には新型インフルエンザと鳥インフルエンザが混乱していて対応が過大になってしまっている。
- 新型インフルエンザについてはH5を想定したガイドラインをどのようにH1に適応させるかに時間を要したと感じております。
- 情報の混乱、マスコミの先走りなど新たなパンデミックのシミュレーションとなった経験であったと思います。
- 対応の表と裏を聞いたように思いました。これを活かして、秋に向けて一般HPにも情報公開お願いします。
- 日々情報がマスコミを通じて流されている。市民にはそれを見て対応したり不安を感じたりしている。治療もそうだが啓蒙活動も草の根でする必要がある。
- 実際の話、対応について聞けて良かったです。
- 行政や国の方針、病院の方針など様々な方針や情報がかみ合わず現場のマニュアル作成に苦労した。そのような場面でリスクコミュニケーションを活かしていけたら今後の対応に応用できると思う。
- 発熱外来において担当する医師などのスタッフのモチベーションを使えるように、行政や病院が行うかの策を検討する必要がある。
- 具体的にいろいろ工夫された方がわかりためになりました。現在多くの患者さんがいるので参考にしたいです。
- 私の所は今のところ目立った混乱はなく、今日のワークショップがぎりぎり間に合ったと感じます。
- 季節性の対応に変えて欲しい。県、国、市など役所に感染症の専門家をおいて欲しい。
- 現状についても聞きたかったです。
- 方針が決定していないことが多いと感じるので、情報を自分から取りに行かなくてはいけないと痛感した
- 行政機関と具体的にどのようにコミュニケーションを図っていけばよいのでしょうか。医療機関内では自施設でがんばればコミュニケーションを図っていくことは可能ですが、地域をとりまとめる行政機関との連携が具体的に見えてこない感じがしました。
- 横浜市民病院の体験談をうかがって、自施設との対応を比較することができよかった。またできていないことは参考にしたい。
- 病院対応の体験談をもう少し聞きたかった。
- 第一波より現在の方が患者数も多く今後のこの冬に向けての心構えをするためにもこのワークショップに参加させていただきました。
- 現場の生の声を聞き、対応の困難さを実感した。自施設の対応の大きなヒントになった。
- 本日のスケジュールでは特別にdiscussionする時間がなかったことは当然と思いますが、全日程中には用意があればと思います
- 強毒のH5N1にいきなり見舞われるのではなくH1N1だったので、強毒型のよりシミュレーションになったとは思いますが、それでもやっぱりパニックになったが(なっている)し、実際の横浜市民病院や神戸市の体験を聞くにつけても、正しくリスクを評価し対応することは難しいと感じました。
- 病院としては2005年(?)のインフルエンザ流行と同様と考えていますが、職員に向けて当直医の予防投与で今もめています。実は医療機関内の方がリスクなのかもしれません。
- 地域、施設によって対応、受け止め方、感じ方etcに大きな差があることがよく判った。多様性を知ることは安心や自身につながった
- 疾患でなく現象としてみれる内容でした。いろいろな、、、などが紹介されていて客観的に理解できました。
- RCだけでなくかかったと思ったらどうしたらいいのか等、一般の人が知っておいた方がよいきちっとした基準が知りたいです。
- よく分からない。いつ5種になるのでしょうか
- これから重症患者が増えたときの対応をどのように対処するのか?新型専門の病棟を造るべきか悩んでいる。
- 早く新しい名前に変えて欲しい。
- 今年の秋冬の流行が非常に怖いです。発熱外来はパンクすると思います。マンパワーが足りない。
- 今回の事例を教訓として、秋冬に備えていきたいと思います。行政との連絡を密に取っていかなければならない。
- 他県での実情が生々しく聞くことが出来たことは良かった。
- 実際病院内で困ったこと、これからの対応についてもう少しdiscussionできたらと思います。
- マスクのことや予防投与のこと、診断キットの解釈のこと、いろいろ悩ましいところがたくさんあります。通常の講演会よりは多くの施設の現状を聞ける場でもあったので、その辺りももっと話が聞きたかったです。
-
1日目 リスク下のコミュニケーションについて
- これから増加すると考える患者への対応で気をつけて行ってきたいと思います。また、管理者への主張も必要になっています。スキルアップを行っていきたい。
- 行政と市民とのコミュニケーション、情報の伝達もそうですが、行政と医療施設とのコミュニケーションも希薄です。
- 日本人には苦手な分野ですがこういう事態をきっかけに有益なcommunication skillが発達すると良いと思います。
- 忙しいときほどパンクになっているときほど相手を思いやる気持ち、心遣いが大切だと再認識した。相手の存在をくみとり自己 病院方針を伝えることの難しさを理解した。
- 冷静に進められなければならないこと。イニシアチブを握る人を中心に進めることとか横浜市立病院のケースがとても参考になった。
- 管理者/スタッフなど立場によってリスク下のコミュニケーションが違ってくると考える。様々な立場の意見が聞けてとても良かったと思う。
- 双方向性、real time性、fact, consensus 形成って大事ですね。人対人とのコミュニケーション手法が組織体組織でどう活かせるか、全く別の手法なのか。
- 非常に大事
- 異なる組織の意思決定をいかにつないでいくかの困難さを感じました。保健所・医療機関 医療機関・学校など
- 組織内(病院内)でのコミュニケーション手法として具体的な指示があればよいと考えます。
- 応用(限られた情報の中で)としての判断は中々難しいところがあると思います。
- いろいろな専門家がテレビなどの媒体でコメントされることは一方通行のコミュニケーションであるため、受け手側の問題で誤報やパニックにつながると思います。
- 患者数や疲れ具合(対応する者の)など環境によりリスクがさらに増してしまい、その上でコミュニケーションをとる困難さを考えていきたいと思います。
- 平常時のコミュニケーションが確立されていてこそリスク下での対応が可能になると思うので、そういう点でこのようなWSは非常に有益であると思いました。
- 意思疎通以前に情報の共有化が十分にとられていないと思います。
- 新人の接遇研修を思い出したが
- 情報の共有が大切。役割分担が必要。状況の変化への対応を迅速にすることと、それをどう早く共有するか。
- 様々な方法、何からどう考えていくか、整理していくかを考えていかねばならないと思います。
- 座学で学んだことを業務の面で活かすのにロールプレイを行ったのは有効だと感じた。実際の対応の事例を学べたことが有効だと思う。アウトブレイクが起こった場合の想定はしていても、想定外のことが起こったりするので、そのときの対応に活かせると思う。
- 今回学んだことは知らないことも知っていることも再確認できました。実際に使っていきながら洗練していきたいと思います。
- 未知のところが多く、なかなか具体的なイメージがつかみにくかったのですが、だいぶ具体的になってきました。
- とても難しい。相手に伝わるか、受けても自ら積極的に勉強すべきである。
- 連携を具体的にどうやってとるのかむずかしいなあと思った。
- 自分がスポークスマンではないのであまり考えたことがなかったけれど、電話対応一つにしても必ず守るべきスキルを学ぶことができて有意義だった。
- 行政機関と具体的にどのようにコミュニケーションを図っていけばよいのでしょうか。医療機関内では自施設でがんばればコミュニケーションを図っていくことは可能ですが、地域をとりまとめる行政機関との連携が具体的に見えてこない感じがしました。
- 情報をどこまで提供し、情報共有の難しさが改めて分かった。
- 発熱外来での対応が勉強になった。
- 今までの新型インフルエンザの対応した自分の振り返りが出来て良かった
- リスク下にあるからこそ平常心を失わず、対応すべきだと感じた。
- いかに共有できるコミュニケーションが出来るか!この課題の受容性についてさらに悩んでいる(悩みが深くなった!)
- 総論としては充分。もう少し各論的なworkshop or off JTあればbest
- リスクコミュニケーションという概念は今回初めて知ったのですが、難しいと感じました。コミュニケーション事態も難しい上にさらに冷静に正しく評価することの難しさを実感した。
- 情報を正しく伝達すること、相手の立場に立つことが大事だと思いました。
- 今回、多層の相手に対して「相手に合わせた」コミュニケーションが必要とされていた・いる事に気づかされた。
- わかりやすかったです。
- いろいろな場面が想定されるのでとても難しい印象です。そもそも新型をきちんと理解してもらうところから苦労しそうです。
- 具体的な方法は会社・病院によって異なるとは思いますが、おさえておかねばいけない点はどのようなことでしょうか。
- 感染症のリスクコミュニケーションの大切さを実感した。
- 具体的な令として患者発生時患者情報をどこまで伝えるか?の話し合い(答えは出ないと思いますが)ができるとうれしいです。実際どこの情報を見てればいいのか、最も早いのはニュース、遅いのは厚労省
- 日常の元々の人間関係あってこそだと思うので、各職場で研修をする際にはその見直しも促さねばと思いました。
- 窓口を一本化して対応するとスムーズなのだと分かったが、それだとその窓口になったひとにかかる責任、負担が大きく誰にでも出来る仕事ではないと思った。
- 電話対応についてのrole play, 発熱外来でのrole playがとても良かったです。やはりWS方式がいいですね。
- 今後色々な情報を元に確立していきたい。
- 病院内でのコミュニケーションをとること、報道への対応が通常の病院では出来ていないように思う。
- 勉強になりました。リスクマネージャーにも教えようと思います。

