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偽膜性腸炎、経口メトロニダゾール、塩野義

医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議での検討結果を受けて開発企業の募集又は開発要請を行った医薬品のリスト

ができている。

http://www.mhlw.go.jp/shingi/2010/05/s0521-5.html

ここにメトロニダゾール経口薬がある。現在トリコモナス膣炎にしか適応がない。で、嫌気性菌、アメーバ赤痢、ランブル鞭毛虫感染症、細菌性腟症などに要望が出ているのだが、、、、

※ 「クロストリディウム・ディフィシル関連腸炎」については、塩野義製薬(株)からの特段の意見により開発要請を保留している。

というコメントがついている。これは異な、、、、

というわけでその「特段の意見」を拝聴してみる。それは、重症例にはバンコマイシン経口よりも治療効果が低いので、軽症、中等症に用いるように、というIDSAとSHEAの新しいガイドラインがある、というものである。米国ではメトロニダゾール経口薬の必要性が「低下している」ため、日本での承認は必要ない、という見解である。

これは異な、、、、

米国でメトロニダゾール経口薬の価値が低下しているのは、事実である。しかし、それは相対的なものでメトロニダゾールが承認取り消しになった、とか販売中止になった、ということではない。優先順位に変更があっただけである。しかも、軽症、中等症にはいまだにファーストラインの治療だ。ファーストラインの治療について、日本はまだそのスタートラインにすら立っていないのである。承認の有無とは全く関係ない。議論のすり替えだ。

ちなみに、バンコマイシンは125mg1日4回が推奨される。コストをやや抑えられる。ただし、再発は多い可能性があるので、再発例には500mg4回のほうがよいかもしれない.

Am J Gastroenterol. 2002;97:1769-

こっからはあくまで憶見が入っているが、世界最大の抗菌薬消費国である米国は偽膜性腸炎のインパクトが大きいのだろう。メトロニダゾールの使用量も日本より圧倒的に多い。相対的に効きが悪くなるのは当然といえば当然だ。

バンコマイシン経口薬がVREを増やすという明確な証拠はない。が、バンコマイシン経口薬使用が増えた後、韓国ではVREの増加が観察されている。

J Infect Chemother 2003;9:104-

また、各国のデータ(フランス、UK、韓国、カナダ)を見るとメトロニダゾールの感受性は全体的には保たれている。アメリカのデータだけを見ていてはいけない、日本には日本の事情がある、というのは日本のメーカーの常套句ではなかったのか。

Antimicrob Agents Chemother 2002;46:1647-
J Antimicrobial Chemother 2005;156:988
Antimicrob Agents Chemother 1999;43:2607-
Diag Microbial Infect Dis 1999;34:1-
Clin Infect Dis 2005;40:1591-

バンコマイシン経口だけでなく、別のオプションもあったほうが戦略的である。逆に、塩野義に、メトロニダゾールが「使われてはいけない」根拠を求めたい。米国においてその価値が低下した、だけでは「根拠」とは呼べない。もし、そういうものがあるとすれば、その根拠は塩野義の内部にしかない、と僕は思うのだが、どうだろうか。

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