医師国家試験の合否発表日は遅すぎる
昨日、医師国家試験の合格発表がありました。合格された方、おめでとうございます。上手くいかなかった方、今は落ち込んでいても、また立ち上がってがんばれる日が来ることを気長にお待ちします。
さて、3月29日に合格発表です。病院によっては3月25日から仕事始めです。どうしてこんな変なルールなのでしょう。引っ越しをして、住民票を変えて、運転免許や家具の購入などあれやこれやの手続きをして(だって研修始まったらそんなことする暇ないですから)、挙げ句の果てに、「不合格」ではあまりにかわいそうです。このシステムを作っている厚労省の担当者はいやしくも教育に携わっている人たち(たとえ教育者ではないにしても)なはずです。このような心痛を学習者に与えることをよしとする教育者・教育担当者がいるとしたら、一度話を聞いてみたい。それでよいというのなら、国家公務員試験の合否発表も4月1日にやればよいのです。4月1日、合格者には辞令交付し、不合格者には不合格通知を渡して「これから就職活動がんばってください」といえる厚顔さをもつ人なら、このシステムを継続することを理解します。
いろいろな行事や業務の合間を縫ってのことで大変とは思いますが、やはりある程度の準備期間を与えてあげないと不合格者にはかわいそうです。苦痛を被った人間により大きな配慮を示すのが我々医療人の本質というものではないでしょうか。「作る側の論理」に立ってはいけないと思います。
どこに話をもっていったらよいのか分かりませんが、このブログ読者には医学教育のプロたちもたくさんいるはずです。学会のメンバーもいることでしょう。もしかしたら、医師国家試験のシステム作りに参与されている人もいるかもしれません。是非、ご一考いただきたいものだと思います。
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受験生の立場から見れば国家試験が終わってから一週間もあれば合否を発表してもらいたいです。大学受験のセンター試験も東京の人の発想だなと思います。一月二月は積雪で交通マヒも予想されるときもあり大変です。昔は国立は三月でしたものね。
投稿: トマト | 2010年3月30日 (火) 15時46分
monster parents とか、monster patientsとか、他人に何かを要求する時、人間のエゴは際限なく肥大するもののようで、それはdoctorも例外ではないのでしょう。
医師国家試験のスケジュールは、昔に比べれば、これでも随分と早くなっています。
私の時代、3月に大学を卒業した後、4月1日に上京して、大臣から辞令を受け取り、その日のうちに地元に帰って、国家試験を受け、試験後に再び上京して、霞が関で勤務した後、4月の終わりに合否発表と言うスケジュールでした。
同期の中には、残念ながら不合格となって、即日、辞表を書いて郷里へ帰ったものもいました。
さすがに、これではあんまりだろうということで、多少は改善されて、現在のように2月試験、3月末に発表となっています。
現在の状況だけを見て、「遅すぎる」と担当者を非難するのは、患者が死んだら、何でもかんでも「藪医者、人殺し!」と医者を非難するぐらい無茶な気がします。
投稿: 風 | 2010年3月30日 (火) 19時43分
歯科医師試験のように、3人に1人は不合格として良いのであれば、試験の翌日には採点を終えて、翌々日には合否が発表できるかも知れません。
実際には、受験生の回答状況を検討して、不適切な問題は採点対象から除外するとか、特定の受験生の正答率が高くて、問題が事前に漏洩した疑いのある問題を除外するとか、そもそも合格ラインをどこに設定するか、色々と検討すると、1ヶ月ぐらいは掛かってしまうでしょう。
それに、卒業見込みの学生がちゃんと卒業したかどうかを見極める必要もありますし、現在の4月入学、3月卒業という大学のスケジュールを変えない限り、国家試験のスケジュールだけを前倒しすることは難しいでしょう。
投稿: 風 | 2010年3月30日 (火) 19時49分
薬剤師です。
私は卒後6年目ですが、当時の薬剤師国家試験は数ある医療系国家試験の最後を飾るように3月29~30日におこなわれ、合格発表は6月の半ばでしたよ。当時私は医師の国家試験の合否は年度内に発表されるのに薬剤師はひどい扱いを受けていると思ったものでした。
就職が決まって働き始めている仲間に訪れた不合格の通知。その後は推して知るべしです。
投稿: iOsuke | 2010年3月30日 (火) 21時48分
昔と今を比較する際必要なこと。大量情報処理を可能とするパソコンとwebの存在の有無、そして各担当者が弛まぬ改善を意識して行動しているか、右にならえでよしとしていないか、等。そんなことを考えさせられました。
投稿: 樹 | 2010年3月30日 (火) 22時27分
岩田先生へ
こちらのHPにおいてはハンドルネームが紛らわしいことに気付き、アップ不要のご連絡をさせて頂きます、”3月30日22時27分の樹”です。もちろん気付いておられるでしょうが”内田”樹氏とは別人でございます。
ただ、自身では意味をもっての名前ですので、今後も同じハンドルネームでコメントさせて頂けますと幸いです。ご容赦頂けますようお願い致します。(許容外でしたら、それはそれで構いませんので、別名と致します。)
投稿: 樹 | 2010年4月 1日 (木) 17時07分
