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学生レポート、妊婦シリーズ2

これは定番、GBS。抗菌薬出すのは、分娩時っす。

妊婦のGBS(Group B streptococcus)感染

【疫学】
 妊婦のGBS感染は無症候性細菌尿、UTI、膣内感染、子宮内感染、子宮内膜症、菌血症で見られる。
 GBSは10%~40%の妊婦の膣や腸管に常在している。GBSが侵襲性に感染すると、妊婦の絨毛膜羊膜炎や流産・早産を引き起こすことが知られている。また、新生児は経産道的にもGBS感染を起こす。
1999年~2005年のCDC surveillance studyでは、約0.12%の妊婦がGBS感染をしており、この内の約半数では胎児死亡や流産、新生児感染、新生児死亡が見られた。

【スクリーニング】
 流産や早産、あるいは新生児のGBS感染を防ぐには、GBSが常在している妊婦を特定することが最重要である。
 妊婦にGBSが常在しているかどうかは培養検査で調べる。
 また、新生児のGBS感染のリスクファクターとして以下が挙げられる。
  ・分娩中の発熱(38℃以上)
  ・37週未満の早産
  ・破水が18時間以上継続
  ・過去の出産で新生児がGBS感染
  ・今回の妊娠中にGBS細菌尿
ただし感染していても1つも示さない場合もあるので、リスクファクターからのみのスクリーニングは好ましくない。
 培養検査は、すべての妊婦で、35週~37週の内に行われるのが望ましい。ただし過去の出産で新生児がGBS感染した妊婦、あるいは妊娠中にGBS細菌尿が認められた妊婦はスクリーニングを行わずに直接抗菌薬治療に移行してもよい。
 培養は、感度向上のため、直腸と膣からの2箇所の検体で行われる。感受性テストは、ペニシリン耐性菌が今のところ見られていないので、不要である。しかし妊婦が重度のペニシリンアレルギーの場合、代わりにエリスロマイシンまたはクリンダマイシンを使用するため、これらには感受性テストを行った方がよい。
培養検査には24時間~48時間かかる。
 その他のスクリーニング方法として、PCRによるものもある。これは約40分で診断可能であり、将来的に培養に代わるスクリーニング法として有効である。一部では感度96%、特異度98%という好成績を示したデータがあるが、異なる施設での研究結果が出揃うまでは使用を避けた方がよい。コスト面や利便性の改善も期待される。

【分娩時GBS感染症予防対策の適応】
 膣内のGBSは抗菌剤の投与によって除去することはできるが、投薬を継続し続けない限り再定着するため、GBS感染症に対する抗菌薬は分娩時に投与される。
 <適応例>
   ・スクリーニングで直腸または膣でGBS陽性
   ・前児がGBS感染症
   ・ 今回の妊娠中にGBS細菌尿
   ・GBS感染の有無は不明であるが、分娩時に38℃以上の発熱、または妊娠37週未満の早産、または
    18時間以上の破水のいずれかの場合
 <非適応例>
   ・前回妊娠時はGBS感染陽性であったが、前児は非感染児であり、現在はスクリーニングで
    GBS感染陰性の場合
   ・GBS感染陽性であっても帝王切開予定である場合
   ・分娩時に38℃以上の発熱、または37週未満の早産、または18時間以上の破水のいずれかの場合で
    あっても、 スクリーニングでGBS感染陰性であった場合
【予防対策】
 胎児では投薬開始から約30分で十分な血清濃度を得ることができ、母体では投薬してから約3時間で十分な抗菌作用が得られる。よって、 抗菌薬は分娩の少なくとも4時間前から開始され、分娩終了時まで継続して投与されることが望ましい。 
 regimenとしては以下が推奨される。
   ・PenicillinG (5 million units intravenously initialdose,then2.5 million units intravenously
           every four hours)
   ・Ampicillin  (2 g intravenously initial dose,then 1 g intravenously every four hours)
ただしペニシリンの方が狭い抗菌スペクトラムを持ち、アンピシリン耐性菌を生まないためにもペニシリンの使用の方が望ましいとされる。

※妊婦がPenicillinに対してアレルギーを持つ時は以下が推奨される。
  ・low risk for anaphylaxis:Cefazolin (2 g initial dose, then 1 g every eight hours)
  ・high risk for anaphylaxis :Clindamycin (900mg intravenously every eight hours)
    If the GBS isolate is resistant Clindamycin
                  Vancomycin (15 to 20mg/kg every twelve hours in patients
                        with nomal renal function)

※妊婦がスクリーニング未実施で、切迫早産の可能性がある場合、すぐにGBSのスクリーニングを行い、
 その結果が判明するまでの間、投薬を行う。もし培養結果が陰性と出た場合は投薬を中止してもよい。

         

  参考文献:Karen M Puopolo,MD,PhD, Lawrence C Madoff, MD, Carol J Baker,MD.
       Group B streptococcal infection in pregnant woman. Up to Date, 2009

       Carol J Baker,MD.
       Chemoprophylaxis for the prevention of neonatal group B streptococcal disease.
       Up to Date, 2010

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