1日目 本ワークショップについて
- 楽しく学びました。
- 大変勉強になりました。神戸にも久しぶりに来れて良かったです。
- 本WSを経験することによって少し落ち着いて対応できる自身になったような気がして有意義でした。
- 非常にためになるはず(したい)
- ロールプレイがあり楽しく参加できました。
- 座学のみでなく、体と頭を使い、参加することが出来、エンジョイできました。
- 重要な方法論として非常に勉強になった。こういった基本を学べるチャンスとして非常に有用であった。
- 情報の共有が出来るのはよいと思います。
- 非常にためになり、すぐ通常の業務に活かせるあるいは活かしていきたいと思う。
- このようなWSは非常に有益であると思いました。
- 全体的に役立つ実践的な内容で有意義でした。
- 様々な視点からリスクコミュニケーションを見、考えさせられ参考になった。基本的なところ。
- エネルギーが要ります。
- グループメンバーとの交流もあり楽しく参加できました。
- 様々な分野の人々がグループワークで参加できて色々意見が聞けて良かった。
- 電話対応の話が新鮮でした。
- 今のところ素晴らしいです。内容、時間配分など
- 実際に行った対策について振り返る良い機会である。
- 参加しながら勉強するので楽しいです。
- 勉強になりました。特に自施設で実践できるような内容が多く参考になります。
- とても学びが多い。参加して良かったと思います。
- メニューが盛りだくさんで楽しいです。
- 楽しく参加させていただきました。ありがとうございます。
- 電話対応が勉強になった。
- 今後、自分が周囲にどのように伝えていくかヒントをいただけて良かった。
- リアルな生の体験を見聞き、体験し満足です。
- 楽しかったです。お世話いただいた方、ありがとうございます。
- WSのグループの中にマスコミ・行政・学校関連のメンバーがもっと多くおられれば良かったと思います。このためには公報・募集のチャンネル選択も大切かと思います。
- 今後の対策に直接活かせる内容で勉強になりました。
- 専門家の方のお話が伺えてとてもありがたく思っています。
- 可能なら参加者の名簿を配ってもらえたら役立つと感じました。
- とても良かった。
- 勉強不足ではありますが、リスクコミュニケーションとは何?実際どうしたらいいの?というのがまだ不安です。
- レクチャーと参加型とあってバランスが良かった。
- とても基本的な質問ですが、咳の出る人はマスクをする意味が充分にあると思いますが感染予防にするマスクはインフルエンザに限って言えばどのくらい有効なのでしょうか?
- 是非、地元に帰って伝達講習したいと思います。
- 大変勉強になりました。
- 少し盛りだくさんで時間的に詰めすぎの感がある。
- 予想以上の収穫で勉強になっています。ありがとうございます。
- ロールプレイ等によりより実践的でわかりやすくすごく役に立ったように思う。
- まだあまり仲間を増やせていませんが懇親会でがんばります。

