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あわててはいけない

昨日、厚労省結核感染症課に電話したが、ものすごく忙しそうである。アシネトバクター対策で夜中まで缶詰になっているのかもしれない。

これはとても奇異なことである。現在、オンゴーイングで感染が広がっているわけではない。「今慌てて」何かをやる必要は一つもない。ここでやっつけ仕事でへんてこなアシネトバクター報告システムとか作られたら、現場の迷惑はこの上ない。政治家の一時の感情とか、メディアの醸し出す空気とかでこういうものを決めてはいけない。絶対にいけない。

結核感染症課の担当者には以下のことを申し上げた(もっとも院内感染は病院マターなので別の部署が担当なのだそうだが、、、、菌は結核感染症課、感染症は別の人って、、、、と嘆じたら「それは肉屋で野菜を売れというものです」と屁理屈を言われた)。

院内の耐性菌を届け出るからには、なぜ、何のために届けるのかをしっかり決めなければならない。建前上はみなさんは情報を収集して情報を公開すると現場がよくなったり感染症が減る一助になるとおっしゃるが、それは机上の空論に過ぎない。耐性菌の情報は「その病院」の耐性菌情報が大事なので、「一般的にはこうなっています」という情報はほとんど役に立たない。私の病院のアンチバイオグラムが大事なのだ。開業医や診療所にとっても病院内耐性菌の情報はほとんど役に立たない。

オランダの届け出感染症は目的が明確で「届け出ることで減らすことができる、減らすべき感染症」が届け出義務になっている。届け出と対策が直接リンクしている。日本の場合、デング熱を報告してもツツガムシを報告しても急性肝炎を報告しても、その病気が減るということはない。情報収集と対策が直接リンクしていないからだ(間接的にはあるけれど)。「何のために」という問いが出されないまま、形や整合性や文体ばかり気にしているからだ。

微生物学者などの専門家にこのようなマターを相談するとまずとりあえず届け出させてデータを集めて、という発想になる。しかし、データが欲しいのは専門家であって、ユーザー(医療者)ではないこともある。よくよく考えて欲しい。届け出ると何が起きるのか?こういう根源的な議論がないままにやっつけ仕事をしてメディアや大臣の前でアリバイ工作はしないで欲しい。

最後の一文は胸の奥で自分につぶやいただけだが、こういうことを申し上げた。

繰り返すが、今何かが緊急に起きているわけではなく、慌てて徹夜仕事をして「対策をとっている」ポーズをとる必要はない。急ぐべきはコリスチンの承認くらいなものだ。腰を据えて、じっくり考えて、いろいろな人の意見を聞いて、届け出感染症の持つ意味をよくよく考えてみるべきだ。

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