今の国家試験の発表日と就業開始日の問題は真剣に取り組むべきです。ただ、私は個人的には本質的な問題は国家試験の発表が遅いことでなく、この発表から研修開始までの時間が短いことが問題だと思います。前が変わる気がないのなら後ろを変えて調節する。ですので、国会試験などの発表などはフレキシブルには変えにくいであろう今の世の中であるならば、むしろ研修開始を5月からに送らせるなどの対策のほうが現実的ではないかと思うのです。これは各病院で検討できることであろうかと想像しています。初めの年は大変かもしれませんが、そのあとは1かげつサイクルがずれるだけであって永続性も大きな支障はないと思います。もちろん国家試験がよりフレキシブルになることは賛成ですが、過度な期待をやる気のない人にこれ以上求めない。そして自分の方を変えることで解決の糸口が見つかるならそれはそれでよしというのが感想でした。
投稿: hondahitoshi | 2010年4月 1日 (木) 22時55分
同内容の再投稿(医師国家試験改善検討委員会報告書)で申し訳ないが問題点のひとつに
>病院によっては3月25日から仕事始
の病院側にも問題があるのではないでしょうか
(これは法律違反では)
4月1日から仕事始めであるべきで、3月末まで身分は医学生では。
色々な調整が必要と思われるが利便性を考えると3月末ギリギリよりももう少し前倒し、3月末より最低でも1週間から10日前程度は早めてほしいというのが医学生の声では
報告書の記載が3月中ではなく3月中旬までとなっていればと思いました。
あと、医師国家試験合格=医師なのか 医籍登録=医師なのかがちょっとわかりません。
医師国家試験改善検討委員会報告書
平成15年4月17日
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2003/04/s0417-2b.html
3.試験の早期化
現在、医師国家試験は例年3月に試験を実施し、4月に合格発表を行っている。このため、合格発表後医籍に登録されるまでの約1ヶ月間は、医療機関に雇用されながら医業に従事することができない状況にある。一方、平成16年度より臨床研修が必修化され、新たな制度下では研修医は2年以上の期間、研修プログラムに基づく臨床研修を行うこととなっている。
臨床研修の必修化を契機として、医師国家試験を受験した者が4月1日から円滑に臨床研修を実施できる体制を整備することが必要である。
今後、厚生労働省は、大学関係者との十分な調整を行った上で、一定の周知期間を設け、新たな新医師国家試験制度が適用される平成17年(第99回)の試験から早期化(2月第3週頃迄に国家試験を実施し3月中に合格発表)を行うことが望ましい。
投稿: 京都の小児科医 | 2010年4月 2日 (金) 05時41分
これは、「医師国家試験の受験資格が医学部卒業”見込みを含む”、であって、医師資格が医学部卒業、とある以上、卒業式の後に発表でなくてはいけない」という事情があるそうです。最初に、厚生労働省側は結果発表を早めようと検討した時にこの話になり、ならば卒業式を早めてはどうか(私大では早いところもあるのだから)となったら、それはならぬと文科省が首を縦に振らなかった、ということだそうですよ。現在の発表の日程は、仕方なく一番卒業式の遅い大学に合わせてだと聞きました。これはどこを説得すれば上手く回るのでしょうか・・・いずれにせよ弾力的な活用で解決する事を祈ります。
投稿: | 2010年4月 3日 (土) 11時43分
先ほど国試発表時期の件で投稿した者です。次のブログを拝見して、担当者を探しておられるということだったので、追加します。いわゆる「決定する権限」は、免許室にはないのですが、決定する方向に話を持っていく最終的な根回しは免許室のようです。先ほどの内容は免許室を以前担当していた人間からの情報で、免許室の中でおそらく継続検討課題になっているはずです。ただ、彼ら内々の話ですし、中々touchyな領域でもありますから、省外の自分がそれを出して「機密上の管理」という点で友人始め省内の人間に迷惑がかかっても悪いので悩ましい所ではあります。ただ、厚労省だけでどうこうできないのがポイントらしい、という所は知って頂いてもいいかなと思い、そういった事情で前回のコメントには名前伏せさせていただきましたが(大変失礼いたしました)、twitter ID u_375(http://twitter.com/u_375)です。もし、先生のご判断で掲載せずということであれば勿論、先生の御心の内にとどめて頂く情報で全く構わないと思います。なにとぞ御理解頂けますと幸いです。失礼いたしました。
投稿: | 2010年4月 3日 (土) 12時36分
仮に根回しが成功して国家試験の発表が早まったとしても
25日スタートの病院がたとえば20日スタートに前倒しすれば一緒のことだと思います。
本件に関しては25日にスタートする病院に非があると思います。臨床研修制度で全国でマッチングをするのなら全臨床研修病院が一斉に4月1日にスタートするべきでは
投稿: 京都の小児科医 | 2010年4月 4日 (日) 13時01分
>卒業式を早めてはどうか(私大では早いところもあるのだから)となったら、それはならぬと文科省が首を縦に振らなかった、ということだそうですよ
日本において大学の卒業式をいつにするかの最終権限が
大学にはなく文科省にあるのでしょうか
変な国と思いますが法的根拠があれば教えてほしいものです。
投稿: 京都の小児科医 | 2010年4月 4日 (日) 13時08分