2日目 新型インフルエンザについて
- 情報・コミュニケーションのステージは成熟段階にあるとの指摘に「なるほど」と感じた。次は新たなステージ・フェーズになるのだろう。
- 新型インフルエンザについては、今後も会社としてトップダウンで臨時で正しい情報を伝えていくことの大切さを感じた。
- よくわかりました(よくわかってないということが)
- リスクのある患者さんは早期受診・治療をとメッセージを送っても実際に発熱している人は自分もリスクがあると思っていて受診されるので医療機関の体制は変えられないと感じます。現時点で情報が多すぎて一番大切なものが、、、は全く伝わっていないです。
- うつらない努力をする、医療機関の受信制限などの広報活動に期待します。
- 石川先生が示された秋冬に向けてのメッセージは大変参考になりました。
- 今回理系の視点と言うよりも文系の視点でのワークショップで勉強になった。新型インフルエンザが感染症やワクチンに関する国民的コモンセンスの向上につながれば不幸中の幸いと思います。
- かかりつけ患者への正しい情報を提供していくこと、院内職員への対応が課題であるが、今回の知見を院内で検討していきたいです。
- 多くの方が迷いながらなさっていることもわかり、正解はないのかもしれませんが、様々なやり方を模索していきたいと思います。岩田先生他皆様にはご著書も拝見していますが、ぜひブログででも今後も積極的にご発信いただけるとうれしいです。
- 自分自身、新型インフルエンザについて過敏反応していましたが、今回の研修に参加したことで冷静に対応できるかな、、、と思います。ありがとうございました。
- 今のピンチをチャンスに変えて日本全体の知識アップに貢献したい。
- 異なる組織が管理するシステムでは、突発事故への対応が遅れるという共通の構造があると思いました。対応の組織化が急がれます。季節性インフルエンザと変わらないとして安心し、騒動も収まったが季節性インフルエンザの死亡率などの情報も伝達しやはりリスクのある感染症であることを忘れてはならないと思った。
- インフルエンザという疾患そのものももちろん、重要だけれどもほとんどの問題が情報に関するものなんだ、という気がしました。
- 今後患者増になってきた場合の発熱外来設置方法の具体的提案があれば良かったと思います。参考になるトリアージ方法も教えて欲しい。
- 少しでも院内で通達を出すと「たかがインフルエンザで大騒ぎをするな」と声を上げるDRがいます。今回聞いたような話、ハイリスク者を守る、を多くの医療従事者が聞ける機会があると良いと思った。
- 言いたいこと、伝えたいことは多くあるけどポイントで伝わる、効果的であることが分かった。
- 簡潔で一般の人にどういうリスクを伝えることで行動変容できるかがよく理解できた。
- 基本的な感染防止策。
- 情報の選択や得方など、またHP、行政とのコミュニケーション情報を共有しなければならないと実感した。
- 新型インフルエンザに対しての厚労省の対策や公報について誤解していたのか、変化があったのか、とてもまともな状況が伺えた。
- 今後、第二波の流行に大きく慌てないように行動できる自身が出来ました。
- 医療従事者と一般の人の認識にずれがあるので、共通認識にしていくことが大事だと思った。
- 病院以外のリスクマネジメント、ICTとしての振るまい方を反省する機会になりました。
- 新しい情報が知りたいと思います。
-
2日目 リスク下のコミュニケーションについて
- 次の問題点は「実際に発熱患者が増えたときの現場でのコミュニケーション」が問題となりそうですね。
- マスコミ対応のこともですが、どのように行動へむすびつけるかがいつも悩んでいる。考え方としてためになりました。
- 情報の共有について考えました。
- 厚生省の大人の事情もあるかと思いますが、TVでの広報もご検討いただきたいです。
- 国からの発信が受理であれば都道府県を使うなど統一したものでのメッセージではいかがでしょうか?と思いました。携帯発信もどうですか?各会社に依頼するとか、、、
- リスクを知ること、リスクを回避する方法があればそれを繰り返し伝え、行動できるようにすることが大切だと思います。
- むずかしさがよく判った。自分の中で消化するのに時間がかかる。
- 個々人のターゲットが分からない。大多数(国民市民など)への情報提供の難しさをより理解できたと考えます。
- 情報の伝達の方法に色々な方法がありますが、少しでも論点を間違えてしまうと無意味になってしまうことが分かりました。
- 今後の活動に活かしていきたいと思います。
- 安全管理室に属しているため、日頃の振り返りと再確認ができてよかった。私自身、日頃から保健所ともよく電話を通じてリスクコミュニケーションできていたことを再認識し、今後もこのようなツールは大切にしていきたいと実感しました。
- 混乱している中で良い結果を得る場合に相手の立場に立つことがこちらにとっても良い結果になると思われました。神戸の病院ですが神戸市保健所の方の話を聞いて保健所の事情も分かって良かったです。
- 今後深めるきっかけになりました。
- リスクをリスクと思っていない人も多いし、過剰に反応する人もいるしで多くの方がかかわる事態で、大変難しい問題と考えています。地域で危機管理分野の専門家と福祉保健、医療関係者がうまくチームを組めると(感染症の専門家を含め)よさそうですが難しい。
- コミュニケーションの技術論だけでなくコミュニケーションの本質について改めて考えさせられました。普段なかなか気づきにくい点でしたので有意義でした。
- 失敗恐れず実行してみる。
- 医療をただやっていくだけでなくどのように情報を伝えていくか、どのようにマスコミと付き合っていくかということの大切さを感じました。
- 誰が情報を出すのか、誰の情報なら信じるか、信頼できる正確な情報を出すこと、患者さんに信じられる医療機関である必要を感じました。
- いかにリスクを伝達するかが、リスクコミュニケーションである。どんな場にもリスクは存在する。それをどう注意喚起し、その情報が必要な方には気づいてもらえるかが重要であると言うことを認識した。
- 未知の感染症というものに対して世間やマスコミがパニックになるのは仕方がないことで、それをいかにコントロール(?)できるか、情報をどう発信していくのか。たくさんヒントがもらえました。(こまめに発信、予防法を教えるなど)
- もう少し各論的な内容を希望します。事例など
- 感染管理をするものとして、いつメディア対応するか分からないという覚悟が出来ました。
- 関心があるとき、チャンスに 伝えている。
- 医療事故を含め感染対応の報道対応のハウツウが理解できた。事務部門は知っていると思うが、再度資料として提示したい。
- いざ事が起こってからではなくリスクが認識されている時点から関連する人たちとコミュニケーションを図っておくことが大切だと実感しました。保健所当への行政機関の対応に不満を言っていても状況は何も変わらないので、医療機関側がもっと積極的にコミュニケーションをとっていこうと思います。
- 人間の特性や情報の伝わり方、基本をもう一度振り返って、現場に活かしていきたい。
- マスメディアの力が強く私としては好意をマスコミに持っていませんが、マスメディアもマスメディアとしての自信、プライドがあることがわかりました。嫌うだけでなく、上手に付き合う方向で考えていけそうです。
- 新聞報道について記者さんと色々話したりすることで上手に情報交換できると知った。院内で準備することが大切であると思った。
- コミュニケーションについては日頃からの積み重ねで身につけていかないと、なかなか身につかないことだと感じた。コミュニケーションの重要さを学んだ。
- 混乱の中で冷静に対応できるようにしてゆきたい。
- リスクコミュニケーションについて学ぶことが出来た。
- H5N1だったら、、、強毒性だったら冷静に、、か不安
- 本日は具体的な内容で良かったです。
- 特にメディアの付き合い方、情報発信の仕方について勉強になりました。
- パブリックヘルスのIDのリスコミの話に集約した方がいいのではないかと思いました。
- 冷静に対応して、目的を持って行動すると言うことを学びました。
-

