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それでも協会は間違っていた

岡田監督のサッカーはワールドカップ本戦ではとてもうまくいっていた。多くの評者は予想外の展開に驚いたわけだが、事前の試合ではまったく違ったチームだったのだから、びっくりするのも当然だ。

別にそれが「能ある鷹は爪を隠す」的な謀略に基づいていたわけではない。あくまで、その展開はまぐれ、偶然である。

岡田監督がまぐれ当たり、やぶれかぶれになった、というのではない。あれも通用せず、これも上手くいかずと失敗ばかりの日本代表で、さらにキーマンの中村の調子が上がらない中で、考えに考え抜いてとった戦略が上手くいったのである。上手くいかないから、そこしか道が見えなかったのである。でも、事前の試合で「上手くいかないでおこう」と狙ってやったわけではない。そういう意味では偶然の産物だ。今回のチームは。

偶然の産物だから岡田監督はだめだ、となじるつもりは毛頭ない。素晴らしかったのは、
1.批判され続けても投げずに改善を模索したこと。
2.自説に固執せずに、今あるリソースで最善のプランを考え続け、それに乗っかったこと。
3.そうこうしている間にも選手の心を折らず、チームの和を乱さず、コンディションを高めつづけたこと。

1番、2番は比較的どうということはない。国際的には監督が批判されるなんて日常茶飯事で、批判されるくらいで萎縮してしまうくらいなら代表監督の資格はない(萎縮するから、とういう理由でプロを甘やかすのが正当な教育法とは限らないのは、そのためだ。プロ教育ではちょっとやそっとではへこまない胆力が必要になる)。他人の意見に耳を傾け、柔軟に戦術変更を行うのも、このレベルでは当然と思う。

しかし、この3番が特に素晴らしかったと思う。2006年の最大の失敗はコンディション作りの失敗だった。2010年の敗戦国はコンディション作り、チームスピリット作り、選手の士気の向上に失敗した場合が多い。イングランド、フランス、カメルーン、イタリアなどなど。逆に上手くいっているチームがアルゼンチン、ドイツ、ウルグアイ、パラグアイ、ブラジルなどのベスト8組や、チリ、韓国、メキシコなどである。この中でとくにアルゼンチンやメキシコは日本同様、準備段階で大苦戦してきた。内紛を起こして失速しがちなオランダもここを回避しているから今のところ上手くいっている。

チームや個人のコンディションや士気を下げなかった一点でも岡田監督は賞賛に値する。戦術やフォーメーション、選手選抜以前の一番大事な部分だし、ワールドクラスのサッカーチームでもなかなかうまくいかないところだ。

日本の評論家は個人の好みで選手の選抜やフォーメーションを論ずることが多い。俺の嫌いなやり方だから、この監督はだめだ、という論法だ。是非ではなく、好悪で論ずるやり方は小児的である。どちらかというと。僕の場合、好悪で言うと日本は別としてイングランド、アルゼンチンなどはいつも好きだし、イタリア、ドイツ、韓国などは好みでないチームだ。けれど、ドイツも韓国も(くやしながらも)良いサッカーをしている。ここは分けて考えなければならない。日本のサッカー評論家には成熟が必要だ。

さて、今回の岡田監督のチームのようなチーム作り、偶然に頼るチーム作りは二度とすべきではない。リスクが大きすぎる。結果オーライではダメだ。

なるほど、世の中にはネガティブな事象をバネにして大きく成長する人がいる。マラドーナは貧民街でのハングリーな環境でのサッカーで大選手になった。ネルソン・マンデラは何十年も刑務所に収監されてタフな政治家になった。ジャン・バルジャンは盗みを働いたのがきっかけで高潔な人物に成長する。

このような悪人正機説は「結果論」「後付の説明」では成り立つが、予定して計画的に行うことは不可能である。なぜなら、一人の成功者の下には死屍累々たる失敗例に満ちているからだ。そうではない、と断じる人物は自分の子供を貧民街に住ませ、窃盗を教え、監獄で長く過ごさせてみると良い。そういう選択肢を取る親はまあいないだろう。

僕も失敗や挫折を糧にしてきたが、それを狙ってやったわけではないし、もし当時に返っても繰り返すつもりは毛頭ない。

岡田監督の、そして日本代表選手の偉大なる努力を認めた上で、今回の成功は偶然の逆転劇であったことは間違いない。2014年にこのシナリオを繰り返そうと思うのは、元寇の神風を常に期待するくらい愚かなことだ。サッカー協会はそのことについて厳密に成果とプロセスを分断し、明日の一歩を踏みしめて欲しいとファンである僕は希望する。

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