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学生のレポート、妊婦シリーズ1

これも学生レポート。無症候性細菌尿の治療後にフォローの培養が必要とは知りませんでした。勉強させていただいています。治療失敗があると毎月チェックなんだ、、

妊婦の無症候性細菌尿

【妊婦と感染症】
 母子感染の主な病原微生物はウィルス、細菌、クラミジア、真菌、原虫である。感染形式は時期によって胎内感染、
分娩時感染、授乳時感染に、感染経路によって経胎盤感染、上行性感染、母乳感染に分けることが出来る。妊娠中に
生じる最も一般的な細菌感染症に尿路感染症がある。
 妊娠中は粘膜のIL6や血清抗体の反応が下がる。このように妊婦は免疫系が抑圧され、さらに胎児・新生児の免疫系は未熟であることから、感染に対するリスクが大きくなる。妊婦が感染すると胎児・新生児は流産、早産、死産、IUGR、発達奇形、先天性疾患、生後持続性感染が生じることがある。

【Asymptomatic bacteriuria】
 特に症状がない人で、尿培養が陽性の場合、Asymptomatic bacteriuria(無症候性細菌尿)と呼ぶ。
 妊婦の2〜7%に細菌尿が見られる。細菌尿は、早産や低体重児、分娩異常のリスクファクターであることが知られている。感染経路や感染微生物は非妊婦の細菌尿と同じである。妊娠初期に細菌尿を呈することが多い。妊娠することによって、平滑筋が弛緩し、尿路も拡張するので、膀胱から腎臓へ上行性に感染しやすくなる。したがって細菌尿を呈している妊婦は、非妊婦より腎盂腎炎になりやすい傾向にある。
 無症候性細菌尿が適切に治療されなかった場合、約30~40%の妊婦が症候性の腎盂腎炎などに移行し、早産や敗血症の危険性が増加する。無症候性細菌尿が適切な抗菌薬により根治されれば、腎盂腎炎への移行のリスクが70~80%軽減できるため、すべての妊婦に対してスクリーニングが行われる必要がある。

<診断>
 診断は、尿培養によってされるべきである。通常に排尿された検体からの培養であれば≧10(5)cfu/mlの菌が連続して2回検出される、あるいは導尿カテーテルからの検体の培養であれば≧10(2)cfu/mlの菌が1回検出されると、細菌尿と診断される。
 当然ながら、contaminationの可能性を最小限に抑えて、偽陽性の確率を下げる必要がある。
 尿検査などの他の簡易スクリーニングでは、感度、特異度のどちらにおいても尿培養に劣るため、使用すべきではない。また、尿培養では菌を同定して治療方針に役立てることもできる。
 スクリーニング検査は、妊娠12〜16週に行われるべきである。再スクリーニングは、低リスク妊婦では一般的には行われないが、高リスク妊婦(尿路奇形、ヘモグロビンS、早産経験のある妊婦など)では考慮すべきである。

<Maternal fetal benefits>
 無症候性細菌尿の早期スクリーニングは母子にとって有益である。Cochrane reviewによると、抗生物質による治療をすることによって、無症候性細菌尿をなくし、腎盂腎炎になるリスクを軽減させ、早産や低体重児となるリスクも下げることができる。

<治療>
 治療は、short course(3日間)の抗生物質投与が効果的である。当然ながら耐性菌の存在があるので、抗菌薬の感受性テストを行い、適切な抗菌薬を選択することが重要である。
 以下のレジメンが推奨されている。
  ・Amoxicillin (500 mg orally every 12 hours for three to seven days)
  ・Amoxicillin-clavulanate (500 mg orally every 12 hours for three to seven days)
  ・Cephalexin (500 mg orally every 12 hours for three to seven days)

<Follow-up>
 治療効果判定のための尿培養は、治療完了から1週間後に行われるべきである。約30%の人は一度の short courseでは完治されない。この場合、出産まで定期的に毎月尿培養を行う必要がある。もしfollow-upの尿培養で陽性とでた場合は、同一の抗菌剤をより長く服用するか、他の抗菌剤に切り替えて再度治療する。

  参考文献:Harrison’s PRINCIPLES OF INTERNAL MEDICINE 第3版
Thomas M Hooton, MD 他 Urinary tract infections and asymptomatic bacteriuria in pregnancy.
Up To Date. last updated 18 Jan 2010

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