2日目 本ワークショップについて
- 自分の感染の研修メイン+リスクコミュニケーションと勘違いして参加したのであれっ?というところが最初ありました。しかし主旨が理解できたくさんの方と意見交換が出来有意義でした。医療安全関連の研修会でこんなにDrが参加しているワークショップはあまりありませんでした。情報交換も出来て良かったです。考える力と課題を得ることが出来ました。ありがとうございます。
- 行政・マスコミュニケーション、現場でのマンツーマンのコミュニケーションまで幅広いレベルのWSがあり非常に満足いく内容でした。一方で、「実践、現場対応」にニーズを持つ参加者の方もおられたようです。このあたりは公報・募集の段階で工夫を凝らすことは出来そうです。
- 多角的に取り組み(多方面からのアプローチ)、での内容で参考になることが多かった。
- 現在、医療現場で直面している事象の整理が出来ました。
- 秋以降の対策を見直すに当たって参考になりました。
- 混乱の中何が正しい情報なのかを見極める力が必要なのかと考えました。
- 地方行政の立場の方、マスメディアにも入ってもらえればより実りあるWSかと思います。保健所にしろ、自治体にしろ、権限と責任の点だけ取っても実に中途半端でかわいそうな立場を察します。
- 非常によい
- 楽しかったです。メッセージ出すことの難しさを改めて感じました。
- 他医療機関や貴重な講演で大変勉強になり当院に持ち帰って多く共有していこうと思いました。
- 一泊二日形式にしていただいてとても良かったと思います。参加者名簿があってもいいかもしれません。所属、メルアドなど。
- たくさん勉強させていただきました。地域の方とも交流したいと思います。
- 自分自身、今後の活動の起爆剤になりました。今回学んだことを業務に取り組んでいきがんばっていきます。
- 色々な職種の方が積極的で刺激的でした。
- 室内が少し寒い
- 大変勉強になりました。今後教訓など今回の出席者の方や専門家、自治体などで共有できる場があると良いなと思いました。最後の討議良かったです。感染症についても、新型インフルエンザはよい題材になりうるので一般向けにもこうしたWSがあるといいな、と思います。
- とっても楽しくて勉強にもなって達成感を感じました。知り合いも作ることができてよかったです。
- 大変勉強になりました。自分のプレゼン方法や教育方法の勉強にもなりました。継続してのワークショップに他のスタッフを参加させようと思う。
- 感染対策に関わるようになって間もない自分にとって、今までにあまり考えたことのない内容で、新鮮で目からウロコの内容でした。
- リスクコミュニケーションは平時のコミュニケオーションにつきるのかと思いました。
- 実際にマスコミ対応の経験はないが今後もしその場に立ったときに役に立つように思いました。
- 新型インフルエンザのみならず、今後も何かの感染症が流行したときにどう対応すべきかの参考になりました。
- 有意義でした。
- 非常に有意義な内容の講演プログラムが多かったです。
- 色々な立場の人の意見が聞けてとても勉強になりました。
- 現場で闘っている人々の意見を多く聞くことが出来、共感、学びなど得ることが多く有意義だった。
- すぐに帰って病院内へ伝えます。
- 期待したのはインフルエンザ対策の評価やノウハウだったのだえすが、全体を通して自分で統合して考えることが出来ると思います。
- 2日間にわたり、全てにわたり、新鮮で勉強になりました。今後の仕事にすぐにあるいは長期的に役に立てることが出来ると思います。
- 懇親会楽しかったです。いろいろな先生方と話すことが出来ました。できれば参加者名簿が資料にあると嬉しいです。
- 次回も参加したい。今回は新しい事例があり、とても興味深く聞けた。参加型なのも大変良かった。
- 私の職種は事務なので、普段このようなWSには出席していませんが、いろんな方のいろんな意見を聞き、とても参考になりました。やはりコミュニケーションはとても大切だと言うことを痛感しました。
- 他の人にも勧めたいと思います。また数年後に受講したいと感じました。まれにみる非常によいWSでした!
- とてもすばらしいWSでした。
- スライドの数字を単純に「ほーー」「ふんふん」と受け取っているようなムードがそもそもリスコミ訓練の反対じゃないかと不安になりました。
- コミュニケーションの大切さ、重要性、方法など理解でき実践していきたいと思います。本当に有意義でした。
-

救急医学特集

救急と感染症の特集です。

豪華なメンバーで、内容も密度が濃いですが、編集に関しては不満が残る号でした。エディトリアルを書く依頼がきた段階で原稿が読めないなんて、どういうこと????

水死

たまたま宿泊先で読んだ今朝の日経で「水死」の記事がありました。この重厚な小説と取っ組み合いました。

僕みたいに文章に対する感受性を欠いた人間にはなかなかしんどい小説でしたが、胸に迫ってくるものは圧倒的でした。

ピペラシリンは予防に使わない

ピペラシリンを術前術後の予防投与に使うというプラクティスが横行しています。耳鼻科、泌尿器科、産婦人科、心臓血管外科、いろいろなところで見つかります。

だれが言い出したのかは、知りません。でも、これは間違いです。

原則的に(例外はありますが)術前予防投与はSSI、創部の感染を予防するために用います。皮膚の上に乗っかっているブドウ球菌やレンサ球菌がターゲットです。

ピペラシリンは、緑膿菌を殺すのが取り柄の抗菌薬です。目指すところが間違ってる。

さて、例えば耳鼻科の患者さん。術後の合併症で一番多く、問題なのが肺炎です。何しろ嚥下の防御能ががた落ちです。本当に肺炎を起こしやすい。食道疾患のオペ後も多いです。

院内の肺炎で問題となるのは緑膿菌です。そのときの治療薬のオプションはできるだけ残しておきたい。でも、ピペラシリンなんて予防で使ってしまうとそのオプションをみすみす逃してしまいます。しかも、ピペラシリン耐性緑膿菌は同時にピペラシリン・タゾバクタム(ゾシン)耐性菌になります。ゾシンも使えなくなってしまう。

日本には5種類もカルバペネムがありますが、ピペラシリンは同系統の抗菌薬を(日本には)持ちません。非常に特化された抗菌薬です。そのため、結構売れているみたいです。でも、同じ会社がピペラシリンを誤用させるのを阻止しないと、ゾシンは早晩、耐性菌のために使えなくなってしまいます。長期的視座、とはこういうことをいいます。

企業が短絡的な視座でもってよこしまなことをやると、長い目で見ると大損してしまう、というケースを僕らはたくさん見てきました。ライ○ドア、船場○兆、アメリカの企業でもずるっこやってあとで大損のケースは多かったですね。

ピペラシリンの術前術後予防投与を、メーカーは必死にdiscourageすべきです。こういうことをメーカーがやる事が大事なのです。そうすれば、自分たちの虎の子の薬も守る事ができます。全ては、自分のためなのです。あと、専門家でピペラシリンを術前術後の予防に推奨している人がもしいるとしたら(知らないけど)、その人は猛省して前言撤回しなければならない。

