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オランダからの見解

今回のアシネトバクター騒ぎはPromedという国際的なメーリングリストにも掲載されている。世界で一番感染管理が進歩的なオランダの感染管理専門家のテア・ダーハさんに、院内感染に警察の捜査が入ることについて意見を聞いた。許可を得てここに掲載する(訳は岩田)。ちなみにオランダの厚生省がおこなう感染症対策の病院監査は数年担当してますよ、のなんちゃって担当者ではなく、この道20年以上の超プロフェッショナルが行う。しかも、その仕事は病院を罰することではなく、問題を把握して支援するためのものである。感染対策先進国のオランダと日本では、本質的に問題解決における思考の基盤が異なっているのである。

岩田さんへ

ProMedへの投稿とあなたの多剤耐性アシネトバクターと警察捜査に関するメールを強い警戒心をもって読みました。何年もの間、多剤耐性アシネトバクターは世界中の病院で問題となっており、ある施設がアウトブレイクに遭ったとき、これこそもっとも止めることの難しいアウトブレイクです。ここオランダでも何度かアウトブレイクがありましたが、これを止めるのに時に何年もかかったものでした。業務上の過失のせいなどでは決してなく、これこそがこの菌の性質なのです。よく言われるように、アシネトバクターはグラム陽性菌のようにふるまうグラム陰性菌であり、広がるのに速く、取り除くのに難しく、患者の予後は厳しく、とくに免疫抑制のある患者ではそうなのです。プロとして申し上げると、私には警察が刑事罰を念頭に操作を始めたということが理解できません。オランダでも、私たちは今の日本のような状態に直面してきましたが、あるケースにおいては陸軍がこのアウトブレイクを制圧するのに協力してくれ、これはうまくいきました。アシネトバクターのアウトブレイクは理解するのに難しいものです。我々のようなプロにとってもそうであり、感染制御が専門の医療従事者でなければ言うに及びません。もし警察のすることがあるとすれば、それは支援であり、この問題を解決するために医療者を助けることであり、刑事罰を念頭に置いた捜査をすることではないのです。

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コメント

昨日コメントした弁護士です。

匿名という非礼な形でのコメントであったにもかかわらず、丁重な御回答をいただき、誠に恐縮です。

御回答を拝見し、当初のエントリーを拝読させていただいた際の違和感はなくなりました。
医療に必要なのは「技術委員会」とのご指摘もそのとおりと思います。「技術委員会」が機能していれば、法曹界が審判を行う必要のある局面はとても小さくなると思います。

平成16年9月30日に日本医学会加盟の主要19学会が、警察にかわる中立的専門機関創設を提言する共同声明を発してから、もうそろそろ6年が経ちますが、「技術委員会」的存在を作ろうという動きが止まってしまった(ように見える)のは、何とも残念です。

ちなみに、患者さんの代理人という仕事の意義をきちんと踏まえている弁護士であれば、医師の方々に意見をうかがう際には、アウトかセーフかの結論を聞こうとするのではなく、その分野の専門家の方々が「技術委員会」的に真剣に議論したら、どんなやりとりになるのか、ということを知りたいと言うはずです。

その情報を、患者さんが理解できるよう弁護士が通訳することができれば、その問題については、おのずとありうべきゴールへと落ち着いていくように感じています(もちろん、その中には、民事責任を認めていただくことがゴールとなるものもありますが、法律問題となる以前のところにゴールを迎えるものもたくさんあります)。

今後ともいろいろとご教示いただけると幸いです。

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