キニーネとアーテミシニン

キニーネとアーテミシニン
- 通常僕らはアメリカの教科書(サンフォード、Johns Hopkins ABX-guide、ハリソン、マンデル、UpToDateなど)を規範に抗菌薬を選択している。
- しかし、マラリア治療におけるそれは、アメリカに基準薬がない事もあり、なかなか難しい。
- なので、ここにまとめておく。治療は原則、熱帯熱マラリアに限定
- 現在、日本で市販されている抗マラリア薬はメファキン(塩酸メフロキン)久光、ファンシダール(スルファドキシン・ピリメタミン)中外、キニーネ(塩酸キニーネ)経口薬 純生、メルクなどの3種類。これに抗不整脈薬のキニジンやドキシサイクリンも適応外だがマラリア治療に用いる事ができる。
- 医学書院の「治療薬マニュアル」には熱帯熱マラリアには目フロキンが第一選択薬となる、と記載があるが、もちろんこれは真っ赤なでたらめ。
- その他、熱帯病治療薬研究班が保管病院に抗マラリア薬を提供している。
- www.med.miyazaki-u.ac.jp—index.html <http://www.med.miyazaki-u.ac.jp/parasitology/orphan/index.html>
- 原則、薬剤保管病院での治療が必要だが、患者が重症で搬送できないときなどは、頭蓋病院に薬剤を提供する事も可能。
- 取り扱い薬剤は、クロロキン、アトバコン・プログアニル(マラロン)、アーテメター・ルメファントリン合剤(Riamet)、アーテスネート坐薬、グルコン酸キニーネ(Quinimax)点滴薬、リン酸プリマキンである。
- この中で熱帯熱マラリアに用いるものとして、アーテミシニンとキニーネを今回は取り上げる。
- アー テミシニン(チンハオス)誘導体の一つであるアーテメーターは、難溶性のアーテミシニンの側鎖をメチル基で置換したものである。ルメファントリン(旧名ベンフルメトール)はキニーネ、メフロキン、 ハロファントリンなどと同じくアリル・アミノ・アルコール族に分類される遅効性の抗マラリア薬である。英国のガイトラインでは、マラリアにかかったと思われる場 合に旅行者自身が行う「スタンバイ治療」の薬剤に指定されている。(以上、研究班HPより抜粋)
- アーテミシニン(中国名チンハオス)はArtemisia annuaというヨモギ属の植物から1972年に中国の科学者によって抽出された。でも、むかーしからマラリア治療に民間療法的に使われていた。和名はクソニンジン。本当です。
- その誘導体がアーテメター、arteether(読めない、、)、アーテスネートである。
- アーテミシニンはセスキテルペンラクトンで、原虫の膜に作用するアルキル化作用を持つ。
- クロロキン耐性のP. bergheiはアーテミシニン耐性。haemozoinを欠くため。
- アーテミシニンは油、水ともに解けにくい。脂溶性にしたのがアーテメター、水溶性にしたのがアーテスネート。アーテメターは筋注、アーテスネートは点滴、筋注が可能だが、日本にはない(研究用のみ?)
- もっとも活性が高いのがdehydroartemisininDHAで体内で加水分解を受けるとアーテミシニンはDHAになる。肝臓で代謝され、半減期は短い、40分だが筋注坐薬で長くなる。PKのスタディーはあまりないそうです。坐剤で点滴のキニーネ並みの効果があると研究班HPにはあるが、データに乏しい。腎不全でも投与量同じ。
- 妊婦や授乳に対する安全性は不明。
- 副作用は、動物実験では高容量で神経毒性。でも、人では副作用はまれ
- アーテスネートでは、
- 腹痛、嘔吐、下痢などの胃腸症状や眩暈、臨床検査で網赤血球や特に幼弱な好中球の減少、一過性のトランスアミナーゼ上昇などがみられるが、臨床的に問題になることは非常に稀とされる。
 ただし、動物実験ではアーテミシニン誘導体のなかでも、特にアーテメーターの注射による中枢神経系障害が知られている。研究班HPより
- 相互作用は、マクロライド、リファンピン、アゾール等。
- メフロキンとの併用はシナジーあり。耐性の多いタイではこれがスタンダード。
- ジョンズホプキンスでは、artesunate 2.4mg/kg/dose点滴で、0, 12, 24, 48時間おきに投与。を推奨。
- 日本の手引きでは、400mg分2を1日、後に200mg1日1回坐薬で4日間、合計5日。その後メフロキン15-25mg/kgの坦懐あるいは2−3分割服用とある。メファキン275mgだと、1日4−5錠。
- Essential Malariologyでは200mgを坐薬で0.4, 8, 12, 24, 36, 48, 60時間後(つまり、2日目からは1日2回。その後経口に変更。点滴がない場合の治療法らしい。ベトナムでは4mg/kgをロードして、2mg/kgを4,12,48,72時間後に。
-
- キニジンはキニーネの右回旋のジアステレオイソマー。抗不整脈薬。キニーネはマラリアの薬。どちらも、マラリアに用いる事ができる。抗マラリア作用はキニジンの方が強いとされるが、副作用も多い。
- こちらも、ペルーなどの木から見つかった自然の薬で17世紀から用いられていた。Cinchonaアルカロイドの効果が分かったのは19世紀。
- 原虫のヘミン合成を阻害する。
- 血中半減期は10−40分。AUCは筋注、点滴共に変わりなし。肝臓で代謝され、腎排泄は20%程度で腎不全の調整は不要とされる。透析時は透析後に投与。CVVHDのデータには乏しく、モニターが必要(CID 2004;39:288-9)。
- 副作用は耳鳴り、難聴、頭痛、悪心嘔吐、視覚障害などのcinchonismで多くの患者が体験する。減量を余儀なくされる事も多い。
- インスリン分泌作用があり、低血糖が多い。点滴の速度が速いと起きやすい。マラリアそのものも低血糖を起こすので、要注意。
- 2gから副作用が出やすい。
- 不整脈はまれだが、おきる
- 末梢血管拡張などで低血圧も起きる。
- けいれんや昏睡も
- 過量投与の場合は、経口ならチャコールで対応。星状神経節ブロックは無効。
- 相互作用、ジギタリス、フレカナイド、ワーファリン、糖尿病薬、メフロキンなど。
- 妊婦には安全。
- 点滴薬はアメリカではキニジンを用いている。点滴キニーネはない。これが話をややこしくしている。
    - サンフォードでは重症マラリアにはキニジンを生食にといて10mg/kgを1時間で点滴、次いで0.02mg/kg/min持続点滴か24mg/kg を4時間かけて点滴、その後12mg/kgを4時間かけてこれを8時間おき。原虫が1%以下になるか経口投与が可能になるまで継続。これにドキシサイクリン100mgIV12時間おきを7日間かクリンダマイシンを併用。これがファーストチョイス。
    - 国際的にはキニーネがより用いられる。
    - 我が国の研究班投与量は
        - 8.3mg/kgを5%ブドウ糖あるいは生理食塩水200-500CCに希釈、4時間かけて点滴。8−12時間おきに繰り返す。重症例は初回16.6mg/kgでもよい。とある。
        - Quinimaxが1アンプル250mgなので、60kgの大人ならだいたい初回4アンプル、次回から2アンプル8時間おきとなる。
        - Mandellやハリソンだと、20mg/kgを5%グルコースに入れ、4時間かけてローディング、その後10mg/kgを3−4時間かけて8時間おき(最大量1800mg/d)。これだと、最初に4−5アンプル、その後2−3アンプルとなる。
    -
    - 併用療法
        - Essential Malariology 4th editionには併用療法についての記載はあるが、アーテミシニンとキニーネの併用については特に記載がない。
        - Guptaらによると(AAC May 2002, 1510-)、in vitroではキニーネとアーテミシニンはadditiveあるいはsynergisticであった。
        -
    - 優劣
        - 点滴のキニーネとアーテスネートなら、アーテスネートの方が有効かつ安全。
        - www.thelancet.com—abstract <http://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736%2805%2967176-0/abstract>
        - これをアメリカが無視?していることが混乱させている。なぜ?

リーダーシップ研修の覚え書き(文献)

+ リーダーシップ研修に関して、文献の覚え書き。
    - さてさて、お尻に火がついてどうも困ってしまった「リーダーシップ研修」ですが、いちおう当日のための文献リストを作りました。
    + ただし
        - 基本的に本を読んだからといってリーダーシップが身につくわけではありません。イチローにまつわる本を読んでもイチローになれないのと同じです。リーダーと呼ばれる偉人の伝記を読んでもリーダーにはなれません。リーダーとは、他人を模倣しない人たちですから。だから、ここでの文献はあくまでリーダーシップについての「お勉強」のための文献です。みなさんが、リーダーシップ研修の講師にでもなるよう依頼されたら、読んでみてください。
    + 僕がお奨めするのは、次の2冊です。
        + リーダーシップ入門
            - 金井壽宏 日本経済新聞出版社
            - これは、リーダーシップという研究領域を俯瞰するのにはとても便利な本。参考になりました。これを読めば他の専門書や代表となる書物が何を言っているのか、大体わかります。リーダーのタイプ分けや、日本で定番の三隅のPM理論も載っています。専門家、研究者でなければこれで十分だと思います。
        - さらに
        + リーダーシップの旅
            - 野田智義 金井壽宏 光文社新書
            - これは往復書簡で、上記の入門書で触れていない「ひだ」とか「controversies」を扱っています。行間が分かる良書です。専門家は得てして自分の専門領域の無謬性や完全性を主張したがる自画自賛に陥りがちです。入門書にその専門領域の問題点や欠点を書いていることは極めてまれ。ここではそれをうまく紹介しています。
            -
    + いわゆる、「リーダー」と呼ばれている人の自伝、伝記、名言集は山ほどあるので、気に入ったものを手に取ればよいと思います。今回、僕は一冊だけ参考に選んでみました。
        + リーダーになる人に知っておいてほしいこと
            - 松下幸之助 松下政経塾 PHP研究所
            - ビジネスがお好きな方は、あと本田、井深、盛田、稲森、岩田(任天堂の)などなどございます。
            -
    - あと、昔読んだ本で記憶に残っている「すごいリーダー」本では
    + なせばなる民営化JR東日本ー自主自立の経営15年の軌跡
        - 松田昌士
    - などがありますが、他はあまり覚えていません。覚えている伝記本は「いわゆる」リーダーっぽくない(ポール・ファーマー、ビル・エヴァンス、南方熊楠、、、うーん、違うなあ)。僕自身がチャンドラーや白州次郎を愛するローンレンジャーで、組織論とかリーダー論に興味が小さいからでしょう。むしろ、
    + 赤めだか
        - 立川談春
        - みたいなほうが僕は好き。こんな破天荒な人(談志)でも立派なリーダーになれるのでした。教科書のリーダー(とくにアメリカのは)はオールマイティーな聖人君子が多いですが、そうとも限らない。
    + もうひとつ
        - ヨハン・クライフ「美しく勝利せよ」
        - 1974フットボールオデッセイ
        - サッカー興味ない方は「???」でしょうが、ヨハン・クライフは1970年代のサッカー界の超スーパースターです。そして、優秀なリーダーでもあり優秀な監督でもありました。でも、人格は破綻していてヘビースモーカーで金の亡者でもあります。同時代の別タイプのリーダー、フランツ・ベッケンバウアーやクライフの師匠、リヌス・ミケルスについても学べます(20世紀世界最優秀監督!)。基本的にスポーツと戦争の世界はアウトカムが明確なので、リーダー論を語りやすい。野球がお好きな人は長嶋、王、野村、イチロー(原、星野?)あたりの本を読んでください。
        -
    - まあ、「私はこんなに偉かった」みたいな「私の履歴書」チックなものよりも、「失敗のパターン」をみたほうが勉強になるかもしれません。
    + 「失敗の本質」
        - 戸部ら
        - 太平洋戦争で日本のリーダーがどんなにダメだったかを詳細に分析。必読。
    + 「ノモンハンの夏」
        - 半藤一利
        - これは日本軍でもとくに評判の悪いノモンハンの分析
        - ベスト・アンド・ブライテスト
        + 日本語版絶版なのでネットか古本屋か図書館を探してください。
            - ベトナム戦争でアメリカの超エリートがどうしてぐだぐだの失敗をしたのか、という有名な本。
        - 名経営者がなぜ失敗するのか?
        - フィンケルシュタイン 日経BP
        -
        -
        - 小説の世界の方が面白いかもしれません。
        - ご存じ
        + 竜馬がゆく
            - 司馬遼太郎
            - 日本のビジネスマン、経営者御用達の定番。その割に海外で知られていないのは内田樹さんのよく指摘するところです。他の司馬本も日本の経営者たちは大好きです。
        + 水滸伝
            - 北方謙三
            - 水滸伝はいろんなバージョンがありますが、これが一番読みやすいです。これも定番のリーダー論に使える小説。男本ですが、歴女にはOKなのでは。
        + ○○島耕作
            - 広兼兼史
            - マンガにおけるスーパー・リーダー島耕作。なんと今や社長です。団塊世代の妄想、、、という話もありますが、多くの中高年男性は気分良くなれます。女性だったらハーレクインでしょうか(違ってたらごめんなさい)。
        + 機動戦士ガンダム
            - シャア・アズナブルも日本における理想のリーダーの一人でしょう。強くて弱いのが(日本の)リーダーの理想像の一つ。
            -
    + リーダー=師ではないですが、師について考えるとき、内田樹さんの本がお奨めです。簡単な順に
        - 先生はえらい
        - 街場の教育論
        - レヴィナスと愛の現象学
        -
    + あと、(たぶん)「買わなくて良い本」(無駄な本を読むのも貴重な勉強とは言えますが、人生は余りに短い)
・ビジネス本売り場にある「リーダー」本
・こうすれば素晴らしいリーダーになれる、的な啓発本
・誰でもリーダーになれる、と安易に「だれでも」とあおる本
・「奇跡」という単語がはいっている本
・リーダーになるためのたった○○の、、とこれも「簡単にできる」本
・脳科学が、とか認知心理学が証明した、、、みたいな、実世界と学問の世界の乖離を見事に飛び越えちゃう本
・アメリカ人のビジネスリーダー(あるいはそうだった人)のサクセスストーリー
・日本人の政治家(あるいはそうだった人)の自慢話

やっと読めた、、

なかなか時間がかかりましたが、「現代思想のレボリューション」構造構成主義研究1を通読する事ができました。興味深い点がいくつかありました。

京極真さんの「構造構成的医療論の構想」が非常に面白かったです。すんなり読めました。すんなり読めた理由としては既出の関連文献を読んでいたせいもあるかもしれませんし、医療がテーマだからかもしれませんし、「感染症は実在しない」でこのテーマの多くを扱ったせいかもしれません。
 僕はこれまで、
基礎医学か、臨床医学か
ジェネラルか、スペシャルか
モダニズムか、ポストモダニズムか
東洋か、西洋か
日本か、アメリカか
予防か、治療か
といった医療にまつわる信念対立を長く扱っていました。で、自分の中では
こういう「対立」構造はそもそも存在しない(しなくてよい)というけりをつけていたので、まあ、すんなりというわけ。

モダニズム対ポストモダニズムは、現実の医療現場ではそんなに露骨に存在しません(ないとはいわんけど)。少なくともたいていの医者はモダニズムが少し、ポストモダニズムが少しです。そもそも生物科学が物理学みたいに厳密科学一本でいけないから、「薬の切れがいいなあ」なんて質的評価を昔からやっていたのです。ポストモダンがモダンの前にあったりして。この対立構造は「3時間待ちの3分診療」「ジェネラリスト対スペシャリスト」みたいに、若干ファンタジーなところがあります。現場はそんなにくっきり別れていない、と思う。福岡伸一さんみたいだ、、、、
 で、問題なのは信念対立ではなく、僕個人の中にある複数の関心のなかでどれを優先させるか、です。僕はこないだ、たくさんの薬を飲んでいるエイズ患者のバクタをCD4が200ぎりぎりのところで止めました。生物科学的には3ヶ月据え置くのです。でも、薬が余りに多いので止めてしまったのです。
 これは美談ではありません。その後、この患者さんはPCP(カリニ肺炎)になってしまったからです。僕の判断ミスでした。
 僕の中でのたくさんの関心。どの関心を優先させるかは、はっきりいってやってみないと分からないところがあります。医療の複雑なあり方の議論はしたがって、構造構成主義の問題よりも、その先にあるように思っています。

 西條剛央さんが構造構成主義に行き着いた問題には、心理学の「統一」という問題がありました。そのことを今回「心理学の統一理論」の構築、、、を読んで知りました。非常に興味深かったです。心理学って傍から見ていると本当に悩ましい学問です。

引用文献の使い方について

僕自身の反省もこめて、引用文献について。

引用文献って大事です。何の根拠もなくて、いきなり「○○はなんとかだ」と断言してしまうのは、すくなくとも科学を扱う文章では困ります。日本の診療ガイドラインはときどき、引用文献ゼロとか、ほんの数個ということもあってとても困ることがあります。また、医学雑誌の中には引用文献数に制限を設けているものがありますが、これは基本的には間違った態度だと思います。まあ、4000字の論文に引用文献が750とかあると困りますが、、、、

そうそう、著作権の問題ですが、僕はあまり権利、権利というのは好きではないので、ここに目くじらを立てることを好みません。引用元を開示するのは重要で、「だれがそう言った」と開示すればよいのですが、いちいち許可を取らないと表の引用ができないとか、そういう面倒くさいルールには、少なくともアカデミックな領域においてはちょっとなあ、という感じです。その点、内田樹さんと見解は同じです。僕なら、自分の文献を活用してくれるならとても嬉しいので、承諾なしでどんどん使ってくださいって感じですが。スライドもいちいちコピーライト、なんてけちくさい事いわないで、活用してほしい。ただ、最近はYouTubeとかに流されてしまうと困るので(講演ではやばい話もするので)、録音、録画、写真撮影はご遠慮いただいていますが、、、いやな世の中だねえ。

それに、自分のオリジナルなアイディアも実は多くの人の影響を受けているので、「完全にオリジナルな文章とかアイディア」なんてほぼ皆無でしょう。今僕が書いている文章も、僕がお手本として読みこなしている文章の影響を受け、文体をまねています。原りょうさんの文章がチャンドラーに酷似しているのは有名ですが、あれも確信犯です。でも、要するに作品が面白ければそれでよいのです(目的は、そこですよ)。村上春樹の小説もアメリカの多くの作家の文体にそっくりなのはよく知られています。ポピュラー音楽でビートルズの影響が皆無なものを見つける方が難しいし、そのビートルズも多くの先達の泊利をやっています。とくに、英語論文。僕は英語で書くのがずっと苦手なので、ルーチン化した方法のところとかの文体は先行研究をそのままぱくりたいです。そうしてはいけない理由を思いつかないし、それで研究の内容、価値になにか変化があると考える方がどうかしている。僕は「自分の言葉」にとてもこだわる男ですが、自分の言葉というのはそういう些末な部分の話ではないのです。このへん、目的と手段がひっくり返って形式主義化している。そういえば、アメリカ人って意外に実質主義に見えて形質主義なんですよね。

と話が大きくそれたところで、、、

文献の引用ですが、「何のために」引用しているのかを明快にしないとやや危険です。データの引き回しはもちろんいいでしょう。でも、問題なのは「○○はこういっている」という引用です。「こういっている」の内容が論文にとって妥当なコメントだと明らかならばそれでよいでしょう。でも、○○が有名人な時、例えば、フロイトがこういった、とか孔子がこういったとか、、、中国の格言とかもこれと同じように新書とかでは多用されます。
 これは根拠のない正当化ですよね。論文を拡張高くするために使っているだけで、べつに引用しなくても自分の言葉でそうと語れば良いだけなのです。「患者さんの言葉に耳を傾けるのは大切だが」と書かずに、「○○は患者の言葉に耳を傾ける重要性を強調している」と書くと、科学的妥当性をほったらかしにして権威付けしている文章になります。科学論文でこれをやるのは、まずい、と思う(ただし、「患者の言葉に耳を傾けると○○というアウトカムと関連がある事を誰々が示して、、という「内容」に光が当たってればOK)。新書などでやるのもちょっとイヤらしいと思う(ちなみに、これをルーチンで多用するのが天声人語です。先日、○○勲章を受章した人間国宝の××さんによると、、、なんていうと、あまりに人のふんどしで相撲を取っていて、なんかなあ、と興ざめです)。特に、自分の師匠の神格化みたいに使うのはとても危ないときがある。僕もときどきやっているので反省だけど。

ガレノスがこういっている、、、で医学は1500年暗黒時代だった事を忘れてはならん、ということでしょう。

お正月と言うことで

お正月は池波文学。鬼平犯科帳を読みました。よいですね、こういうのも。

それと、読めなかった「古代哲学」を読破。「素人」たる哲学者のソクラテスのあり方など、非常に興味深い論考でした。前回の素人、専門家論に一石投じる、かな。

文楽を観に行きました。先代萩、寿連理の松、日高川入相花王とどれもすばらしい内容でした。特に、先代萩は最初かったるいな、長いなと思っていたのですが、クライマックスへの怒濤の流れへの伏線だったのですね。びっくりしました。人間の「情」の深さや複雑さも見事に表現されており、東のシェークスピアを想起させました。

おせち料理って嫌いだったのですが、これも好きになったのが今年の発見でした。僕は今年、ローストビーフ作りました。人間の価値観とは、いついかなる時にも揺さぶることが出来るようです。

結局去年からもちこしの課題が山ほど残りましたが、それもあまり気にならなくなりました。ま、一人が一生で出来る仕事なんて結局たかがしれてますから。

専門性ということ

HAICS研究会のキャリアアップディベロップメント講座の準備をしています。今回のお題は、「リーダーシップ」。なんで、こんな専門外な内容、引き受けちゃったんだろう、と悩んでいます。

前回は確かコーチングだったのでよかったのです。いちおうビジネス・コーチの資格持ってますので。それに、コーチングは応用問題で、ファジーな類似科学(疑似科学かどうかはよく分かりませんが)性を持っています(全てがそうではないですが、、、)。そんなに厳密にやる必要はないし、あまり厳密にやると「???」なところが増えてしまいます。処世術の延長線上、というくらい肩の力を抜いてやった方が上手くいきます。「コーチングで人生を変える」なんて大上段に構えるとウソになります。

リーダーシップは難しい。リーダーシップ学という学問の方向性や厳密性が、コーチングよりもずっと高く洗練されているように見えるからです。あれこれ本を読んでいるだけで、陰鬱たる気分になってきます。

とはいえ、誰々の○○理論をずらずら開陳しても、おそらく何もやったことにはならないでしょう。しかし、前に、某所でリーダーシップ研修を受けましたが、自己啓発セミナーとの違いが紙一重でした。リーダーシップの研究者がやってもウソっぽくなりがちで、非研究者がやるとさらにウソになる。どうしましょうか。

非専門家が言葉を発するというのはとても難しい。池田清彦さんとか、内田樹さんとか、そのへんの達人ですが。

で、僕が心がけていることは、あくまでも自分の言葉を使うこと。文献や書籍の引用を極力避けることです。通常、ある領域の「専門家」と呼ばれるためにはその部分の知見を論文やら議論やらで何千、何万とこなしていなければなりません。ちょっと本を何冊か読んだ、論文や総説をかじったくらいではその言葉の深淵を理解したことにはなりません。だから、ちょろっと「○○によると、、、」なんて引用すれば、「専門家から」批判の機銃掃射を受けてしまいます。

「感染症は実在しない」を書いたとき、心理学とか哲学の文献引用がほとんどなく、感染症学の文献ばかりを引用しているので、「心理学や哲学をバカにしているのではないか」と批判を受けたことがあります。とんでもない。心理学や哲学の素人が、妙ちくりんな文献引用なんて恐れ多くてできないだけです。また、現実的にはそんな専門外の文献をプロ並みに読みこなす時間は作れない。僕に出来るのはいろいろ読んだりしたあと、「自分の頭で考えること」だけ。

感染症に関する論文は自分の血肉となっており、自分の手足と同じように捜査できます。引用も、探した文献と言うより自分の言葉に噛み合う論文をほとんど記憶しているだけなので、文章を書いてからくっつけることが出来るくらいです。このくらい使いこなせる文献でないと「引用」しづらい。フロイトがこういっているとか、フッサールはこう考えた、なんて口が裂けても言えません。「フロイトはこういっている」とは絶対に言えないので、フロイトが書いたものやフロイトについて書かれたものを読んで、「自分で考えたこと」のみを開陳できる。自分の頭にあるものについては、「けしからん」と言われることは出来ても(これは仕方ないので、謹んで甘受します)、「間違っている」とは言えないからです。ま、これも一種のIメッセージ。

では、哲学的な文献を千も万も読みこなさないと本が書けないか、というとそうは思いません。「感染症は実在しない」は臨床現場におけるリアルな問題を扱っており、今の時期に書く必要を強く感じていました。30年後に書いても仕方がないのです。今しか書けないものも多いのです。そのリアルな問題について自分が妥当な思考を展開していると信じている限り、自分の専門外の領域に完全に精通する(第二の専門家になる)のは現実的でもなければ、僕的には可能ですらありません。要は、自分の目的に合致したコンテンツが提供できているか?という点だけが重要なのだと思います。僕に心理学や哲学の専門家になれ、というのは車に空を飛べ、というのに等しく噛み合わない批判、それこそ<信念対立>(ここはカッコをつけて、、、)の構造を持っています。

まあ、感染症というフィールドは本当に広範で、その「全ての」専門家になることはできません。ウイルス学に精通して、細菌学に精通して、疫学に精通して、感染管理学をマスターして、薬理学をこなして、ワクチン学をこなして、社会学的領域もマスターして、臨床も抜群(集中治療、外来診療、HIV、渡航医学などすべて)なんて「ほぼ」ありえない。南方熊楠的化け物はなかなか生まれない。会議で「感染症の専門家です」と紹介されても、なんのことだか僕にもよく分からない。

まあ、ある専門性という「軸」を持っていれば、その軸を援用して他の専門領域の姿を俯瞰することは不可能ではないと思います。逆に、岡目八目でかの専門家以上にそのフィールドの外枠を見据えることができることも、実はよくある話。日本を離れないと日本が分からないのといっしょ。

一方、臨床感染症も、高血圧とかうつ病とかいろいろ見ていた方が、上手に診療できることも多い。感染症ばっかり見ていると感染症を見るのが下手になります。ここにも、内と外との大きな問題があります。素人とプロの問題、、、まだまだ考えても尽きない悩ましい存在です。

ま、そんなわけで、僕のような非専門家は、謙虚に、おっかなびっくりアウトプットしていくほか、ないようです。

糖尿病の新しいガイドライン

A1Cを診断に、という訳で、日本に追いつくアメリカのガイドライン。

http://www.medscape.com/viewarticle/714401?src=mp&spon=18&uac=46045PX

時代の変化に追いつくのは本当に大変。

たまにはワインネタ

ピノ/ノワールが好きなのですが、コスパの高いワイン。1000円以下で入手しました。最近のニュージーランドなどフランス以外の国でピノ・ノワールの質が高いです。

Sileni Satyer 2007

対局を行くのはこちら。こないだ飲んだ超A級ワイン。こちらは別格でのけぞっちゃいました。矢でも鉄砲でも持ってこい!という気分になります。

Chambolle-Musigny Les Amoureuses Remoissenet Pere & Fils 1990

上には上

天皇杯サッカーは後半から観戦。ガンバはレベルは高かったけど、その後見たアーセナル/チェルシーでは圧倒的にアーセナルのレベルが高い。当たり前だけど。

でも、そのアーセナルもチェルシーに完敗。上には上がいるのでした。

足りない?余る?

ワクチン外来でのキャンセルが増えているようです。流行が収まりつつあるため、ということですが、実は第二波が来るか(いつ来るか)不明な今の段階で予防接種要不要を判定するのは無理だと思っています。たぶん、国民の半分以上はまだインフルエンザに罹患していないし、いわゆるリスクグループの患者に未罹患者は多いだろうからです。予防接種を打つならむしろ今が良い機会なのですが。。。

予防接種がたいてい1回打ちになって、輸入も決まり、「本当に必要なの?」という声も出ています。

http://sankei.jp.msn.com/life/body/091227/bdy0912272337003-n1.htm

僕自身は、7月だったか8月だったかの会議で、ワクチンの充分な数の供給を主張し、輸入ワクチンの活用もすべきだと意見しています。だから、もし必要なくなって余った場合は「ごめんなさい」という立場にいます。過去の自分の発言には責任を持たねばならない。

ただ、もう一度同じシチュエーションを経験したとしてもやはり同じように進言したでしょう。
逆に間違えるよりはずっとましだからです。

接種できる環境を作って実は要らない、というのと接種できる体制が作れず、やっぱり必要だった、では後者のほうが「やってはいけない間違い」だからです。間違えることが問題なのでなく、どう間違えるかが問題なのだと思います。厚労省血液対策課は「確かに余るだろうが、再流行や来年の流行にも使える可能性はあり、直ちに無駄になるとはいえない。大きく構えておくのが危機管理の基本。検証は必要だが、当時の判断は間違っていなかった」とコメントしている、そうですが、間違っていなかった、と主張するといつものパターンでの失敗です。

無謬性を主張することが大事なのではない。間違ってはいけない、間違うはずがない、という観念が我々を誤らせます。未来の事象に対して百戦百勝なんてあり得ないのだから。

ワクチン輸入は安全保障の文脈でとります。保険です。消火器を買って使わなかったからといって、「あんな無駄な買い物をして」と非難されることはないでしょう。生命保険の保険料も無駄になったほうが(保険金がおりるような厄災がおきないほうが)良いに決まっています。

もしワクチンが余ったら(まだそうとは決められませんが)、国のお金を無駄遣いさせて申し訳なかったなあ、と悔やみつつ、謝りながら、誠意を持って生きていくより他ないのでしょう。



対談

本年もどうぞよろしくお願いします。

日本の雑誌をあまり読まないのですが、今月のJIMは面白かったです。内田樹さんとの対談でてますから、是非お読みください。藤田先生・宮城先生の症例もよかったです。歴史っていつも面白い。アメリカの医療制度改革の論文も勉強になりました。

で、広告を見ていて気がついたこと。某有名内科学教科書が翻訳されていますが、○りそんはミッションになった、、、がコピー。変な言葉です。単なる誤訳なのかもしれませんが、もちろん、教科書を持ったり読んだりすることがミッションなわけがありません。目的と手段の勘違いは日本において普遍的に見られる誤謬ですが、ここにもそれが、、、

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